テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

スラップ・ショット

2011-01-26 | アクション・スポーツ
(1977/ジョージ・ロイ・ヒル監督/ポール・ニューマン、マイケル・オントキーン、ジェニファー・ウォーレン、メリンダ・ディロン、ストローザー・マーティン、リンゼイ・クローズ、ジェリー・ハウザー/123分)


 ジョージ・ロイ・ヒルはポール・ニューマンとロバート・レッドフォードをダブル主演に据えて、「明日に向って撃て! (1969)」と「スティング (1973)」という傑作を作ったが、その後それぞれを主演に新たに映画を作った。レッドフォードとは1975年に「華麗なるヒコーキ野郎」、そしてその2年後にニューマンと作ったのがこの「スラップ・ショット」だ。

*

 舞台はアメリカ北東部の鉄工業の町、チャールズタウン。
 ポール・ニューマンが扮するのは、ソコを本拠地とする三流アイス・ホッケーチーム、チーフスのコーチ兼プレイヤー、レジー・ダンロップ。
 負け続けているので地元のファンからも『早く引退しろ!』と罵声を浴びせかけられ、最近はストレスが溜まっている。
 レジーの同僚でチームの得点王ネッド(オントーキン)は上流階級の出身でプリンストン大出のインテリだが、同じくイイとこのお嬢さんだった妻のリリー(ディロン)はホッケーが嫌いでチャールズタウンにも馴染めずにいた。お互いに好き合っているのに、顔を合わせれば喧嘩をしている今日この頃だ。
 不況のせいで工場が閉鎖、チャールズタウンの町にも解雇された労働者が一万人を超えたというニュースが流れ、ネッドはチームが近々解散するのではないかとの噂も聞く。レジーは信じなかったが、珍しく遠征に同行してきたマネージャー(マーティン)に問いただして、噂が本当であることを知る。しかも、マネージメントに全然興味の無かったレジーはオーナーが誰であるかも知らないし、マネージャーもその点については黙りを通していた。
 一計を案じたレジーは地元の新聞社に、フロリダの市民団体がチーフスを買収予定であるとのデマを流す。オーナーサイドを情報で揺さぶり、併せて解散話でネガティブになっているチームメイトを鼓舞しようというわけだ。
 別居中の妻フランシーン(ウォーレン)からも『チームが解散したらどうするの? あなたの歳で三流チームのコーチなんて何処にも働き口はないわ』と言われたレジーは、ラフプレイも辞さない試合運びでチームの勝利と観客動員数アップを狙う手段をとった。おかげでケガ人が続出し、レジーは仕方なくマネージャーが安く買い叩いた新人のハンセン三兄弟を使うことにしたが、コレが大当たり。オフには部屋でオモチャのレーシングカーで遊んでいる幼稚な奴らだったが、試合になるとガタイの良さも手伝ってバタバタと敵をなぎ倒し、地元にも熱烈なチーフス・ファンが出来る程になった。
 チームが解散しないためには勝つしかない。
 レジーの策は当たり、チーフスも優勝を狙えるまでに快進撃を続けるのだが・・・。

*

 封切り時の双葉さんの評価は、確か☆☆☆★★★(75点)か☆☆☆☆(80点)の秀作で、とても興味があったのに観れなかった。何年か前にツタヤの棚に見つけてその後消えちゃったが、昨年再度見つけたのでレンタルしてきた。先日発見したツタヤの「100人の映画通が選んだ本当に面白い映画」の中の一品でもある。

 アイス・ホッケーファンではないので、スポーツ映画としてどれくらい本物に近い描写をしているかは分からない。が、分からなくても大丈夫。近年のアクションものにありがちなスローモーションは使わなくてもバッチリとスピード感は出てるし、試合の流れもちゃんと分かる。但し、全体的には勝負の行方に拘ったスポ根映画ではなくて、allcinemaが仕分けたジャンル「コメディ/スポーツ」らしい下品な台詞と描写も満載な、血と汗の匂いもしてくるような馬鹿げた男達のドラマだ。
 選手の奥さん連中の会話も笑わせるし、オープニングロールの前から登場する地元放送局のアナウンサーの解説も笑わせる。
 でも一番笑ったのは、試合前の乱闘騒ぎに呆れて、国歌斉唱中に怒ってしまうチビのレフェリーかな。

 オリジナル脚本を書いたのがナンシー・ダウドという女性なのは色々な意味で驚き。ジョン・ヴォイトとジェーン・フォンダがダブルで主演賞を受賞した、ハル・アシュビーの「帰郷 (1978)」の原案者でもあるらしい。
 レジーの若い同僚、“殺し屋”デイブ役に、「おもいでの夏 (1971)」のオジーだったジェリー・ハウザーが出ていたのが懐かしい発見。

 レジーが敵を騙し、味方も騙して不人気チームを如何にして立て直すか。彼曰く、『ただ勝つんじゃない、敵を怒らせて勝つんだ!』
 ネッドとリリーの愛の行方は。
 そしてレジーとフランシーンのよりは戻るのか・・・。

 お薦め度は★三つか四つか迷った。別の日に観れば四つになったかも知れない。レジーとフランシーン以上に比重が大きいネッドとリリーのエピソードで、二人の(特にリリーの)心情がストンと心の中に落ち着かないので、★一つ分マイナスです。





・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 テアトル十瑠

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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役柄的には (十瑠)
2011-01-29 09:39:24
40代の設定なんでしょうし、ソレなりにお若く元気なところはさすがですよ。
私はすっかりオーバーしてますけど
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あのころの~♪ (anupam)
2011-01-28 23:52:56
和田アキコの歌じゃないですが

「あの頃の~~♪」
ポールと同じ年か~~
おっさんなのに、よくスポーツものに出るなって思っていた、あの年ですかい

ハハハハ・・
あ~~あ
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単純計算で行くと (十瑠)
2011-01-28 10:02:51
1925年生まれですからポールさん、52歳ですね。贅肉もないし。
以前、kiyotaさんのポールさんの訃報記事で、この映画についても話していたんですよね。
「みんなのシネマレビュー」とかいうサイトでは、低評価の呆れるようなつまらないコメントが多くてガッカリしました。滅多に行かないサイトですけどね。
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Unknown (kiyotayoki)
2011-01-28 09:38:32
この映画のおかげで、一時期アイスホッケーにハマったのを思い出しました。
映画としても、わりといい出来だったと記憶しています。
ポール・ニューマンも、もういい歳だったと思うんですが、現役プレーヤーとして頑張ってたし・・・・と書いて、あの時いくつだったんだろうと調べてみたら、なんと50を超えていたんですね(撮影時は51?)。
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