加島美術「美祭」特別企画 伊藤若冲展 2017.4.22~5.7
京橋の加島美術さんの「美祭」を拝見したあと、角を曲がってすぐの和田画廊へ。
美祭の特別企画ということで、若冲の作品を拝見。
ビルの三階だけれども、再開発予定なのか他フロアの郵便ポストはガムテープで目張りしてあった。
小さな部屋に6〜7点、水墨の作品のみ。
若冲の墨の作品が個人的に大好き。動植綵絵や極彩色の作品も素晴らしいですが、あの濃密な執拗さとうってかわって、水墨の作品はシンプル。そしてどこかユーモラス。
お土産に買ったクリアファイルに、今回みた掛け軸のキャラが集まっている。
若冲の水墨と言えば、ニワトリ。やはり、速っ!一気呵成に若冲によって紙の上に生み出された。
釣瓶に鶏図
ニワトリにつられて、いつも眼をみはる。(写真はチラシとお土産に買ったクリアファイルから)
瞬間移動したかのような、コンマ01秒の世界。筆の巧みさ、速さ。
私はずっと若冲の墨のニワトリを見るたびに、勢いで描きあげているのだと感嘆していたけれど、以前に岡田美術館(日記)で、実はものすごく細密な線を入れていることを知ってますます驚いた。
この絵も、丁寧に筋を入れている。墨の濃さも何段階かを組み合わせて計算している。
綿密に手順を構築してから、描きあげている。
それでいて、ちっともそんなふうに見せない。
若冲は、速度、それも瞬間を、紙の上に固めようとしている。肉眼じゃ追えない、動画の一時停止の先取り。
価格表を見ると、1200万円(o_o)。高いのか廉価なのか?見当もつきません。
「鯉図」も筆の妙味が光っていた。(写真は部分)
鱗は筋目がき。線を引くことなく、滲みによって鱗を表し出す。独特のリアルさ。
かなり難しいらしい。若冲はこの筋目がきを、動植綵絵を描くかたわらで、何年もかけてあみだした。
若冲は、立ち止まらない人なんだろう。いつも新しい表現に挑戦し続ける。深化と未踏の挑戦を並行して行う。
そんな若冲にとって、伏見人形は若冲のココロの友?。以前山種美術館で見たのは複数だったけれど、今回は単体。
今回の一番のお気に入り作品は、笑う布袋さん。
「布袋図」 実物では上部にたっぷりと余白をとり、布袋さんだけを描いている。
月を見上げているのでしょう。と思ったら、タル腹が月だ。月を抱えている。
これは愉快。
若冲の水墨はやはり楽しい。
他には「関羽図」、丸いシルエットの「双鶴図」、「蘆鴨図」など。眼福。