No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

とうとう旅のフィナーレ〜嗚呼、太平洋。

2018-12-10 | 街:千葉






僕にしては、比較的長いこと引っ張ってきた旅シリーズ。出張で東京に行ったので、そこを起点に二泊三日の旅に出た話だ。二泊といっても、最後の一泊は東京に戻って、翌日の帰路に備えての宿泊だ。旅は実質的に成田に一泊して、次の日に銚子電鉄の終着駅、「外川駅」に到着することで終わりを告げる。その終着駅で、僕は何を見て、何を感じたのか。殆どの人にとってはどうでも良い、個人的な感傷を以下に書きたい。これが旅のフィナーレだ。以下、興味ない方はスルーして下さい。


僕は西伊豆の海沿いの町の出身だ。もう故郷を離れ、長い時間が経った。一生を自分の産まれ育った町で過ごす人もいれば、僕のように生活場所を何度も移して生きていく人もいる。気づけば秋田の地に移住してから十数年間が経過した。この地にも慣れ、多分この地で死んでいくのだろうと思い始めている。いま住む地が、故郷や慣れ親しんだ地と、一体どのくらい離れているのかが自分の中でも認識できなくなりつつある。物理的な距離だけでなく、精神的な距離も離れてきた。鉄道や道路を見るたびに、この「道」は本当に故郷に繋がっているのか不安になることがある。
秋田から銚子電鉄の外川駅までは、鉄道営業距離数にして約800kmだという。途中、成田での一泊を経て、やっと辿り着いた外川駅。駅を出て、港町特有の坂と狭い道を歩く。どことなく西伊豆を連想させる町並みだ。通りを一本抜けて、坂の上から下を見下ろした。目を開けていられないほど眩しい光の向こうに、どこまでも輝く太平洋が見えた。その瞬間、僕は不覚にも涙が出そうになった。嗚呼、太平洋。そこにあるのは。嗚呼、太平洋。(終わり)


X-PRO2 / XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS


(東京から始まる旅 目次)

(銚子電鉄の旅 目次)

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6 コメント

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Unknown (ariari)
2018-12-10 07:32:36
パチパチ!ラスト泣けますよ。望郷の念みたいなもの、重なりますよね。好天なのもきっとそう思わせた要素の一つでしょうか。ぼくも訪れた時はものすごく天気が良くて、つい無駄に歩きました。旅には無駄が必要だから。お疲れ様でした。オマケ編見たいです。
Unknown (こおひいたいむ)
2018-12-10 08:42:42
あの赤いポストが時間の止まった町を象徴しているようです。

さらにそれを実感させてくれる寂れた町並み・・・・・
感傷に浸ってしまうのも無理のないことですね。

一緒に旅をさせていただいたような気分です。
港町? (つゆ)
2018-12-10 11:07:29
丸い赤いポスト、重そうな瓦屋根。
以前、旅した日本海側の家々のよう。
路地は逆光でお撮りになったのですか。
侘しさがつのりますね。
でも、この海は明るい太平洋。
その先にはアメリカ🇺🇸が!
これは関係ない?
師匠 (6x6)
2018-12-11 06:08:56
ありがとうございます。
銚子の写真は、ほとんどが晴れた時のものを見ていて、晴れたら良いなと思えば本当に晴れて驚きました。
駅に行ったら終わりかと思いきや、町並みが続いていて、これも予想外の喜び。旅には無駄が必要、同感です!。効率とスケジュール遵守からでは見えないものもありますよね。
こおひたいむ さん (6x6)
2018-12-11 06:12:27
演出とかではなく、本当にこういう駅、町並みなんですよね。
そして、その町並みは故郷の海沿いの町を思わせるものでした。坂道沿いに平坦に土地を均し家を建てる。道路は舗装や改良を加え、家は結果的に道路の下側になっていました。写真の屋根、その下に家があるんですよ。

>一緒に旅をさせていただいたような気分です。

嬉しいです。
つゆさん (6x6)
2018-12-11 06:18:55
瓦屋根は、海からの強い風と潮に強いんでしょうね。殆どの家がそうでした。
海は逆光です。時間的には逆光といえるような時間帯ではないのですが、圧倒的な日差しが当たった海を見下ろすと、圧倒的な逆光になっていました。

この先には「アメリカ」。びっくりしました。亡くなった父親が故郷の海で、「この先にはハワイがあって、ハワイは日本に段々近づいている」と言ったことを思い出していました。
(本当は海の向こうはハワイではなく、静岡の御前崎でしたが・・・)

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