写真・腕章
「腕章の着用は労働組合の団結権の行使でもあり、
組合として団結を表明する表現行為である。
労働者個人においても
組合に所属するという自己決定を
対外的に表明する重要な表現行為である。」
(山岸憲司日弁連会長5/23勧告書より)
5月23日、日本弁護士連合会は、中央労働委員会に対して、中央労働委員会が、申立人・労働組合側に腕章着用禁止措置を強要し続けている事に対して、憲法28条、国際人権(社会権)規約8条違反とする勧告書を発表しました。
中央労働委員会は、不当労働行為事件の審問期日において、申立人である労働組合の証人(組合員)に「団結」と記された腕章を外すよう指示し、証人が腕章着用禁止の措置に従わないことを理由として審問を中断し、また、腕章を外さなければ証人採用を取り消すことを示唆しました。
この中央労働委員会の行為について、日本弁護士連合会は、労働者・労働組合の団結権(憲法28条)及び表現の自由(憲法21条)を侵害するものであり、腕章着用禁止の指示を止めること、その指示に従わないことによる証人採用の取消し及び調査・審問の中断・遅滞を招かないようにすることを、中央労働委員会に勧告しました。
団結権を守るべき地方労働委員会、中央労働委員会が、「団結」の表現のささやかな行為である腕章着用を禁止する姿勢は明らかに不当です。
地方労働委員会、中央労委員会はただちに不当な腕章着用禁止を撤回すべきです。
(中央労働委員会による腕章着用禁止に関する人権救済申立事件(勧告) 中央労働委員会宛て勧告2013年5月23日)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/complaint/year/2013/2013_4.html
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資料
日弁連総第17号
2013年(平成25年)5月23日
中央労働委員会
会長 諏 訪 康 雄 殿
日本弁護士連合会
会長 山 岸 憲 司
勧 告 書
当連合会は,X労働組合申立てに係る人権救済申立事件(2010年度第43号人権救済申立事件)につき,貴委員会に対し,以下のとおり勧告する。
第1 勧告の趣旨
貴委員会は,平成22年(2010年)(不再)第○号Y不当労働行為事件における審問期日において,申立人組合員証人に腕章を外すよう指示し,申立人が腕章着用禁止の措置に従わないことを理由として審問を中断し,また,証人採用の取消しを示唆した。
憲法28条,国際人権(社会権)規約8条は勤労者の団結権を保障しており,腕章の着用は労働組合の団結権の行使でもあり,組合として団結を表明する表現行為である。労働者個人においても組合に所属するという自己決定を対外的に表明する重要な表現行為である。その表現の自由は憲法21条,国際人権(自由権)
規約19条,22条でも保障された権利であり,腕章着用を禁止する措置は,労働者・労働組合の団結権及び表現の自由を侵害するものであり,その措置に従わないことを理由に審問を中断したことは,憲法28条の労働基本権の保障を具体化した労働組合法7条,27条の規定する不当労働行為救済を申し立て,労働組合の審理を受ける権利を侵害するものである。
さらに,腕章着用と証人採用あるいは採用取消の必要性は無関係であるにもかかわらず,一旦採用された証人の採用を取り消すことは,上記の人権侵害に該当する上に,労働委員会規則の解釈を誤ったものである。
よつて,当連合会は,貴委員会に対し,腕章着用禁止の指示を止めること,及び,その指示に従わないことによる証人採用の取消し及び調査・審問の中断・遅滞を招かないようにすることを勧告する。
第2 勧告の理由
(略)
(全文)中央労働委員会による腕章着用禁止に関する人権救済申立事件(勧告)(PDFファイル;463KB)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/hr_case/data/2013/complaint_130523.pdf