goo blog サービス終了のお知らせ 

Kawolleriaへようこそ

日記・物語・エッセイ・感想その他

ゴールディング『蝿の王』あらすじ

2007-11-01 07:26:17 | 感想その他
 ①「ホラ貝の音」
砂浜で金髪のラーフが、メガネをかけた太つちょのピギーと知り合う。二人は海水の中にホラ貝の殻を見つけて、拾い上げる。ちょつと細工をすると音が出る。ラーフがそれを高らかに吹き鳴らすと、薮のあちこちから、ちびっ子たちや少年たちがぞろぞろと出てくる。ジャックに率いられた合唱隊の少年たちも出てくる。集会が開かれて、ホラ貝で最初に招集したラーフが隊長に選ばれる。ジャックは大いに不満であるが、合唱隊の統率を任されたので引き下がる。発言者は、むやみにしゃべらずにホラ貝を持って発言することも決められる。島を確認するのが先決だと、ラーフとジャックとサイモンの三人が探検に行くことになる。山頂でここが無人島であり、食料になりそうな野豚がいることも知る。すでにジャックは野豚狩りを夢見ている。
 ②「山頂の狼煙」
三人が下山して、午後集会が開かれる。救助を求めて山頂に狼煙を焚くことが、ラーフによって提案される。山の上で枯れ枝などが集められ、火を点けようとするが、マッチはない。そこでピギーからメガネを奪い取って、それをレンズがわりにして点火する。火は燃え広がり収拾がつかなくなる。失火の混乱騒ぎの中で、顔に痣のある子が一人姿を消す。ようやく鎮火して下山する。ジャックの一隊が狼煙に責任を持つことになる。ピギーだけは山頂の狼煙騒ぎに批判的で、それよりも浜辺に小屋を建てるのが先決だと考えている。
 ③「浜辺の小屋」
浜辺に粗末な三つの小屋が造られる。狩猟隊以外はみんな手伝うことになっているのに、子供たちは泳いだり果物を食べたりして遊んでばかりいる。最後にはラーフとサイモンの二人だけが作業を続けたのだから、粗末なものである。ジャックの頭の中は豚狩りのことでいっぱいで、小屋のことなど取り合わない。子供たちの夜の恐怖から身を護り、救助を待つことを優先させるラーフと豚の肉を得ることに熱中するジャックの感情的な対立はいっそう激しさを増す。孤独を愛するサイモンはひとり森の中に入り込む。
 ④「彩られた顔と長い髪」
無人島に不時着陸してからしばらく経っている。ジャックの狩猟隊は泥で入れ墨のような彩色を施して意気軒昂である。ある日、ラーフは遙か海上に船の煙を発見する。微かに煙突らしきものも見える。振り返って山頂を見上げると、救助を求める狼煙が見えない。ラーフ、サイモン、ピギーは慌てて山頂に駆け上る。狼煙の火は消えている。山の下では、狩猟隊が捕らえた獲物の豚を担いで登ってくる。得意絶頂のジャックをラーフとピギーはジャックの責任を激しく追及する。怒ったジャックはピギーを殴りつけ、ピギーのメガネの片方を破壊する。緊迫する睨み合いの後、ラーフがピギーの片方のレンズで焚き火に火を点ける。焼かれた豚肉を山頂で食らう。屈辱にうちひしがれたラーフたちは下山する。
 ⑤「獣、海よりきたる」
夕暮れ、海辺で集会が開かれる。ラーフはみんなが規則を守らず、勝手な行動ばかりしていると語る。風雨を防ぐまともな小屋も造れず、水も蓄えず、糞尿の垂れ流しで不潔である。とうとう山頂の狼煙も消してしまった。救助の機会もみすみす逃したことを責めて、規則を守るように訴える。また、山火事の危険を指摘して山頂以外では火を焚かないように主張。集会は、次に、ちびっ子が怯えている〈獣〉についての議論になる。ジャックは、豚以外に大きな獣などこの島にはいないと言う。しかし、子供たちの怯えは収まらない。ひ弱だが賢いサイモンが獣はいるかも知れない、もしかしたら自分たちのことかも知れないと言って口をつぐむ。ジャックは、狼煙を消した責任を論難したピギーに、突然怒り出し、ラーフがいつもピギーに味方すると言ってくってかかる。「規則なんて糞食らえ」と喚いて集会を飛び出す。豚狩りの連中も一緒になって砂浜で踊り廻る。みんなの心を一つにしようというラーフのもくろみは失敗したのだ。
 ⑥「獣、空よりきたる」
この無人島の十マイルの彼方では大人の戦争が継続されている。空中戦で撃墜された戦闘機からパラシュートで飛行士が落下してくる。すでに戦死した遺体である。それが島に落下して風の加減で山頂の狼煙の場に吹き上げられてくる。その場に居合わせた当番の少年二人は怪物の出現に仰天して下山して、みんなに知らせる。翌朝、ただちに集会が開かれる。獣の住処は、まだ誰も足を踏み入れていない島の先端の岩場以外は考えられなかった。そこに獣がいなければ、山頂に行くことになった。怪物に山頂を占領されていては、救助の狼煙も上げられない。ちびっ子と臆病なピギーだけを小屋において少年たちは探検に出発する。岩場には獣の気配はなかった。ラーフについてきたジャックは、ここを狩猟隊の砦にすれば絶好だと思う。ラーフは山頂に行くことを決める。
 ⑦「影と高い樹木」
少年たちは岩場から島の裏側に出る。そこで、豚の通り道を発見して、偶然、ラーフは野豚を木槍を投げて傷を負わせる。それがラーフの気持ちを高揚させて、ジャックたちと一緒に狩猟に夢中になっている自分を知る。ジャックは豚の道から山頂に行く道を知っているのに道草をくわせたのだ。その間、森を怖れないサイモンをピギーの待っている小屋に帰りが遅くなるのを知らせに派遣。ラーフとジャックの意地の張り合いから、夕暮れに山頂に登る。二人とロジャーの三人は、山頂で怪物、つまり、パラシュートに絡まれて動く飛行士の遺体に遭遇して、恐怖に駆られて深夜下山する。
 ⑧「暗黒への贈り物」
ラーフは怪物に山頂を占拠されて、にっちもさっちもいかない自分を感じている。ジャックはラーフへの不信感を募らせて、集会を招集してラーフを隊長の地位から引きずり落とそうとする。だが、誰も同調しないので、屈辱の涙を浮かべて、一人その場から去っていく。サイモンはみんなで昼間にもう一度山頂へ行くべきだと提案するが受け入れられない。ピギーは山頂でなくても小屋の近くで火を燃やして狼煙にすれば良いと提案。薪を集める段階で少年たちの多くが姿を消す。ジャックと合流したのである。近くの砂浜でジャックは、少年たちに囲まれている。彼は岩場に砦を造り、そこを根城にして豚狩りをすると言う。獲った獲物の一部を獣に捧げれば、砦まで獣は襲ってこないと言う。少年たちは豚狩りに狂奔。ついて豚を刺し殺して臓物を暴く。ジャックはナイフで豚の頭を切り離し、それを棒に刺して地面に据える。浜辺で豚肉を焼いて宴会を開き、みんなを呼び込もうとする。森に入ったサイモンは豚の頭に出くわす。豚の頭と捨てられた臓物に無数の蠅が集っている。サイモンは怖れない。彼と醜悪な豚の頭との不思議な対話。ついにその場に倒れて意識を失う。ラーフとピギーは狼煙を維持するにも人員不足で、困惑している。獣の恐怖よりも、何よりもみんなが狼煙の重要性を理解しないことに苦悩しているのだ。その時、ジャックら三人がやって来て強引に火を盗んでいく。彼らは豚肉を焼くのに火がどうしても必要なのだ。
 ⑨「ある死への展望」
意識を取り戻したサイモンは山頂を目指す。そこで彼は蠅が集り、腐って悪臭を放つ白骨化しつつある飛行士の遺体をはっきりと見た。彼が初めて獣の正体を見きわめたのだ。早くみんなに知らせようと山を下り始める。小屋の方の煙は消えている。一方、少し離れたところに煙が頼りなく上がっているのを見つける。ラーフとピギーはジャックたちの焚き火へやってくる。彼らの協力がなくては狼煙を維持できないからだ。彼らはたらふく肉を食っていて、二人も分け前にありつく。ここではジャックの方が有利である。みんなジャックの仲間になる道を選ぶ。突然、激しい雷雨となる。ラーフは小屋がなくては雨もしのげないと言う。ジャックは砂地に飛び出し少年たちに踊ろうと言う。猛烈な雷鳴の中で少年たちは狩りの唄を唱いながら踊り狂う。「獣を殺せ!その喉を切れ!血を流せ!」。その狂乱の中に何かが飛び込んできた。それは獣の正体を知らせに来たサイモンであった。彼は恐怖に駆られた少年たちに惨殺される。嵐と雨が少年の遺体を浜から海へ押し流した。山頂のパラシュートを着けた遺体もこの嵐で吹き飛ばされ海の彼方へと消えて行った。
 ⑩「ホラ貝とメガネ」
深夜、ラーフとピギーは浜辺の小屋に戻った。翌朝、小屋に残ったのは、双子の二人、(ちびっ子をのぞくと)、たった四人に過ぎないのを知った。狼煙を上げ続けるのは大きな負担であった。ラーフは、昨晩、踊りの輪に飛び込んできて惨殺されたのが、サイモンであるのを知っていた。彼は自分もその狂乱に参加したかも知れないという嫌悪感に打ちひしがれる。慰めるピギー。一方、ジャックは、いよいよ凶悪化して、酋長を名乗り、獣への恐怖に怯える少年たちを統率していた。彼はロジャーとモリスの三人で、浜辺づたいに小屋を襲うことを計画する。深夜、小屋に忍び込み、気づいた四人の少年たちと乱闘になる。ラーフは彼らが集団の象徴であるホラ貝を奪いに来たのだと誤解する。それには目もくれずにピギーの片眼のメガネを奪って逃走していく。彼らは狩りで得た豚を料理するにも火が必要だったのだ。これで狼煙の手段を失ったばかりか、ピギーは盲人同様になってしまったのである。
 ⑪「城砦」
残ったのはホラ貝だけである。それを高らか吹いても集まったのは、ちびっ子をのぞくと、四人だけ。ラーフはジャックが火をくれと言えばあげたのに盗んだことを怒る。ピギーはラーフに手を引いて砦に連れて行ってくれるように頼む。弱虫の彼でも、絶対にジャックの行為は許せなかった。彼の手にはホラ貝が抱えられている。砦の前でラーフはホラ貝を鳴らして集会の招集を告げる。砦では反応がない。ジャックから砦へは誰も入れるなと厳命されている。狩りからジャックが帰ってくる。ラーフとジャックは木槍で激しく闘う。決着はつかない。ラーフは少年たちに「どっちがいい、――規則を守って仲良くやってゆくのと狩りをしたり殺したりするのと?」と問いかける。しかし、野蛮化した少年たちは沈黙を守る。道理を説くピギーに砦の上からロジャーが岩を落とす。ホラ貝を抱えたピギーの体は、飛び散り、岩場を転がり落ち海中に没する。凶暴化した少年たちはラーフに木槍を次々に投げる。その間に、味方だった双子は少年たちに捕らえられる。
 ⑫「追跡者の叫び」
森へ逃げ込んだラーフは、傷を負っていた。ホラ貝は破壊され、ピギーもサイモンも殺された。小屋に戻ったが、人影はない。友だちも火も失われ、もう救助の見込みもなかった。森の中で、白骨化した不気味な豚の頭にも遭遇した。夕暮れ、ラーフは大胆にも砦に近づく。幸運にも、見張りに立たされていた双子と会話を交わすことが出来て、ジャックたちがラーフを追跡しようとしているのを知る。森の中で一夜を過ごしたラーフは、蛮族化したジャックと少年たちに包囲されて、火を放たれた。ようやく繁みを脱けだし砂浜にたどり着いたとき、山火事を見てやって来た本国イギリス兵に救助される。ラーフは自分の無垢(イノセンス)が失われたのを深く感じていた。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿