(1965/ジョン・シュレシンジャー監督/ジュリー・クリスティ、ダーク・ボガード、ローレンス・ハーヴェイ/123分)
ジュリー・クリスティーがオスカーを獲ったということと、J・シュレシンジャーの監督作品ということでいつかは観たいと思っていたコレ。ちょっと前にNHK-BSで放送していたのを録画して観ました。
タイトルからして、沢山の人に愛された美少女の話だろうと思っていたらとんでもない。好奇心は旺盛だが深く考えることをしない女性が、その美貌と明るい人なつっこさで社交界を生き抜き、ついにはヨーロッパの小国の王妃になるというお話で、一見サクセス・ストーリーのようだが、主人公のダイアナ・スコットは青い鳥を見つけることの出来ない娘なので、皮肉なラストは彼女が気の毒にも見えてしまう映画です。
シュレシンジャーの長編2作目で、65年作品ですがモノクロです。オープニングからまるでフランス映画のようにスタイリッシュな映像で、BGMもそう、この4年後に「真夜中のカーボーイ」を撮った人とは思えない感じでした。ただ時折、「真夜中・・・」でも見られたようなズームやパンを使ったシーンがあって『あぁ、やっぱりシュレシンジャーだ』と思いましたな。オープニングではダイアナがインタビューを受けているというスタイルで話始めたのに、その設定はいつの間にかどこかに飛んじゃってました。
ロンドンだけでなく、美しいパリやイタリアの地中海を望む港のシーンもあり、モノクロがもったいないような気もしました。
ヒロインの名前は“ダイアナ”だし、ヨーロッパの小国の妃殿下になるという設定は、グレイス・ケリーやプリンセス・ダイアナを思い起こさせてしまう。
“ケリー・バッグ”のグレイスが結婚したのは56年。映画の中でしかこの美女は知らないが、「真昼の決闘(1952)」や「喝采(1954)」のヒロインが、まさか男性に対しても奔放なダイアナのモデルではないでしょうな。
原題は【Darling】。親にとっては“愛しい我が子”ですが、一般的には“人気者”でしょうか。“幸運な人”という意味も有るようですな。
若くして結婚したダイアナは若い亭主が幼稚だとして、この結婚は失敗だったと考えている。雑誌のモデルをしていた彼女は街頭でTVのインタビューを受け、その時のリポーターをしていたロバート(ボガート)と知り合いになる。ジャーナリストでもあるロバートにくっついて取材にも同行するようになり、やがて二人は不倫関係になる。
新しいアパートを借りて二人で住むようになるが、時にロバートは仕事に没頭するので、ダイアナは時間を持て余すようになる。ある会社の雑誌のCMに出た時に知り合ったその会社の社長(ハーヴェイ)に紹介されて、オークションの司会などをする内に、政財界の人とも知り合うようになり、その社長とも肉体関係をもつようになる。
このハーヴェイと行ったパーティーは、「甘い生活」などでフェリーニが描いた、行き着く先は酒池肉林という退廃ムードのモノですが、描き方は上品でした。ダイアナも最初は戸惑うものの、すぐに楽しみ方を会得したようでした。
ジャーナリストのロバートにはダイアナの行状はすぐにバレバレ。地下鉄のプラットホームで大喧嘩をし、その夜にロバートはアパートを出ていく。
傷心のダイアナは、旧知のゲイのカメラマンとヨーロッパ旅行に出かけ、そこである小国の王様と知り合う。チョコレートのCMフィルム撮影で王様のお城を使わせてもらい、皇太子とも親しくなるが、プロポーズをしてくれたのは王様の方だった。一度は断るが、その後ノン・セックスの共同生活者であったカメラマンがイタリアの男性と一夜を過ごして帰ってきたために裏切られた気分になり、またも独りぼっちになったダイアナは、心の安定を求めて妃殿下になることを承知する。前妃殿下の子ども達とも仲良くし、大勢の召使いに囲まれて何不自由のない生活を送っていたダイアナだったのだが・・・。
かいつまんでストーリーを紹介すると分かり易い話ですが、ダイアナがいつまでも青い鳥に気付かない女なので、ちょっと気分的には盛り上がりません。但し、シュレシンジャーの演出が時に軽~い変化球を見せるので、そういう意味では面白かったです。特に、終盤の妃殿下の生活に疲れていくダイアナを描いたシーンから、ロバートが再登場するラストシーンまでは充実していました。
中年のダーク・ボガートの渋い演技があってこそ、奔放なダイアナが活きていたような気がしましたな。
65年のアカデミー賞では、ジュリー以外に脚本賞(フレデリック・ラファエル)と衣装デザイン賞を獲り、作品賞と監督賞もノミネートされた。NY批評家協会賞ではジュリーの女優賞と共に作品賞と監督賞も受賞した。
ローレンス・ハーヴェイといえば、先日からこのブログで取り上げているキーラ・ナイトレイが出演したトニー・スコット監督の「ドミノ」。この映画の主人公で実在した女賞金稼ぎとは、ローレンスの実の娘ドミノ・ハーヴェイでした。
ジュリー・クリスティーがオスカーを獲ったということと、J・シュレシンジャーの監督作品ということでいつかは観たいと思っていたコレ。ちょっと前にNHK-BSで放送していたのを録画して観ました。
タイトルからして、沢山の人に愛された美少女の話だろうと思っていたらとんでもない。好奇心は旺盛だが深く考えることをしない女性が、その美貌と明るい人なつっこさで社交界を生き抜き、ついにはヨーロッパの小国の王妃になるというお話で、一見サクセス・ストーリーのようだが、主人公のダイアナ・スコットは青い鳥を見つけることの出来ない娘なので、皮肉なラストは彼女が気の毒にも見えてしまう映画です。
シュレシンジャーの長編2作目で、65年作品ですがモノクロです。オープニングからまるでフランス映画のようにスタイリッシュな映像で、BGMもそう、この4年後に「真夜中のカーボーイ」を撮った人とは思えない感じでした。ただ時折、「真夜中・・・」でも見られたようなズームやパンを使ったシーンがあって『あぁ、やっぱりシュレシンジャーだ』と思いましたな。オープニングではダイアナがインタビューを受けているというスタイルで話始めたのに、その設定はいつの間にかどこかに飛んじゃってました。
ロンドンだけでなく、美しいパリやイタリアの地中海を望む港のシーンもあり、モノクロがもったいないような気もしました。
ヒロインの名前は“ダイアナ”だし、ヨーロッパの小国の妃殿下になるという設定は、グレイス・ケリーやプリンセス・ダイアナを思い起こさせてしまう。
“ケリー・バッグ”のグレイスが結婚したのは56年。映画の中でしかこの美女は知らないが、「真昼の決闘(1952)」や「喝采(1954)」のヒロインが、まさか男性に対しても奔放なダイアナのモデルではないでしょうな。
原題は【Darling】。親にとっては“愛しい我が子”ですが、一般的には“人気者”でしょうか。“幸運な人”という意味も有るようですな。
若くして結婚したダイアナは若い亭主が幼稚だとして、この結婚は失敗だったと考えている。雑誌のモデルをしていた彼女は街頭でTVのインタビューを受け、その時のリポーターをしていたロバート(ボガート)と知り合いになる。ジャーナリストでもあるロバートにくっついて取材にも同行するようになり、やがて二人は不倫関係になる。
新しいアパートを借りて二人で住むようになるが、時にロバートは仕事に没頭するので、ダイアナは時間を持て余すようになる。ある会社の雑誌のCMに出た時に知り合ったその会社の社長(ハーヴェイ)に紹介されて、オークションの司会などをする内に、政財界の人とも知り合うようになり、その社長とも肉体関係をもつようになる。
このハーヴェイと行ったパーティーは、「甘い生活」などでフェリーニが描いた、行き着く先は酒池肉林という退廃ムードのモノですが、描き方は上品でした。ダイアナも最初は戸惑うものの、すぐに楽しみ方を会得したようでした。
ジャーナリストのロバートにはダイアナの行状はすぐにバレバレ。地下鉄のプラットホームで大喧嘩をし、その夜にロバートはアパートを出ていく。
傷心のダイアナは、旧知のゲイのカメラマンとヨーロッパ旅行に出かけ、そこである小国の王様と知り合う。チョコレートのCMフィルム撮影で王様のお城を使わせてもらい、皇太子とも親しくなるが、プロポーズをしてくれたのは王様の方だった。一度は断るが、その後ノン・セックスの共同生活者であったカメラマンがイタリアの男性と一夜を過ごして帰ってきたために裏切られた気分になり、またも独りぼっちになったダイアナは、心の安定を求めて妃殿下になることを承知する。前妃殿下の子ども達とも仲良くし、大勢の召使いに囲まれて何不自由のない生活を送っていたダイアナだったのだが・・・。
かいつまんでストーリーを紹介すると分かり易い話ですが、ダイアナがいつまでも青い鳥に気付かない女なので、ちょっと気分的には盛り上がりません。但し、シュレシンジャーの演出が時に軽~い変化球を見せるので、そういう意味では面白かったです。特に、終盤の妃殿下の生活に疲れていくダイアナを描いたシーンから、ロバートが再登場するラストシーンまでは充実していました。
中年のダーク・ボガートの渋い演技があってこそ、奔放なダイアナが活きていたような気がしましたな。
65年のアカデミー賞では、ジュリー以外に脚本賞(フレデリック・ラファエル)と衣装デザイン賞を獲り、作品賞と監督賞もノミネートされた。NY批評家協会賞ではジュリーの女優賞と共に作品賞と監督賞も受賞した。
ローレンス・ハーヴェイといえば、先日からこのブログで取り上げているキーラ・ナイトレイが出演したトニー・スコット監督の「ドミノ」。この映画の主人公で実在した女賞金稼ぎとは、ローレンスの実の娘ドミノ・ハーヴェイでした。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】
そうですねぇ。シュレシンジャーもクリスティーも、英国映画も地味ですもんね。
終盤の展開が皮肉たっぷりですが、私はかえって気の毒になってきました。アホな女やなぁ・・・と。
シュレシンジャー監督の作品の中では、あまり記事を見かけないものなので…。
この甘ちゃんダーリングのお話は、非常にシニカルに感じました。ジュリーの奔放な魅力もいいのですが、やっぱりボガードの渋さ!彼がいたからこそ成り立った映画かなあとも思います。
でも、こういう役ができる女優さんは勇気があると思います。確かに大胆なシーンもありましたが・・・。
そうそう、オープニングはお洒落でしたよね~。なので、期待したんだけど、いつの間にか、ありゃりゃ・・・でした。
でもこれ、脚本賞も獲ってるんですね?ちょっと驚きました。
作品と監督にもノミネートですか?へ~、これもちょっと驚きです。
TBさせてもらいますね~。