古代ギリシア人は、来世にいささかも甘い幻想を持つことなく、現世を生きて神々を讃えて、そこから人間的なささやかな節度ある幸福を見出したに違いない。神々と英雄の頌歌としてのホメロスの叙事詩に、自らを引き上げる、そうした意味で、詩的な物語であり、叙事詩であるのは当然であろう。
人間疎外の世界を生きる私たち現代人へ、三千年も年月を隔てて古代ギリシアの充実した「存在」の息吹を聞き分けるというささやかな可能性を示唆する奇跡は、文学あるいは詩の栄光でなくてなんであろうか。
エクリチュールの歴史的な発端が、神々と人間の物語として謳われた意義は、限りなく大きいといえよう。
最後に、W・F・オットー著『神話と宗教』(筑摩書房刊)に感銘し、参考になったことを謝して記しておきたい。
人間疎外の世界を生きる私たち現代人へ、三千年も年月を隔てて古代ギリシアの充実した「存在」の息吹を聞き分けるというささやかな可能性を示唆する奇跡は、文学あるいは詩の栄光でなくてなんであろうか。
エクリチュールの歴史的な発端が、神々と人間の物語として謳われた意義は、限りなく大きいといえよう。
最後に、W・F・オットー著『神話と宗教』(筑摩書房刊)に感銘し、参考になったことを謝して記しておきたい。