かけ足、中山間地の変遷
世の中、エネルギーは薪炭から化石燃料(石油・ガス)に代わりました。その結果、薪炭の需要がなくなり山で大きな比重を占めていた収入が激減しました。養蚕や和紙が化繊や洋紙に押されて、成り立たなくなりました。
山にトドメをさしたのは外材の完全輸入自由化です。円高政策ともあいまって外材が大量に輸入され、日本の林業は壊滅します。さらに食管法の廃止と減反政策が追い打ちをかけます。これを自然の流れだと思ってはいけないと思います。政治が働いているからです。政治によってだれの暮らしが良くなり、悪くなったのかを冷静に見る目を持つことが大事です。
中山間地に働く場所がない
一連の政策の結果、中山間地で働く場所はなくなり、若者は都市に流出する以外、選択はなくなりました。残って先祖伝来の山林と農地を守った両親もやがて高齢化がすすみ、亡くなる人が増えます。
亡くなると、その後に発生するのは「相続」です。相続した人は相続登記が必要ですがそのままになっている農地、森林が増え、この多くで耕作放棄、管理放棄の森林が発生しています。
急増している不在村所有者(地主)
この問題の延長にあるのが不在村所有者の急増です。どれぐらい不在村所有者があるのか。推計したのが上の図です。農地では15%、森林では25%もものぼります。
農地所有者の7人に1人が不在村です。その5人に1人は相続時に何も手続きをしていません。森林所有者では、4人に1人が不在村で約20人に1人が相続時、何も手続きをしていません。
(図出所:国交省「農地・森林の不在村所有者に対する調査結果」)
町全体がさびれる
中山間地では農業、林業が基幹産業でした。その基幹産業がダメになったため町村の商業・サービス業もダメになりました。こうして日本の体力・国力は急激に低下しています。国力を象徴するもう一つの指標、自営業者の推移を次回みます。
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