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米国は瓦解するか

2020-01-31 18:18:11 | 時事問題

米国は瓦解するか

Will the United States of America Split in the Near Future?

古来アメリカ人と今来アメリカ人の対立

永井津記夫(ツイッター:https://twitter.com/eternalitywell)

 

  米国は現在はげしい対立状態にある。共和党の支持層を基盤とするトランプを支持する人々と、リベラル派と呼ばれる人たちが多数を占める民主党を基盤とする勢力のあいだの対立が激化しており、その間のミゾは埋まりそうにない状態である。

  この状況を見て、私は古代日本における“古来人こぞきびと”と“今来人いまきびと”の対立と「差別意識」を思い出す。

  日本には古くから朝鮮半島経由で渡ってきた帰化人がいる。史書で明確に分かるのは応神天皇(5世紀前半に在位)の時代に弓月君(秦氏の先祖)、や千字文を伝えたとされる王仁などが百済から渡来した。7世紀には白村江の戦い(663年)に日本・百済連合軍が唐・新羅連合軍に敗北した後、百済の滅亡によって多数の百済の支配層が日本に亡命してきた。

  もちろん、5世紀よりももっと前、秦が中国を統一する前の春秋戦国時代(770BC~221BC)に戦乱を逃れて中国南部や朝鮮半島経由で日本に渡ってきた人々もいたと考えられる。これは日本の歴史書、『日本書紀』や『古事記』の編纂されるはるか以前のことであり、文献には記述されていない時代の出来事であり、言及する歴史研究者はほとんどいない(春秋戦国時代は中国大陸の大混乱時代で朝鮮半島経由だけではなく中国南部地方からも海洋ルート[奄美・沖縄諸島経由]で日本に渡ってきた集団もあったものと推定される)。

  現在、民族のDNAの研究・解析が進められており、日本人はかなり特異なDNAを持っており、その分析がさらに進み偏見や予断のない正しい分析が行なわれれば縄文時代から弥生時代の変化の過程とその担い手たちの正体も明らかにされるだろう。ただ、炭素年代測定法も年輪年代測定法も誤差の範囲がかなりあり正確な年代を割り出すには不十分であり、(邪馬台国論争を見てもよく分かるように)研究者が恣意的に自分の結論に都合がよいように持っていく面が色濃くある。が、やがてそのような不十分さも克服され、DNA解析、炭素年代測定法、年輪年代測定法を合理的に組合せることにより真実が明らかになる日も来るものと思われる。

  さて、朝鮮半島からは歴史時代に入って明確に確認されるのは、応神・仁徳天皇時代(5世紀)、いわゆる“倭の五王”時代にやってきた“朝鮮人”と白村江の戦いを経て百済滅亡後(7世紀後半)にやってきた“朝鮮人”の間で対立があったと言われている。古い時代の朝鮮からの渡来人(帰化人)を「古来人こぞきびと」、新しく来た渡来人を「今来人いまきびと」という。新たに朝鮮半島から来た人々を古来人は歓迎したわけではない。倭の五王の時代に来たものは“漢文”ができたので(と言うより漢文を教えられるような人物を招来したので)弓月君や王仁の子孫は朝廷で史人ふひとの職に就いている場合が多く、新たに来た渡来人も百済の貴族階級であり、漢文ができすぐに朝廷で文書を扱うポストに就くものも多かった(注1)。古来人の渡来人は今来人に自分たちの地位を奪われるおそれがあり、新参者に対する敵意と差別感情が湧き起こっても不思議ではない。つまり、古来人と今来人の対立である。

  そして、この古来人と今来人の激しい対立が現在の米国で起きている。古来アメリカ人(古来米国人)と今来アメリカ人(今来米国人)の対立である。

  米国には古来よりネイティブアメリカンが住んでおり、コロンブスの北米への到達(1492年)以来、彼らを駆逐(虐殺)して欧米列強(英仏西蘭など)が北米を植民地とし、英国が北米大陸において勝ち残り、新教(プロテスタント)を奉じる白人清教徒らを中心に米国内の白人住民は英国の搾取的植民地政策に反対し対英独立戦争に1776年に勝利しアメリカ合衆国が誕生した。

米国への移民は大きく4つの時期に分けることができるとされている。

1. 入植・植民地時代(17~18世紀)
         イギリス・北アイルランド・オランダ中心のヨーロッパ人

2. 旧移民(~1880年) ※1の入植・植民地時代の人々も含むと考えてよい。

         西・北ヨーロッパ人
           ……ドイツ・イギリス・スカンジナビア・南アイルランド

3. 新移民(1880年代~第二次世界大戦)
         東・南ヨーロッパ人
           ……イタリア・ユダヤ・スラブ・中国人・日本人

4. 新々移民(戦後~)
         アジア・ラテンアメリカ・難民

 

  米国は移民で成り立っている国ではあるが、旧移民(古来人:1と2)と新移民(今来人:3)との間で激しい対立、差別が起こった。旧移民は宗教的には主としてプロテスタントであったが、新移民はカトリック、ユダヤ教、ギリシア正教であり、宗教的にも相容れないものがあった。

  ユダヤ系移民はヨーロッパ諸国での差別と迫害から逃れて新天地の米国に渡ってきたが、待ち受けていたのは、ユダヤ人としての宗教上の理由から来る差別のほかに、今来米国人としての差別があった。一部”ヤクザ“に転落したものもいたが、商才に長けた者も多く商業や金融部門で成功を納め、政治的にも進出し現在米国上下両院でユダヤ系議員がその人口比の割合に照らしてかなりの数を占めている。

  一方、イタリア系移民には1の入植・植民地時代に移民してきた人もいたが、大多数は19世紀後半に統一されたイタリア王国から渡ってきた。イタリアでは統一後の“南北問題”があった。経済的に豊かな北部地域住民の南部地域住民に対する差別から南部のシチリア島の住民などが多数アメリカに渡ったのである。米国でも今来人としての厳しい差別の中でマフィアの頭領として悪名をはせた1920年代(禁酒法時代)のアル・カポネなど現れたが、芸能界や商売(ビジネス)の世界でも多くの成功者を出し、米国(の白人社会)に溶け込んでいった。

  新移民で最も大きな排斥(差別)を受けたのは日系移民であろう。1924年に成立した“排日移民法”によって日本人の新たな移民が禁止されたが、それまでにも大きな差別を受けてきた。一つは新移民(今来人)としての古来米国人からの差別、非キリスト教徒としての差別、非白人(黄色人種)としての差別、つまり、三重の差別である。

  ここで付け加えておかなければならないのは奴隷として米国に連れて来られた黒人である。彼らは(無理やり)分類するなら旧移民に属すると言える(奴隷商人らによって強制的に米国に連れて来られたので移民という言葉は適当ではない)。南北戦争(1861~1865)後、黒人奴隷は解放され法的には奴隷制度はなくなり、黒人も米国市民になったのであるが、実質的には差別は継続し、人種分離(映画館、レストラン、鉄道、バスなどの席を白人と黒人に分けること、学校入学でも黒人を排除するなど)が多数の州で合法とされ、それが1960年代半ばまで公然と続いていた。このような状態を廃止しようとケネディー大統領が公民権の制定に乗り出し、ケネディー暗殺後に後を継いだジョンソン大統領が公民権法を成立させた。 したがって、米国では“差別”とは黒人(有色人種)と白人をレストランやバスの座席や入学で分離するか、黒人を立ち入り禁止にすることであり、明確に形に現れた差別(人種分離)を意味している(これは日本の差別などとは異なる点である)(注2)

  旧移民と新移民の対立と差別、つまり、古来米国人と今来米国人の間の対立、差別は非常にはげしいものがあったが第二次世界大戦後には表面的には黒人の分離差別法の撤廃、公民権法の確立とともにやや解消に向かう方向にあったと言える。が、戦後すぐには東欧やソ連から大量の難民を受入れ、その後、キューバ難民(1968年)、インドシナ難民(1978年)、21世紀に入ってからの中東からのイスラム教徒の難民、また、中米等の不法移民(不法入国者)というように、合わせると巨大な数字になる“新新移民”が戦後、米国に押し寄せ、宗教問題(キリスト教徒とイスラム教徒の対立)とも絡んで複雑な対立、差別意識が生じている。

  が、これを一言で言ってしまえば、古来米国人(1,2,3までが古来人)今来米国人(戦後の新新移民)の対立であり、とくに問題なのは今来米国人の中に多数含まれているイスラム教徒と昔からのキリスト教を奉ずる古来人米国人の対立である。

  この対立は楽観視できないもので私から見ると宗教戦争の様相を呈している。米国は憲法で“信教の自由”を認め、あらゆる宗教活動を公序良俗に反しないかぎり認めている(もちろん、無神論者の存在も認めている)国であるが、実際はキリスト教が今までは“国教的”働きをしてきた。が、ここ最近のイスラム教徒の大量流入にともない、政界に進出するイスラム教徒も生まれ、議会においてキリスト教を奉じる議員や議会関係者との間でトラブルが生じるようになってきた。

  地方議会レベルでは、イスラム教徒の民主党議員がコーランに手を置いて就任宣誓しようとする直前、それをキリスト教徒の共和党議員が阻止するかのような行動にでて問題になったことがある。

  2019年3月、ペンシルバニア州下院議会において共和党議員Stephanie Borowicz(ステファニー・ボロヴィッチ)は、イスラム教徒の民主党議員のMovita Johnson-Harrell (モヴィタ・ジョンソンハレル)が就任演説をする直前に行なわれた議会を開く祈り(invocation)において、十数回イエスの名を唱え、神の赦しを請う“激しい”祈りをしてイスラム教徒の議員の就任宣誓を妨害したとして問題になった。

 上の事件を知って私はこのままでいけば米国社会が分裂し、アメリカ合衆国も瓦解・分裂の方向にすすんでいくように感じたのである。そのことに関しては昨年9月に書いた「政教分離―日本と米国というブログの中で詳述している(https://blog.goo.ne.jp/151144itnagai/e/bde2feefc0c2d4639fe23b1d7dcd4904 )。米国は日本に比して“政教分離”がなされておらず、“銃規制”もほとんど行なわれていない“野蛮国”である、というのが私の結論である。

  古来米国人と今来米国人の対立・差別意識が激化しつつある米国はいま危険な方向にすすんでいるように思えてならない。つまり、アメリカ合衆国が遠くない将来、瓦解するのではないかと思うのである。

    私は中国の国家崩壊、つまり、中国共産党政権の消滅はあと数年後(2026年頃)に本格化し遅くとも2031年の辛亥年には完了すると予測(予言)している(参照;「中国はいつ国家崩壊するか」)。そして、米国でもトランプ政権の改革方向がどうなるかによって中国の国家崩壊の時期と重なるように“合衆国”としての統一が瓦解するのではないかと思わざるをえない (注3)

 

 

 

(注1)  当時の百済語は日本語とあまり変わらず、聞いて理解できるほど近かったとする人がいるが(経済学の大家・小室直樹氏などが言っている)これは誤りである。分裂して2千年くらいの英語とドイツ語は同族語で身体語や数詞などの基礎語彙が今でもかなりの程度似ているが、日本語と朝鮮語は(近ければかなりの程度似ていなければならない)基礎語彙がほとんど一致していないのである。東大教授だった服部四郎氏は、言語年代学の手法を用いて日本語と朝鮮語が同祖(cognate)であったとしてもその分裂年代は四千年前よりも降ることはないと明言した。つまり、日本語と朝鮮語が同一の言語から分かれたとしてもその時期は四千年前くらいになる、ということである。それでは、当時、朝廷に仕えた渡来人がなぜすぐ活躍できたのかということであるが、その答は簡単である。彼らは漢文に堪能なものが多く、当時の朝廷は文章の書けるものを重宝しており、そこに活躍の場があったということと、現在の日本の大相撲のモンゴル人力士が皆流暢に日本語を話すのを見れば分かるように、日本語と朝鮮語は(モンゴル語)は語順が同じでテニヲハなどの助詞も同様なものがあり、語彙を置き換えるだけで会話ができるので、当時の渡来した朝鮮人はそれほど苦労せずに日本語を話せるようになったと思われるし、最初のうちは日本人の漢文のできるものとの“筆談”もできたはずである。つまり、渡来した百済人がすぐ朝廷で活躍できたのは彼らの漢文力と日本語と朝鮮語の語順等の一致による習得のしやすさである。決して当時の日本語と朝鮮語(百済語)が聞いてわかるほど近い言語であったためではないと考えられる。

 

(注2) 日本では言葉による差別、つまり、「差別語」が問題になる。が、米国では「人種分離」という制度的差別が奴隷解放後も残り第二次世界大戦を経てケネディー、フォード大統領の時代に公民権法が成立して“人種分離法”が撤廃された。※参照:「差別とは何か」

 https://ameblo.jp/373374eternal/entry-12427069471.html

 

(注3) 世界の二つの大国(米国と中国)が崩壊に向かうとき、日本はどうするのか。戦後のGHOによるWGIP(戦争犯罪意識埋め込み計略)によって教育界が牛耳られ(法学、政治学、経済学等の学部を中心に戦前戦中の日本の行動を擁護する教師は排除され、むしろ日本を誹謗する教師が国立大学の中枢を占めその教師らに教育を受けたものが今なお日本の大学は多数をしめている)、完全に汚染・洗脳された日本人が政治家となり、マスコミに入り、教育界に入り、経済人となっている。この状況で正しく日本を導いていく戦略論を持つ日本人はどこにいるのかと思わざるを得ない。さらに、このWGIPにより深く洗脳・汚染されているのが中国、韓国、北朝鮮の政権の中枢にいる連中である。彼らは自分たちの非道・無法・不当な諸活動と奴隷制による差別的な自国の歴史を棚に上げ、日本を非難・誹謗することによって日本にたかり日本の譲歩を引き出そうと躍起になっている。

 中国は今もなお人民を農民戸籍(9億人)と都市戸籍(4億人)とに二分され、農民戸籍の者は自分の土地で細々と農業を営むか、都市に出て低賃金で働く農民工となっており、都市戸籍を持つ者の下にうごめく下層階級、いわば、奴隷階級である。中国共産党政権はこの“奴隷階級”を維持、犠牲にすることによって歪な経済発展を遂げてきた。今、中国はウイグル人を数百万人強制収容所に入れ、中国化を行ない従順でないものは犯罪者として処刑し、その臓器を取り出し利用しているとされている(中国共産党政権はいまやドイツのナチス[Nazis]になぞらえて“Chainazi(チャイナチ)”と呼ばれ始めた)。中国共産党政権が“捏造の反日洗脳歴史教育”を行なうのは自分たちの卑怯な政治体制を覆い隠すためと、日本に対する嫉妬があるのだろう。このトンデモない中国政権にすり寄り肩入れしようとしている愚かな日本人が経済界に多数おり、日本の政界にも多数いる(日中議員連盟所属議員など)。中国は数年先には“大崩壊”を起こす。その時、中国に製造工場を置く企業がその大崩壊を乗り越えて設備(工場など)が生き残るかどうかは運しだいであるが、おそらく、混乱(暴動)の爪痕として破壊され大損害を被る可能性の方が強い。いかに中国から撤収するか、中国に日本企業の財産を持つなら(私が経営者なら動乱収束後の中国に進出する)どこがいちばん安全かを考えなければならない。

 韓国も(北朝鮮も含めて)自国の歴史、日韓併合前の奴隷制の歴史を覆い隠している。日韓併合前の朝鮮にはや白丁という奴隷階級があり、の中に妓生(キーセン)という女性の“性奴隷”も存在した。戦前の日本軍が“慰安婦”という“性奴隷”をつくったと騒いでいる連中は李氏朝鮮時代の“性奴隷”の歴史を無視するか、「朝鮮が性奴隷制を敷いていた」ということから、日本も当然そのようなことをする国だろうという考えで事実確認などせずに日本軍が“韓国人を性奴隷にした”と騒いでいるのであろう。日本は欧米や朝鮮、中国に比して奴隷制からはもっとも遠い国である(おそらく8世紀、聖武天皇が奈良の大仏を建造した時代には仏教国として奴隷制を完全に脱していた)。韓国は近代まで継続していた李氏朝鮮時代の奴隷制の歴史、紀元前から中国の属国として(あるいは中国の一部として)支配されてきた歴史を覆い隠し、日韓併合に際し奴隷制を破壊し中国の頸木を断ち切った日本を非難して一体どこに行くつもりか。  (2020年1月31日記)