検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

中古エンジンで発電、フライアムトの農家  連載小説216

2013年02月05日 | 第2部-小説
  予定外の訪問をしたため、ドイツ・フライアムト村までアウトバーンで急いだ。将太がフライアムト村の話を聞いたのは夏だった。大学同士の教員交換留学で1年間、ドイツ留学をした知人の大学准教授がいる。その准教授が酒の席で「中古トラックエンジンで電気をつくって売電、儲けている農家があった」といった。
「中古エンジンで」と将太は聞き返した。
「そうだ、しかも燃料は草と牛の糞尿で作ったメタンだ。草と糞尿をタンクに放り込んでほったらかしにしているとメタンが発生し、エンジンを動かして発電する。電気なんって簡単につくっている」と話も簡単だった。

 発電機があれば、動力と接続すると発電する。ただ将太が驚いたのは中古のトラックエンジンを自分で改良して発電し、それを売電していることだった。そんな風にしてつくった電力を日本の電力会社は買うのか。
「中古エンジンでつくった電力を売っているのはドイツでは珍しくない。あっちこっちでやっている。電力で町おこしをする気だったら一度、見てきた方がいい」と准教授はすすめた。
 今、准教授に教えてもらった村の農家に向かっていた。フライブルグ市から北へ約25kmにある村だった。
写真:フライアムト村の中心。右、山の上に風力発電が見える。その場所も視察地