漢字課題最後の文字『未』です。
画数少ない文字ですが、他の四文字に負けない存在感を放っているのは、一画目と五画目の払いのボリューム、そして三画目縦画の清々しさがその要因でしょう。
二画目の横画は、短いですが『寒』の一番長い横画と同種です。
極端に言えば、『未』二画目の横画をストレッチすると、『寒』の一番長い横画に近づきます。
『梅』の横画と『著』の横画が同種であるような関係です。
一画目と二画目のうねった動きを三画目縦画で、おさめるように書いて見ましょう。
馬鹿真面目なほど三画目の頭ができていますが、これは筆先を素早く真上に持ってきた故にできた結果です。
下方にひく流れの中でほんの少し左へうねった後、真っ直ぐに下がりますが、終盤少し押し込んで膨らませたあと、ほんの少し左へ寄せてから筆先を少し遅らせるようにして払っています。
うねりが大きくなってしまうと、清々しさが失われてしまうので注意が必要です。
やり過ぎ注意!(笑)
さて、漢字課題五文字をザックリと解説してきました。
大切なのは、皆さんそれぞれが、詩の意味を感じて、自分に置き換えて故郷に想いを馳せながら書くことです。
その上で、書き手がその内容を鑑賞者に伝えやすくするために、どのような書技を駆使して、しかもそれをこれ見よがしではない方法で表しているかを観察し、理解した上で臨書してください。
新規、初級、人位級の方々は、形を模す臨書『形臨』をして、書技を学び取りましょう。
地位級の方々はその形の中に、書き手の意図を汲み、それを越える自分の線を一箇所でもよいですから、表すチャレンジをしてください。
天位級の方々は、書き手を越えるチャレンジをしてください。
結果、お手本と違うオリジナリティある作品を目指しましょう。
それは、詩の解釈の差から出ていなければなりません。
別な書技を使って表す必然はそこにあるからです。
一人一人に異なる故郷があるように、詩の解釈は一人一人違うはずです。
あなたの故郷を思う気持ちを、あなたの解釈で点画にして書いて見ましょう。
結果ボロボロになったとしても、お手本に戻ってしまっても、その過程で学んだ事やチャレンジした努力は点画や筆意を通じて伝わってくるはずです。
それは『背臨』を超えた、オリジナリティです。
評価を気にせず、果敢にチャレンジしてオリジナリティを求めてください。
さて、次回はかな課題の解説をいたします。
二月末あたりなると思います。
みなさん、競書頑張ってくださいね〜