はなな

二度目の冬眠から覚めました。投稿も復活します。
日本画、水墨画、本、散歩、旅行など自分用の乱文備忘録です。

●東博 東洋館(アジアギャラリー)

2017-05-20 | Art

東京国立博物館 東洋館

茶の湯展のあと、近代美術館も行くつもりがなぜか気力なく、気分的には日本的なものと違うものがみたいな、西洋美術館常設でバロックでも見ようかな、それとも帰ろうかな、と歩きかけたところ、 ふと、

東洋館のバルコニーのこの人に呼ばれた。

ハヌマーンさま♡

 

学生のころ以来の東洋館。

先日、京都国立博物館で暗闇に間接照明で仏像が浮かび上がる空間に感嘆したけれど、こちらも。灯台下暗し。

といっても仏像は見始めると時間がかかりそうなので、遠目だけでスルー。そのうち再訪しよう。

 

進みながら、気に入ったものを撮影。歴史的な価値もさることながら、自宅に置きたくなるすてきな品々が多くて、目移りしてしまう。


お、さっき「茶の湯展」でみた天目茶碗のギリシャ版か⁈。

ミルフィオリ皿(地中海東部出土)1世紀


バテラ杯(地中海東部)前1~1世紀 これと先ほどのミルフィオリ皿と足して二で割ると、ほんとに曜変天目かも。

 

金帯装飾ピュクシス(アレクサンドリア又はイタリア出土、前1~1世紀) 金蒔絵とやまと絵の融合のような色づかい。

これらはガラスなので、2000年経ってもそのままの鮮やかさ。しかも現代的なセンスで古いという感じがしない。

エジプトゾーンへ。

ファラオの棺桶がある、と思ったらなかにミイラ入りだったので、おののく。(パシェリエンプタハのミイラ(部分) エジプト、テーベ出土 第3中間期(第22王朝)前945~前730年頃) エジプト考古庁寄贈とのこと。

エジプトの木製の造形は、どれもインパクトあり。

ひいい「牛の」エジプト 前2025~前1794頃 ストレートな方法...。今まさにこん棒を投げた、4000年前のその一瞬。

 

中王国時代の「少女像」 妙に迫ってくるものがある。なにか入ってるよね。


「トキ像」エジプト末期王朝(前664~前332) トキは、ヒヒとともに知恵の神トトの聖動物。


イランの青銅器の轡(くつわ)は、スリムで元気な胴体が、近代美術館の「動物集合」でみた佐々木象堂を思い出す。馬にくわえさせる馬具。これが前2000~1000年ごろとは。

 

中国の青銅器

「か(←漢字が難しい)Wine Warmer」夏~殷 三本足がお気に入り

饕餮文爵 殷

 

東洋館の中国絵画コレクションは、もとは市川米庵のコレクションから始まったそう。

馬守真「秦淮水榭図巻」明(1576) 描いたのは、南京の花街の妓女。

当時の妓女は、踊りや歌だけでなく、文人たちとやり取りをする書画や詩の能力も重要だったそう。この絵巻の巻頭は、名妓で知られた馬守真が描いた自画像。

続いて河の風景。たっぷりの余白、手慣れて細やかな筆。少し寂し気で心もとなげだけど、文人的な気持ちの持ちよう。

 

清代へ。

改琦「蕉下美人図軸」清 1819年 清の代表的な人物画家。

応挙の美人図にも特徴的な「なで肩」。これは中国絵画の由来だった。バナナの葉も、渡辺始興や応挙はじめ、日本の絵師が時々書いているが、ルーツを観られて嬉しい。


こちらもバナナの葉と太湖石。凝芬「美人図軸」清 清後期の女性画家。

女性は顔色が悪く、あおみどりっぽい。はかなげを通り越して、なにか病気なのかと?

太湖石とバナナの葉のデフォルメといい、どこかシュール。中国のレオノール・フィニ的な?

 

気に入ったのは費丹旭という画家の数点。このころの清はアヘン戦争に負け、混乱と激動の時代だと思うけれど、絵の世界はとても平和。

費丹旭「柳下美人扇面」清 1839年 さらさらと、これいいなあ。

費丹旭「採菱図扇面」清 1841年 ふんわりした空気

歌に合わせて行われる菱の実取りは、江南の水郷のイメージと、農村の女性の美しさを称える題材とのこと。

費丹旭の描く柳は、どれもいいなあ。


費丹旭「美人図扇面」清 1847 流麗なラインがいいなあ~。


 

中国絵画を堪能しました。この日は「美人と梅―清末の作品を中心に」ということで、6月28日までの展示。展示替えになったらまた行こう。


韓国は小物がかわいい。

日本の土偶も魅力的だけど、新羅土偶もぽっちゃり、ほほえましい。5世紀ごろ。

 

この騎馬の土偶は全長で2センチほど。

ドンキホーテとロシナンテみたいかも。

縁日のミドリガメみたい

 

松岡美術館のコレクションでもひかれた、高麗の青磁象嵌 高級品なのにどこか素朴でかわいらしい感じ。

 *

インドは、不思議だった。

前1500年の人型銅器 なにかの信仰にかかわるものらしい。


でももっと不思議なのは、インドの細密絵画。肉眼で判別できないところに、超絶な描き込み。アジアは、例えば薩摩など超絶技巧な器といい、神秘的なほど細部に埋没するのは特性なのかな。

インドの細密画は仏教やジャイナ教の経典挿絵として始まり、中世から近世にかけて、古代の叙事詩やヒンドゥー教の神話、歴史的なエピソード、王や貴族の肖像、動物など、さまざまなテーマが描かれました。(HP)

6月11日までは、ムガール帝国の皇帝の肖像画 幅10センチほどの小ささ。色も背景も、美しいです。

ラフィー・ウッダウラ帝坐像  19世紀 

虫眼鏡も置いて下さっている。


ダーラー・シコー胸像 18世紀 教養高く、国民にも人気の高い王子だったけれど、弟に殺害されたとか。

顔だけでスプーンほどの大きさ。それでも髪の毛やひげの生え際まで写実的。

ここだって肉眼では判別できないのに・・

 *

最後にアンコール時代のもの

「黒褐釉象型容器」12~3世紀 つやつや、まるまるした象が愛らしい。クメール陶器は動物の形のものが多い。


あ、ベランダにいたハヌマーンさまでは。

ラーマーヤナにでてくる猿王。10センチ程と小さい。11世紀アンコール時代のカンボジアから。

 


ワンフロアに1~2人いるかいないかくらい、東洋館はたいへん空いている。疲れたときのクールダウンにもよさそう。

入口の獅子はどこのだったかな??。また来るね。


 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿