検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

底力を見せた有力者 連載小説230

2013年02月22日 | 第2部-小説
  翌日の午後、将太は切手を買うため占部町の郵便局に車を走らせた。すると旧家の屋敷塀に貼り出されたポスターに目が止まった。公平の名前が目についたからだ。車をバックさせてポスターの前に止めた。
「ポスターがもう作られている」と驚いた。

 そして郵便局に向う途中、町の掲示板のほか矢張り旧家の板塀、商店のガラス戸に貼り出されたポスターがあった。その速さと貼り出された場所に驚いた。
 行政が影響下にある連絡網を使い、あるいは有力者が関係する傘下にポスター掲示の依頼をすると瞬く間に動きがつくられる。その伝達の早さと依頼の通り、行動する町民。上からの連絡は従順に従い、言われたことはいち早くやる。それは小さな山間地で生きていくため、住民が身につけた処世術の一つだったが、有力者が自分の力を実感する光景でもあった。

 しかしだれが作ったのか。公平の携帯に電話した。
「さきほど課長から電話があった」といった。
 松本課長が仕掛け、関係団体に下ろしたのだ。レールは敷かれた。当日はおそらく層々たる顔ぶれが姿を見せるに違いない。十分準備してかからねばいけない。やはり勝負どころだ。将太は報告会のポイントと流れをいくつか考えた。