(2003/アラステア・フォザーギル、アンディ・バイヤット共同監督/撮影:ダグ・アラン、ピーター・スクーンズ、リック・ローゼンタール)
子供のポケモンのDVDと一緒に借りてきた。TVで流れていたCMを見て、家人が観たいと言っていたドキュメンタリー映画である。
公開時コピーが<誰も見たことのない世界を見せてあげよう>というので、美しい海と海洋動物のファンタジックなものを想像していたら、イギリスBBCが作った本格的海洋ドキュメンタリーでありました。「allcinema ONLINE」によると、<撮影に4年半もの歳月を費やし、200ヶ所ものロケ地をめぐって撮り上げた合計7000時間に及ぶフィルムを基に、深海5000メートの未知の世界から、お馴染みの生き物たちの知られざる生態まで、“海の神秘と美しさ”を余すところなくカメラに収めた感動作。>とのこと。2002年にNHKで8回に分けて放送されて大反響を呼んだ題材を、劇場用に再編集したものらしい。
ドキュメンタリーは他の娯楽作品と一緒には語れないし、特にこのような作品には学術上の価値もあるかと思うが、ここは素人が対価を支払って鑑賞したわけであるから、その基準で書いてみたい。
劇場用ドキュメンタリー映画として思い出すのは、アラン・レネの「夜と霧(1955)」や、アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「ピカソ-天才の秘密(1956)」など。実はどちらも未見なのであるが、この二作の色々なレビューを読んでいると、これらの作品はテーマがはっきりしていて、記録映像を使っているのにしっかりとしたストーリーの上に作られている感じがする。
この「ディープ・ブルー」には、残念ながらそのような製作者の明確な意図は感じられなかったというのが、私の第一印象であります。
イルカやアホウドリや皇帝ペンギン、北極クマ、鮫などの映像が出てくるが、内容はテレビ番組「どうぶつ奇想天外」と大差ないと思いましたな。
アザラシやザトウ鯨の赤ん坊がシャチにやられる映像は残酷で、それはテレビを超えていました。鯨の赤ちゃんは母鯨と一緒に6時間以上も数頭のシャチの群に追いかけ回されたうえに殺されてしまう。殺し方も、シャチが赤ちゃん鯨の上に交互に覆い被さって溺死させるという残酷なもので、しかもシャチが食べるのは舌と顎のみとのこと。13ヶ月お腹の中で育てたという母鯨は一人で去っていき、その後は骨だけになった赤ちゃん鯨が写っていました。
7000時間のフィルムの中から厳選されたものかも知れないが、全体にテーマが漠然としていて、ただ映像を並べただけという感じがしました。
珍しいなと思ったのは、珊瑚が珊瑚を食べるシーンと深海動物の映像。美しい光を放つ深海動物たちの映像はとても美しく、また技術的にも(あんな深い海で)どのようにして撮ったんだろうと思いましたな。
海外では、今「皇帝ペンギン」というドキュメンタリーが大ヒットしているとのこと。対象動物を絞って、しかもあるペンギン一家に焦点をあてた映画で、親ペンギンや子供ペンギンの心の声としてナレーションまで入っているらしい。このナレーションはドキュメンタリーとしては如何なものかとは思うが、みのもんたの“プロ野球珍プレー好プレー”みたいで面白そうだ。
次は、好評なレビューの多い「WATARIDORI」を観ようと思っています。
尚、海を扱った有名なドキュメンタリー作品には、カンヌでグランプリを獲った「沈黙の世界(1956)」やリュック・ベッソンの「アトランティス(1991)」もありましたな。前者はジャック=イヴ・クストーとルイ・マルの共同監督です。
子供のポケモンのDVDと一緒に借りてきた。TVで流れていたCMを見て、家人が観たいと言っていたドキュメンタリー映画である。
公開時コピーが<誰も見たことのない世界を見せてあげよう>というので、美しい海と海洋動物のファンタジックなものを想像していたら、イギリスBBCが作った本格的海洋ドキュメンタリーでありました。「allcinema ONLINE」によると、<撮影に4年半もの歳月を費やし、200ヶ所ものロケ地をめぐって撮り上げた合計7000時間に及ぶフィルムを基に、深海5000メートの未知の世界から、お馴染みの生き物たちの知られざる生態まで、“海の神秘と美しさ”を余すところなくカメラに収めた感動作。>とのこと。2002年にNHKで8回に分けて放送されて大反響を呼んだ題材を、劇場用に再編集したものらしい。
ドキュメンタリーは他の娯楽作品と一緒には語れないし、特にこのような作品には学術上の価値もあるかと思うが、ここは素人が対価を支払って鑑賞したわけであるから、その基準で書いてみたい。
劇場用ドキュメンタリー映画として思い出すのは、アラン・レネの「夜と霧(1955)」や、アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「ピカソ-天才の秘密(1956)」など。実はどちらも未見なのであるが、この二作の色々なレビューを読んでいると、これらの作品はテーマがはっきりしていて、記録映像を使っているのにしっかりとしたストーリーの上に作られている感じがする。
この「ディープ・ブルー」には、残念ながらそのような製作者の明確な意図は感じられなかったというのが、私の第一印象であります。
イルカやアホウドリや皇帝ペンギン、北極クマ、鮫などの映像が出てくるが、内容はテレビ番組「どうぶつ奇想天外」と大差ないと思いましたな。
アザラシやザトウ鯨の赤ん坊がシャチにやられる映像は残酷で、それはテレビを超えていました。鯨の赤ちゃんは母鯨と一緒に6時間以上も数頭のシャチの群に追いかけ回されたうえに殺されてしまう。殺し方も、シャチが赤ちゃん鯨の上に交互に覆い被さって溺死させるという残酷なもので、しかもシャチが食べるのは舌と顎のみとのこと。13ヶ月お腹の中で育てたという母鯨は一人で去っていき、その後は骨だけになった赤ちゃん鯨が写っていました。
7000時間のフィルムの中から厳選されたものかも知れないが、全体にテーマが漠然としていて、ただ映像を並べただけという感じがしました。
珍しいなと思ったのは、珊瑚が珊瑚を食べるシーンと深海動物の映像。美しい光を放つ深海動物たちの映像はとても美しく、また技術的にも(あんな深い海で)どのようにして撮ったんだろうと思いましたな。
海外では、今「皇帝ペンギン」というドキュメンタリーが大ヒットしているとのこと。対象動物を絞って、しかもあるペンギン一家に焦点をあてた映画で、親ペンギンや子供ペンギンの心の声としてナレーションまで入っているらしい。このナレーションはドキュメンタリーとしては如何なものかとは思うが、みのもんたの“プロ野球珍プレー好プレー”みたいで面白そうだ。
次は、好評なレビューの多い「WATARIDORI」を観ようと思っています。
尚、海を扱った有名なドキュメンタリー作品には、カンヌでグランプリを獲った「沈黙の世界(1956)」やリュック・ベッソンの「アトランティス(1991)」もありましたな。前者はジャック=イヴ・クストーとルイ・マルの共同監督です。
・お薦め度【★★=悪くはないけどネ】
自分と違う意見かどうかよりは、書き手が真剣に評しているかどうかのほうが重要ですので、ご心配には及びませんよ。
自宅の周りで鳥の写真を撮りまくっているほどの鳥好きですので、当然「WATARIDORI」も観ました。こちらも勿論素晴らしいのですが、どうも細工したとしか考えられないところがあり、スローモーション程度の加工しかしていないこちらのほうがスペクタクルであると思っています。実写の強みですよ。高い評価の裏側には、その前日に「トルク」なんてオートバイが主役なのにCGで見せるという馬鹿げた作品を観たせいもあるかもしれません。
自然の驚異をこうまとめて見せられると圧巻としか言いようがなく、興奮しました。
ドキュメンタリーとしては、次の記事「WATARIDORI」の方が好きですネ。
いやいや、この作品のテーマは、作り物ではない映像の凄さ、自然の驚異そのものを見せることです。文学的な主題など不必要なのです。
それだけで立派なスペクタクルです。
それに比べ「皇帝ペンギン」は、馬鹿らしい台詞で映像スタッフの努力を水泡に帰しました。映画は映像で見せるもの、ジャン=リュック・ゴダールの言葉を借りるまでもありません。
今年の締めも・・・かな?
まだまだ、紹介したい映画、見逃している映画がたくさんあるので、来年も引き続き宜しくお願いしまっす!
そして、来年も楽しいお話も聞かせて下さい。
美しくも厳しい北国のizumiさん。hanaちゃん、旦那さんにも、良いお年を~!!
コメントありがとうございました。
そうそう!私も思いました、『どうぶつ奇想天外』と変わんないし、これといったテーマもなくって感じでしたね。
ただ、海や生き物たちは美しかったな~と思いました。
『WATARIDORI』は良かったですよぉ~。
来年も素敵な映画に出逢えるといいですよね~。
それでは、あと数時間ですが良いお年をお迎え下さい!!