No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

かつて港町には塩乃湯という銭湯があった

2014-12-01 | 街:秋田
















秋田土崎に「塩之湯」という古い銭湯がある。熟練の左官職人が手がけたと思われる漆喰細工が見事な建物で、何回か撮影したこともある。先日、縁あってこの内部に入れて頂くことが出来た。建物を眺めていると、ご主人から声を掛けて頂いたのだ。想定外だったので、手持ちのカメラは35ミリレンズがついたライカだけ。離れたところにある車まで取りにいけば、広角ズームがついたEOSがある。ライカにはこういう撮影は向かないのは承知。でも、縁を優先してそのまま撮影させて頂いた。内部は、物置状態になってはいるものの、かつての銭湯の跡は十分見て取れた。

明治期に創業したという塩之湯。現在の建物は大正末期に建築されたもので、平成になってから休業。おそらく20年以上は経っているかと思うが、まだ銭湯の形跡が残っているとは驚きだ。高い高い脱衣所後の天井には、植物の紋様のついた見事な細工。もう無駄に贅沢ともいえる拘った造りである。そして浴場にはお約束の絵画、さらには明り採りのトップライト。さぞや気持ちの良い銭湯だったんだろうなと思う。港にもほど近く、かつては陸にあがった船員さんも汗を流したのかもしれない。もう営業を停止して長い時間が過ぎたのに、苦労してこの建物を維持しているご主人にも頭がさがる。心の準備がなくて納得いく撮影が出来なくて情けないやら、申し訳ないやら。後日、改めて撮影をお願いしようと思う。

※許可を得て撮影しています。建物の一部は現役の住居です。

LEICA M9 / SUMMICRON 35mm ASPH

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2 コメント

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Unknown (ariari)
2014-12-02 00:02:10
いい御縁ですね。本当に慈しんで被写体をご覧になっていたのだと思います。
その思いが相手に通じると快く撮影させていただけます。
ぼくもどうしても撮りたい場合はお願いしますが、許諾を得ることの大切さを痛感します。
被写体への尊厳を持つことから始まります。
廃墟だと勝手に喜んでいる連中の写真は見たくもないです。
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師匠  (6x6)
2014-12-02 08:12:26
>被写体への尊厳を持つことから始まります。

本当にその通りかと思います。気持ちの襟を正すと相手に通じるのですね。色々貴重な話も聴けて、良い時間を過ごしました。
脳がオーバーフローして、頭が働かなかったのが残念です。お礼かたがた写真を持参して、もう一度お願いしたいのですが、渡せるような写真が撮れませんでした。
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