hanana

二度目の冬眠から覚めました。投稿も復活します。
日本画、水墨画、本、散歩、旅行など自分用の乱文備忘録です。

●関口芭蕉庵

2017-09-02 | 日記

永青文庫へ行く途中、神田川の向こうに、大好きな芭蕉の木を発見🍌。


いつもは雅叙園側から行くので、早稲田側のこちらからいくのは初めて。
都内でも屈指の落ち着いた高級住宅街に繁るこの山は、関口芭蕉庵。

橋を渡り、永青文庫へ上る坂「胸突坂」の中ほどに、入り口がありました。


永青文庫の帰りに寄ってみました。

「関口芭蕉庵」


松尾芭蕉がここに住んでいたとは知らなかった。http://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/spot/shiseki/bashoan.html
1677年から3年間、神田川の仕事を請け負った際に住んでいたと。「人足の帳簿付け」の仕事をしていた時期らしい。
(Wikipedia)延宝5年(1677年)、水戸藩邸の防火用水に神田川を分水する工事に携わった事が知られる。卜尺の紹介によるものと思われるが、労働や技術者などではなく人足の帳簿づけのような仕事だった。これは、点取俳諧に手を出さないため経済的に貧窮していた事や、当局から無職だと眼をつけられる事を嫌ったものと考えられる[9]。この期間、桃青は現在の文京区に住み、そこは関口芭蕉庵として芭蕉堂や瓢箪池が整備されている。

番屋か水小屋のような建物に住んでいたらしい。後に芭蕉を慕う人々によって建物や塚が建てられ、今に至る。中には資料室のような建物があるけれど、これは戦後に建て直されたもの。

都心にこの森が残っているのは貴重。永青文庫の庭、根津松美術館の庭、明治神宮・・、東京にもあなどれない深い森がある。


回遊式


「芭蕉爺之墓」。1750年、弟子たちが短冊を埋めて墓としたとある。

「五月雨や かくれぬものや 瀬田の橋」

芭蕉が群生。




高い!幹が太い!沖縄や奄美で見たのより、どっしりとしている。

「鶴の鳴くや その声芭蕉 やれぬべし」

花も付いているけど、バナナになるかな。


青紅葉と芭蕉の不思議な。


棕櫚も立派!




これは教えていただいたところによると、極楽鳥花らしい。こんなに大きくなるとは。

芭蕉も棕櫚も極楽鳥花も相当の樹齢のようだけれど、これを植えたのは誰なんだろう。

夢中に撮りまくり満足して我にかえると、足に蚊が鬼のように群がっているではっ∑(゚Д゚)。。
強烈な刺激痛が、ゲリラ状に勃発。ひざ下から生足だったので数十か所刺されてしまった。
一か所二か所なら平気だけど、さすがにムヒ探してお店に駆け込みました。(次の日にはすっかり完治。跡も残らず普通の蚊のようです、念のため。)

 関口芭蕉庵に北側に隣接する敷地にも、歴史を感じさせる立派な邸宅や蔵があるけれど、そちらは旧田中伯爵邸(非公開)。芭蕉庵と同じく講談社が所有、管理しているようです。


●蓮とガマと芭蕉の森

2017-07-08 | 日記

先日の森歩き

今年の蓮の咲き具合を見に来ました。

まだまだ蕾でしたが、一つだけ、咲き始めていました


下から見て、これをスケッチ


ガマの穂もいい感じに。


あめんぼ〜


元気に育ってます〜


紅葉もね。


見えにくいけど、地味な蝶。

私の中では、羽を立ててとまるのが蝶、開いてとまるのが蛾、と覚えているのだけど、あっているのか?

芭蕉💕






大好きな森ですが、ブォーボォーとガマガエルの鳴き声が地鳴りのように響いている…。会いたくないので、わざとどすどす歩いてみたり、セキ払いなんかしてみたり。

これさえなければ最高の時間だった。


●房総・高増暁子さんの絵

2017-03-20 | 日記

房総へ行ってきました。

目当て1は、長生郡のバナナの農園。

中国画や、日本でも江戸時代の絵でたまに見かける芭蕉の葉。渡辺始興や応挙の水墨でも見たことがありますが、芭蕉の葉が入っている絵は南方のおおらかさがあって、個人的に好きなのです。関東でも木はたまに見かけるし、実はつかないけれど広く国内に分布しているよう。中国の絵に倣ったのか、日本にはいつごろ分布したのか、リサーチ中。

 

農園は、バナナのハウスに、直売所とカフェ、ドッグランも併設されていました。ご主人様がいらっしゃって、ハウスの中を見せていただけました。

おお~葉がわさわさ💛。

都内のレストランから葉だけ分けてほしいといわれることもあるそうですが、新しいきれいな葉をとってしまうと実が成長できなくなってしまうそうです。

木は一年で枯れてしまいます。横から新しい株が出てきています。

冬場は暖房が欠かせないそうで、大きなストーブがありました。

バナナは木曜に店頭に並べるそうですが、午後過ぎには売り切れてしまうそう。この日も残念ながら買えませんでした。

でもカフェのバナナジュースが絶品!。ストローで吸い上げるのに、ほっぺたひっこむほど濃厚で超絶おいしい。

 

長生郡の道中。いい雰囲気の街並みでした。

 

国登録有形文化財の「翠州亭」。昭和5年に建築。戦後の昭和20年から昭和53年まで、スイス大使館として使用された建物。

今はレストランとして現役ですが、この日は満席でした(泣)。

 

この辺りの海岸、天の川がきれいに見えるらしいです。

**

それからお目当て2、高増暁子さんの絵を観に、富津へ。

作年の日展で高増さんの絵に出会いました。

「朝ー大坪の里ー」

のどかな風景。でももしかしたらちょっと不思議。どうなんだろう?

不思議な感覚が心に残り、検索すると、富津にギャラリーが。http://www.chibanippo.co.jp/news/local/201292

高増さんは、女子美を出られて、約38年ほど前に都内からここに移り住み、製作をしていらっしゃるようです。最近、息子さんがカフェ「CAFE GROVE」を同じ敷地内に作られたそうです。

大坪は、絵のとおりののんびりとした風景でした。

きじもいた♪♪。

ギャラリーは、小高い山の中へ。ほそい道を入っていき、対向車が来たらどうしたらいいのか。

着いてみると、山中の道の行き止まりのカフェは、満席の人気ぶり。とても素敵なカフェでした。

森の奥にギャラリー。

 

季節に合わせて、春の絵を展示してあったようです。

 

ここで朝から夜を暮らし、四季を感じているのだなあ。

 

 

ゆっくりとした時間が絵に浮遊し、広がっている。技術的なことはわかりませんが、日本画ですがしいていえばナビ派のような。

 

前に感じた少しシュールな感じはなくて、日展で感じたのは私の思い過ごしだったようです。

全体は色彩に揺らぐようなのに、細部を見つめると、どこも強い。。

簡略化されているけれど、ひとつひとつにしっかり実態があるような。だからか細部にいつまでも入り込んでしまう。

色がしみいり、じんわり。

もっともっと見ていたい絵でした。

 

オープンテラスのカフェは、自然のままの森。お茶もケーキもおいしくて、交通の便がよくなくても大人気なのも納得。

 

 

山を下りてくると、牧場も。

近寄ってきます。というかにじり寄ってきます。

というか圧かけてきます。

細い針金だけの低い柵なので、もし怒っているんだったら飛び越えてきそうな。

ここの牛たち、ただものじゃない威圧感。もしかしたら最初に日展で見た牛たちのシュールな印象、あながちはずれていないのか?。

早々に退散。

岬で夕日を見て、アクアラインへ。

長生郡も富津もとてもいいところでした。また季節をかえて行かなくては^^。

 


●東博に初詣3 江戸絵画 応挙・大雅他

2017-01-08 | 日記

東博で初詣3

江戸絵画へ。

屏風絵のコーナーには、池大雅と応挙。大雅は、”新春特別公開”、”本日のおすすめ”の札付き。

いつからだったか、私も大雅の魅力にとりつかれたのは。

池大雅「西湖春景銭塘觀潮図」
右隻は西湖春景図。
下から目で追うと、ものすごい上昇感。遠景へと持っていかれる。
 
川の波はうねり、ドラマティック。なすすべもなく高揚感に満たされてしまう。木立はなんて美しい。
 
二曲めあたりになるとすでに、わけわからなくなる。岩が遊ぶ。岩の意に大雅が遊ぶ。西湖は多くの絵師が描くけどこんなのは他にない。大雅の超世界。
 
着色されたカラフルな家はどこかかわいらしい。でも西湖の目玉の橋ときたら、多くの画家はきっちり描くのに、大雅はもう適当で、どんどんいく。岩も山も大雅に共鳴して生き物になってしまった。
とにかくにぎやか。あちこちからパワーが迫ってくる右隻だった。
 
左隻は、銭塘観潮図。西湖と同じ浙江省の銭塘江で、旧暦8月18日に河を遡ってくる満潮を見物する。
うってかわっておおきな余白。春霞。
うすやかで青い波。右隻でかき回された心が、静かに整っていく。
 
春に煙る樹々。線や点描や様々。
 
岩はざっざっと直線でひかれていて、右のうねるような岩とは違う。
 静かな左隻。
 
右隻と左隻の対照的な世界。岩の意、樹の意。静と動。
快感におぼれてしまいそうな大雅の屏風だった。
 
池大雅でもう一点、「竹図」も筆の魔術のよう。
 
**
 応挙の数点は、雪を裏テーマにしていたのかもしれない。根津美術館で公開された国宝「雪松図」に合わせたのかな。

雪は塗り残して表現している。

山の稜線のあいまいさにドキドキ。

上からの光が、斜面や木を照らす。光りに照らされた雪を塗り残すだけで、木の立体感がすごい。計算しつくされ、応挙の頭の中に変換メーターがあるみたい。

墨色を自在に使い分けて、岩間の影の部分に奥行き感も。色から自由になったら、こんなに豊かな世界が展開できるとは。

左隻になると、金で描かれたふわりとさす光にいっそううっとり。


これと連作になるのが、隣の部屋に展示していた「雪景山水図」(旧帰雲院障壁画)

こちらのほうは、女仙。雪の空ににふわりと飛び立とうとしていた。


もう一点、応挙「雪中老松図」

こちらは太い幹は激しい筆致。根元に積もった雪が印象的。

 

**

そして、江戸のすてきな絵師たち。

英一蝶があったのもうれしい。(題を忘れてしまった)

肩ひじはらない、抜け感。小さく描かれた朱の紅葉がかわいい。


佚山黙隠1702〜78「花鳥図屏風」の鮮やかさにびっくり。 解説には、曹洞宗の禅僧で書家でもあり、沈南蘋の花鳥図を長崎で習得したと。

”若冲との関連が注目される”とあったけれど、特に孔雀など若冲をほうふつとさせる。

若冲のように濃密でつまった感じではなく、葉の先、弦の先、鳥たちなど、軽やかな動きがあるのが印象的。


若冲つながりでは、弟子の秦意沖「雪中棕櫚図」

棕櫚に雪って不思議な感じ。若冲のねっとりとした雪を思い出す。


江戸絵画の画題で、棕櫚と同じく個人的に好きなのが芭蕉。とても素敵な絵があった。

黒川亀玉1732~56「芭蕉孤鶴図」

”江戸で初めて沈南蘋派の絵を描いた異彩の先駆者”。25歳で夭逝したそう。


妖しいまでの独特な感性。

これはほかの絵もみてみたいもの。