私がもっとも愛する『ツァラトゥストラ』第四部「正午」の一部分をそのまま移し味わって一応本稿を終えたい。
「眠りに落ちながら、ツァラトゥストラは、自分の心に向かってこう言った。
『静かに! 静かに! 世界は今まさに完全になったのではないか? それにしても私の身の上に何が起こるのだろうか? そよ風が、鏡のように凪いだ海の上で、目には見えず、鳥の羽毛のような軽やかさで踊る、――そのように眠りが私の上で踊る。
この眠りは私の目を塞がない。それは私の魂を目覚めさせておく。それは軽やかだ。まことに! 鳥の羽毛のような軽やかさだ。
この眠りは、それとなく、私を説き伏せる。それは内側から、媚びる手で私をやわらかく打つ。そして私を言いなりにする。そうだ。それは私の魂が長々と身を伸ばすようにいやおうなくさせる。――
――私の奇妙な魂よ! 何とそれは身を伸ばし、ぐったりとしていることだろう! 第七日の夕べが、ほかならぬこの正午に、私を訪れてきたか? 私の魂は、すでにあまりにも長いこと、見事に熟れた事物の間を恍惚として歩き回ったのか?
私の魂は、長々と身を伸ばす。長々と、――さらに長々と! それは静かに横たわっている、私の奇妙な魂は。それはすでにあまりにも多くの良いものを味わってきた。その黄金の悲哀が私の魂を圧迫する。切ないまでに。
――それはこの上なく静かな入り江に入ってきた船のようだ。――船はいま陸地に身を寄せている。長い旅路と不安な海に疲れて――。陸はずっと頼りになるのではないか?
そのような船が陸に身を寄せ、もたれかかっているときには―― 一匹の蜘蛛が陸から船へ糸を張り渡すだけで十分なのだ。それ以上に堅固なとも綱を、この船は必要としない。
静かな入江のそうした疲れた船のように、――そのように、私も、いま大地にひれ伏している。大地に忠実に、信頼を寄せ、時を待ちながら、ほんのかすかな糸でつなぎとめられている。
「眠りに落ちながら、ツァラトゥストラは、自分の心に向かってこう言った。
『静かに! 静かに! 世界は今まさに完全になったのではないか? それにしても私の身の上に何が起こるのだろうか? そよ風が、鏡のように凪いだ海の上で、目には見えず、鳥の羽毛のような軽やかさで踊る、――そのように眠りが私の上で踊る。
この眠りは私の目を塞がない。それは私の魂を目覚めさせておく。それは軽やかだ。まことに! 鳥の羽毛のような軽やかさだ。
この眠りは、それとなく、私を説き伏せる。それは内側から、媚びる手で私をやわらかく打つ。そして私を言いなりにする。そうだ。それは私の魂が長々と身を伸ばすようにいやおうなくさせる。――
――私の奇妙な魂よ! 何とそれは身を伸ばし、ぐったりとしていることだろう! 第七日の夕べが、ほかならぬこの正午に、私を訪れてきたか? 私の魂は、すでにあまりにも長いこと、見事に熟れた事物の間を恍惚として歩き回ったのか?
私の魂は、長々と身を伸ばす。長々と、――さらに長々と! それは静かに横たわっている、私の奇妙な魂は。それはすでにあまりにも多くの良いものを味わってきた。その黄金の悲哀が私の魂を圧迫する。切ないまでに。
――それはこの上なく静かな入り江に入ってきた船のようだ。――船はいま陸地に身を寄せている。長い旅路と不安な海に疲れて――。陸はずっと頼りになるのではないか?
そのような船が陸に身を寄せ、もたれかかっているときには―― 一匹の蜘蛛が陸から船へ糸を張り渡すだけで十分なのだ。それ以上に堅固なとも綱を、この船は必要としない。
静かな入江のそうした疲れた船のように、――そのように、私も、いま大地にひれ伏している。大地に忠実に、信頼を寄せ、時を待ちながら、ほんのかすかな糸でつなぎとめられている。