はなナ

二度目の冬眠から覚めました。投稿も復活します。
日本画、水墨画、本、散歩、旅行など自分用の乱文備忘録です。

●東博に初詣3 江戸絵画 応挙・大雅他

2017-01-08 | 日記

東博で初詣3

江戸絵画へ。

屏風絵のコーナーには、池大雅と応挙。大雅は、”新春特別公開”、”本日のおすすめ”の札付き。

いつからだったか、私も大雅の魅力にとりつかれたのは。

池大雅「西湖春景銭塘觀潮図」
右隻は西湖春景図。
下から目で追うと、ものすごい上昇感。遠景へと持っていかれる。
 
川の波はうねり、ドラマティック。なすすべもなく高揚感に満たされてしまう。木立はなんて美しい。
 
二曲めあたりになるとすでに、わけわからなくなる。岩が遊ぶ。岩の意に大雅が遊ぶ。西湖は多くの絵師が描くけどこんなのは他にない。大雅の超世界。
 
着色されたカラフルな家はどこかかわいらしい。でも西湖の目玉の橋ときたら、多くの画家はきっちり描くのに、大雅はもう適当で、どんどんいく。岩も山も大雅に共鳴して生き物になってしまった。
とにかくにぎやか。あちこちからパワーが迫ってくる右隻だった。
 
左隻は、銭塘観潮図。西湖と同じ浙江省の銭塘江で、旧暦8月18日に河を遡ってくる満潮を見物する。
うってかわっておおきな余白。春霞。
うすやかで青い波。右隻でかき回された心が、静かに整っていく。
 
春に煙る樹々。線や点描や様々。
 
岩はざっざっと直線でひかれていて、右のうねるような岩とは違う。
 静かな左隻。
 
右隻と左隻の対照的な世界。岩の意、樹の意。静と動。
快感におぼれてしまいそうな大雅の屏風だった。
 
池大雅でもう一点、「竹図」も筆の魔術のよう。
 
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 応挙の数点は、雪を裏テーマにしていたのかもしれない。根津美術館で公開された国宝「雪松図」に合わせたのかな。

雪は塗り残して表現している。

山の稜線のあいまいさにドキドキ。

上からの光が、斜面や木を照らす。光りに照らされた雪を塗り残すだけで、木の立体感がすごい。計算しつくされ、応挙の頭の中に変換メーターがあるみたい。

墨色を自在に使い分けて、岩間の影の部分に奥行き感も。色から自由になったら、こんなに豊かな世界が展開できるとは。

左隻になると、金で描かれたふわりとさす光にいっそううっとり。


これと連作になるのが、隣の部屋に展示していた「雪景山水図」(旧帰雲院障壁画)

こちらのほうは、女仙。雪の空ににふわりと飛び立とうとしていた。


もう一点、応挙「雪中老松図」

こちらは太い幹は激しい筆致。根元に積もった雪が印象的。

 

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そして、江戸のすてきな絵師たち。

英一蝶があったのもうれしい。(題を忘れてしまった)

肩ひじはらない、抜け感。小さく描かれた朱の紅葉がかわいい。


佚山黙隠1702〜78「花鳥図屏風」の鮮やかさにびっくり。 解説には、曹洞宗の禅僧で書家でもあり、沈南蘋の花鳥図を長崎で習得したと。

”若冲との関連が注目される”とあったけれど、特に孔雀など若冲をほうふつとさせる。

若冲のように濃密でつまった感じではなく、葉の先、弦の先、鳥たちなど、軽やかな動きがあるのが印象的。


若冲つながりでは、弟子の秦意沖「雪中棕櫚図」

棕櫚に雪って不思議な感じ。若冲のねっとりとした雪を思い出す。


江戸絵画の画題で、棕櫚と同じく個人的に好きなのが芭蕉。とても素敵な絵があった。

黒川亀玉1732~56「芭蕉孤鶴図」

”江戸で初めて沈南蘋派の絵を描いた異彩の先駆者”。25歳で夭逝したそう。


妖しいまでの独特な感性。

これはほかの絵もみてみたいもの。

 



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