40年程前の学生時代に、仲間と登った根子岳の記憶を懐かしく思い出している時、会長さんが私に声を懸けてきました。
「◯◯さんも行ってみんね?」
「アイゼン歩行の訓練になっバィ!」
「◯◯さんは随分長いこと行っとらんけん、久しぶいに行ってみたらよか」
連れ合いの体調の事が頭を過ぎりました。
母の百箇日の事も気になりました。
しかし、連れ合いの体調も徐々に元に戻りつつあったことと、母の百箇日を一つの区切りにしようという私の意志も働き、会長さんの声懸けに対し、
「はあ、行ってみたいです… 」と、
つい、答えてしまいました。
この計画のチーフリーダーである会長さんは、“参加者” のところに私の名前を書き込んだのでした。
行くと決めた時点から、停滞していた私の気持ちまで変わってきたのが自分でも分かりました。
九州と言えども冬山に行くとなると、それなりの装備も必要になります。
アイゼンは必要不可欠な装備です。
冬山用の登山靴もあれば安心です。
カラビナも手持ちの2個では足りないし、スリング(帯状の紐)も追加購入しなければいけません。
他にも揃えなければならない登攀具も出てきました。
会長さんのあの半ば強引とも言える声懸けが、今まで後ろばかり見ていた私を、前向きに変えてくれたのでした。
その日の例会から帰った私は、連れ合いに12月に根子岳に行くことを伝えました。