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TANEの独り言

日々の生活の中でのつぶやきだから聞き流してネ

夏山合宿2025『木曽駒ヶ岳→空木岳 縦走』❽

2025-08-18 21:08:00 | 山岳会
 宝剣山荘まで辿り着いた私たちは雨風が凌げる場所にザックをおろし休憩しました。

 宝剣岳を越えて稜線の道を進むという選択肢は消えたわけで木曽殿山荘にはキャンセルの連絡を入れなければなりません。私はスマホを取り出しましたが“圏外”でした。

 通信会社が違うメンバーのスマホも確認してもらうと、なんとアンテナ表示が出ています。私はそのメンバーのスマホを借りて木曽殿山荘へ電話しました。10回以上の呼び出し音の後に女性の声が聞こえた時はホッとしました。

 風の中でしたので私の声が聞き取りにくかったようですが、風雨の為先へすすめす下山するので宿泊は“キャンセル”する旨伝えることができました。

 会長は私のことを思ってか、

「あんた一人空身で宝剣岳行ってこんね、オイ達はココで待っとるけん!」

との提案がありましたが、とても行ける状況ではなく丁重に辞退させてもらいました。

 乗越浄土からは一気にカール内へ下って行きます。つい先程までの強風は嘘のようにおさまりました。

 嵐を潜り抜けてきた高齢者3人組は、この雨で息を吹き返した花々に癒されながらロープウェイ乗り場へ続く急坂を一歩一歩慎重に降りて行きました。



 そんな中にも、個人の登山者や登山ツアーの団体が稜線を目指して登ってきます。中にはスニーカーを履いている若者もいました。

 これがロープウェイで高所まで一気に上がり込むことができる木曽駒ヶ岳の"危うさ"なのだと思うのでした。

 この後、私たちはロープウェイとバスを乗り継ぎ車を停めていた菅の台バスセンターに無事下山したのでした。

 バスセンター駐車場から翌日泊まる予定の旅館へ連絡を入れ、本日の宿泊への変更も上手くできこれまたホッとしました。

 チェックインの15時まで、メンバーの車で諏訪湖観光(諏訪大社上宮と諏訪湖の間欠泉)まで楽しむことができたのです。



 その夜は旅館のシェフが腕を振るったイタリア料理をツマミに無事下山できたことに🍺で乾杯したのでした。



 帰路は一部渋滞もあり13時間かけて帰宅、自宅に着いたのは夜の9時過ぎでした。


      <おしまい!>





夏山合宿2025『木曽駒ヶ岳→空木岳 縦走』❼

2025-08-17 17:46:00 | 山岳会
 私たちの部屋は2階の端にあり3方にカーテンのないサッシ窓がありました。

 7時頃には布団に入り横になりましたが、夜中に窓の全てからピューピューと隙間風の音がして目が覚めたのでした。

 暗闇の中、布団を頭から被り天気図を見ようとスマホを手に取りましたが電波の状況が悪く見ることができませんでした。

 次の日の行動時間はゆっくりペースで7時間を予定していました。もし、雨の中の行動となればもっと時間もかかり疲労も大きくなるでしょう。

 強い風が吹いたりガスに包まれれば泊まる予定の木曽殿山荘に辿り着けず遭難することも考えられました。

 バリエーションルートである宝剣岳の山頂前後の稜線を越えたとして、その先にロープウェイ乗り場へ下るルートとその先にも檜尾岳からバス路線へと下る尾根道があることは確認していました。



 悪天候の中、高齢者3人組が長時間かけて急な尾根道を下ることには危険が伴います。来る時にバスの中からエスケープルートにあるバス停の場所も確認していますが、切り立つ谷の底でした。

 私は翌朝の天候状況により様々なケースを想定しました。頭の中では堂々巡りを繰り返すだけで、結論は"決して無理はしない”ということに至りました。

 いつの間にか眠っていたのでしょう。どれくらいの時間眠ったかは分かりません。私は風の音に加えて雨が屋根や外壁や窓に叩きつける音で目が覚めました。

『これは無理だな… 』

と、思いました。

 起床は4時としていたので、時間が来るまで布団の中で雨と風の音を聞いていました。

 4時少し前には3人とも目が覚めていました。どんよりとした雰囲気が部屋の中に漂っていました。

 昨日の受付時点で朝食はお弁当にしてもらうようお願いしていました。雨の中、まだ暗いうちに小屋を出るのは危険なので、お弁当にしてもらった朝食をまず食べ、明るくなってから中岳経由で宝剣山荘まで行くことにしました。

 バーナーでお湯を沸かしそれぞれのテルモス(私は例のスタンレー)に注いだ私たちは周囲が薄明るくなってきた6時、雨風の強い中ガスに包まれた登山道を歩き始めたのでした。

 体を持って行かれそうになるくらいの風が吹く中、昨日は快晴だった中岳山頂を通過、

 ガスの中を宝剣山荘の建つ宝剣岳分岐へと向かいます。

 そんな悪天候の中、20名以上の団体が木曽駒ヶ岳方向に向かっているのに出くわしました。我が目を疑いましたが、宝剣山荘に泊まっていた登山ツアー客と思われます。

 詳細は分かりません。でも、強い雨風の中、しかも視界は10〜20mなのですがロープウェイが出る千畳敷駅とは逆方向に進んでいるのです。

 ”折角ココまで来たのだから… “的な発想で先を目指すのは登山では決してあってはなりません。運良く何事もなく山を降りることができる場合もあるでしょうが、登山は一か八かの賭けではありません。山に入る人は“潔く撤退する勇気と決断力”が大事だと感じた出来事でした。

<雨と風の中スマホも出せず写真を撮る余裕もありませんでした🙇‍♂️>






夏山合宿2025『木曽駒ヶ岳→空木岳 縦走』❻

2025-08-16 11:02:00 | 山岳会
 暫くテン場を眺めていました。

 テン場の奥には岩肌の中岳が間近に迫り、その山頂付近を雲が勢いよく流れていました。

 雲が切れると青空も顔を覗かせ、白い月も浮かび、今自分が山にいることを強く自覚する光景でした。



 夕飯までにはまだ時間があったので、明日辿る予定の巻き道を偵察に行くことにしました。

 小屋のスリッパを履いていて無理は禁物です。5分ほど岩の道を歩き宝剣岳が見える辺りまで行くと、



 谷間から強い風が吹き上がり次々と雲が発生しているではありませんか。



 この時点で初めて明日の天気が心配になったのでした。

『明日が雨でガスに包まれたら、このルートではなく来る時に通ってきた中岳山頂経由で宝剣山荘まで戻った方が賢明だな… 』

 そのあと私は南アルプス方面の空模様を確認するために20分ほど歩いて中岳山頂へと向かいました。

 途中、宝剣山荘が満室で頂上山荘に向かう同年輩の男性とすれ違いました。時間も時間だったし男性の足元はおぼつかなく気になったので私から声を掛け短い会話を交わしました。

 山頂に立つと宝剣岳や檜尾岳辺りの稜線までは見えましたが空木岳は雲に隠れ、お昼に見えていた南アルプスもまた雲の中でした。



 『明日の朝の天気次第では空木岳方面に向かうのをやめた方が良いかも… 』

 今回の合宿のリーダーを任されていた私は中岳を降りながらそんなことを考えていました。

 すぐに先程すれ違った男性に追いつき、小屋まで話をしながら戻ったのでした。

 小屋に戻ると間もなく夕食の時間になりました。メンバーの2人には私が見てきた風や雲の状況、空木岳方面の様子を伝えました。

 明日の朝は4時起床・5時出発の予定でしたが、朝4時の天気次第では出発を遅らせ、宝剣岳の麓(宝剣山荘前)で行くか降りるか、さもなければ小屋に空きがあるならば宝剣山荘か頂上山荘でもう1泊して天気の回復をまつか、のいずれかの判断をすることを確認したのでした。




夏山合宿2025『木曽駒ヶ岳→空木岳 縦走』❺

2025-08-15 10:28:00 | 山岳会

 これまでの3,000m級の山にアプローチする過程とは全く異なる今回の山行に普段とは違った興奮を覚えながら一歩一歩高度を上げ稜線上の乗越浄土まで上がり込みました。

 左手には宝剣岳が聳え立ち、その山頂にある岩の上に両手を広げて立つ人の姿も見てとれます。

 私たちは宝剣山荘の前にあるペンチで暫し休憩し宝剣岳とは反対方向の中岳へと向かいます。

 あとで思えばこの時宝剣岳に登っておけばと悔やまれます。この快晴の元、まさか翌日が雨と強風の悪天になるとは考えてもいませんでした。

 眩しい太陽に照らされ中岳山頂に立った私たちは木曽駒ヶ岳とその奥にドッシリと聳える御嶽山の姿を目にしました。



 この時、御嶽山は麓まで見えていたのを覚えています。ところが、木曽駒ヶ岳の山頂から見た御嶽山はかろうじて山頂が見えるくらいに周りを雲に囲まれていたのでした。



 今思えば、この時に気付くべきでした。次の日天候が悪化することを… 。

 木曽駒ヶ岳の山頂にも多くの登山者がいて標高を記したプレートを持って記念写真を撮る列ができていました。

 私たちは先ずは上宮に手を合わせてから列に並び、3人揃っての登頂記念写真を撮ってもらいました。



 山頂からは南東方向な南アルプスの山並み、南方向には宝剣岳と檜尾岳・空木岳へと続く稜線を一望でき大満足でした。



 しかし、中岳山頂から見えていた御嶽山は雲の中に沈んでしまい、北アルプスの山並みは確認することができませんでした。

 木曽駒ヶ岳からは東へ続く稜線の道を降り、今夜お世話になる頂上山荘に辿り着きました。

 山荘で持参したカップ麺の昼食を摂り、無事にここまで登って来ることができたこと、天気に恵まれ素晴らしい眺望を目にすることができたことに対して缶ビールで乾杯しました。

 この後夕方の5時の夕食までは自由時間でした。私は小屋の前にあるテン場の様子を見に行きました。



 そこには数張のテントが既に張られてあり、3年前に一人で行った北アルプスの劔沢と南アルプスの北沢長衛小屋でのテン泊を懐かしい思いをもって眺めたのでした。
 

夏山合宿2025『木曽駒ヶ岳→空木岳 縦走』❹

2025-08-14 10:58:00 | 山岳会
 ロープウェイ終点の千畳敷駅は標高2612mで下界を覆っていた雲の上にあった。



 上空には青空が広がり気温は20℃を切っていた。湿度も50%にも満たなかった。

 すぐにでも山行をスタートさせたかったが、その前に駅に設置されているポストに入山届を提出しなければならなかった。

 カール内を散策する人、日帰り登山をする人、小屋泊まりやテント泊する人など沢山の人で駅は溢れていた。登山届を記入したり留守宅に入山連絡している間3にも次のゴンドラが到着し山頂駅前は賑やかになった。

 一気に1,000mも高度を上げたので私たちは30分以上駅にとどまり高地に体を慣らした。



 カール内はお花畑だ。チングルマはすでに綿毛になっていたが、リンドウやトリカブト、トラノオ等々 、幾種類もの高山植物が訪れる人々を幸せな気持ちにさせていた。





 登山道は一旦緩やかに下り遊歩道の分岐からは急な登りになる。岩の道が稜線までジグザグに刻まれており、先を行く登山者の列がずっと上まで確認できた。



 進行方向の左側には険しい宝剣岳の岩壁が屏風のように立ちはだかっている。その上部は三角形に尖っており、頂点のすぐ下に2本の岩が水平に飛び出してる。

『トロルの舌だ!』

 よく見ると、その突き出した岩の上を人が歩いている。青い空が背景になっているので一挙手一投足まで見えるのだ。

<「トロルの舌」…この写真のみ借用>

『よーし、明日は私があの岩の上に立ち雲海やカールをバックに写真を撮るぞ!』



 岩の急登も苦にならなかった。下山してくる登山者に道を譲り合いながら、山を楽しむようにしばしば小休止をとりながら稜線部の乗越浄土まで上がり込んだ。