根津美術館 コレクション展「鏡の魔力」ー村上コレクションの古鏡ー 2016.5.26~7.10
先日の暑い日、日傘をさして行ってきました。
鏡というと、銅鏡→卑弥呼→魏志倭人伝=卑弥呼が隋の皇帝からたくさんの鏡をもらった、くらいの乏しい知識。
そのありがたい?鏡の生産地、中国の鏡の変遷の展示。
今回は雪舟目的で訪れたのですが、鏡が思いのほか見ごたえありました。
古代中国では、鏡は、人の心も映し出し、霊力が宿るとされているのだそうです。確かに、白雪姫の継母は鏡に向かって話しかけるし、合わせ鏡をすると霊が通ると聞くし、鏡にヒビが入ったりしたらなにか不吉なことが起こるのではと思ったりしますしね。
そしてその裏の文様を見ていくと、当時の人がどういう世界に生き、何を畏れていたか、何を願って暮らしていたのか、何を頼んでいたのか、伝わってきました。そして世界とのつながりも俯瞰できて新鮮でした。
◆紀元前3世紀ごろの、戦国時代の鏡から展示は始まっています。すでに精巧で緻密な文様ですが、鏡自体はい新石器時代から(紀元前7000年??!くらい~)用いられてらしい。
・「蟠?文鏡ばんちもん)」という文様が数点ありましたが、「ばんち」とは龍、(もしくはみづち?)。流線形が複雑にからんで、きれいでした。
◆前漢ごろには、楚辞や詩が流行する世相を反映し、「銘帯鏡」という文字のみの鏡も。さすが漢字文化の中国かなと。
チラシに写真があったのでは「方格規矩四神鏡」前漢 紀元前二世紀 天は丸く、地は四角いという宇宙観なのだそう
◆鳳凰、玄武などの神獣がモチーフのものが多いのは、神仙思想の広がりがある。
それも唐のものになると、西域の影響を受けたものもでてくる。
「貼金縁松石象?花唐草文様」8世紀 唐 のトルコ石は西域から運ばれたのでしょう。
天馬やペガサスは紀元前からもたらされていたそうですが、神仙思想と結びついて、鏡にも登場。
「海獣葡萄鏡」唐 7世紀は、特に立体感と神獣の表情豊かなところがみもの。
こちらをみている海獣、前をみている海獣。彼らは「さんげい」という、西域の獅子の影響を受けた獣です。 ブドウもようはギリシャの影響でしょうか。多産、豊穣の象徴として、流行したたそうです。紐(ちゅう)という真ん中のひもを通すところには、ぽちゃっとしたしっぽのある動物がうずくまっている。他のにもよく登場していましたが、一角獣。イメージがちょっと違いましたが。
ほかにも植物の模様では、「パルメット文鏡」というエジプト、メソポタミア風のナツメヤシ(パーム)の絵柄。エキゾチックな感じで素敵でした。
模様だけでなく、フォルムに花を取り入れたものも。「八稜鏡」といい花の形のものが約10点、神獣や天馬、鳥に乗った仙人など、いろいろありましたが、参考に東博の重要文化財「瑞花双鳳八稜鏡」。
これは唐からのものを参考に、11世紀ごろに作られた日本産。
◆中唐ごろになると、儒教、道道思想に基づくもの、故事伝説に由来したものも。鏡を満月として、ウサギが登場した「月宮図八稜鏡」はほっこり。
◆展覧会の最後は、10世紀後ごろの宋から元代のもの。時代も進んで次第に、実用に用いられるようになります。デザインも、身近で縁起がよい吉祥のものが人気だったようです。
70点ほどの鏡。唐の西域の影響が感じられる鏡はとくに興味深かった。この少し前に、アフガニスタン展を見た後ですので、シルクロードのつながりは感慨深いものがありました。
流れもすこしわかったので、古鏡の敷居もぐっと低くなりました♪。東博のたくさんある鏡も、次行った際に見てみよう。
二階の展示室「古代中国の青銅器」の部屋にも、鏡が数点。
ここには同じ青銅器で作られた、殷の時代の壺や杯などが展示されていました。殷代の青銅器は、ぽちゃっとした形と言い、幾何学的な文様と言い、金属なのに少し温かみのあるところといい、個人的にファンなのです。
参考に岡田美術館の饕餮文方らい(殷 紀元前14~11世紀)
同じく青銅器の「双羊尊」紀元前13-11世紀はとくにかわいい。
美術館のチケットに使われています。
展示では紀元前13-11世紀の殷代には、上記の饕餮文のものが多数。そして紀元前7-5世紀ごろの春秋時代には、鏡にもあった蟠?文の青銅器壺がありました。
今回の村上コレクションの鏡よりだいぶ時代がさかのぼりますが、もしかしてもっと前の時代の鏡にはこのような饕餮文や蟠?文の鏡もあったのか?それともどこからも出土してないのならないのか??まだあまり鏡は作られていなかったのか??興味はわきます。
はるか昔の中国の文物、興味深いものがありました。
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