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*中国共産党政権の極悪非道*いつ中国は国家崩壊するか*ヤクザ組織・国家への対処法*なぜ日本にテロが無いか*北朝鮮問題*

北朝鮮問題3

2017-09-29 14:28:58 | 時事問題

「炎と怒りの米軍事力」と北朝鮮

  トランプ大統領が9月19日の国連総会の演説において北朝鮮に最終警告をした。

  The United States has great strength and patience, but if it is forced to defend itself or its allies, we will have no choice but to totally destroy North Korea. "Rocket Man" is on a suicide mission for himself and for his regime.

  米国は大いなる力と忍耐力を持っているが、もし、自国と同盟国を守らざるをえなくなれば、我々は北朝鮮を完全に破壊する外に選択の余地がなくなるだろう。“ロケットマン”は自身と自分の体制のために自爆作戦を行っているのだ。

  The United States is ready, willing and able. But hopefully, this will not be necessary.

  米国はその用意ができていおり、意志も持っており、能力も持っている。が、願わくは、このような行動が必要でなくなることである。

  トランプ大統領の発言は恐ろしい内容である。前々回のブログ(9月2日)で私は次のように書いた。

  (北朝鮮が多様な場所から多様な方法でミサイルを発射できることを示していることに対して) が、この考えは危険きわまりないものである。米国は日本全域に焦土作戦敢行した国である。どこからミサイルが飛んでくるのか分からなければ、可能性のある場所はすべて攻撃するというのが米国の立場であろう。北朝鮮は面積的にも日本と同様に非常に小さな国である。戦術核を使えば5、6発でほぼ国土の全域が使用不能におちいる。米国が日本に対して太平洋戦争で行なったように、北朝鮮に焦土作戦 (かならずしも焼夷弾やナパーム弾を用いることを意味しない) を展開することはあり得ることである。その場合、北朝鮮人民の被害は甚大なものとなる。

 

  この中で「北朝鮮は面積的にも日本と同様に非常に小さな国である」と書いているが、実際には狭い日本の32・5%しかない国である。また、制空権も制海権も無いに等しい。トランプ大統領が「北朝鮮を完全に破壊する」、「北朝鮮人民の被害は甚大なものとなる」 と言い放ったのは“核兵器”か“核兵器以上に破壊力のある兵器 (まだ開発されていないと思われるが)”を使うという意味である。つまり、金正恩の脅しは、日本のマスコミや評論家には効いてもトランプには効かないということである。

    北朝鮮は「ソウルを火の海にする」、「東京を火の海にする」と金正日の時代から脅しの言葉を吐きつづけている (このようなヤクザ発言を続けさせておく政治が無能であったと思う)。ソウル市民と東京都民を人質にとって米国と対峙するつもりであろうが、自国が火の海になることは想定していないのかもしれない。まさか、金正恩がそれほど愚かとは思わないが、もし、そのように考えているのなら愚かにもほどがある、ということになる。「北朝鮮を壊滅させる(=火の海にする)という言葉はおそらく北朝鮮指導部の想定外の言葉であろうが、トランプ大統領の言葉は単なる脅しではないと北朝鮮側は考えたほうがよい。それに私が心配し、怖れているのは、トランプ大統領が日本に原爆を落とした大統領トルーマンの言葉を国連演説にも引用したし、8月9日にも北朝鮮の挑発に対して応じた言葉もトルーマンが広島に原爆を投下した後に出した言葉に似ていることである。

   President Trump said North Korea "will be met with fire and fury like the world has never seen" if they continue making nuclear "threats." (Reuters)

「北朝鮮は“世界が今まで一度も見たことがないような炎と怒りを経験させられることになるだろう、核の〈脅し〉を続けるならば”」とトランプ大統領は言った。(ロイター発)

  続けて、トランプ大統領は次のように同じ内容を繰りかえした。  

   North Korea “will be met with the fire and fury and, frankly, power, the likes of which this world has never seen before” if it continued with this behavior.

  「北朝鮮は“この世界が今まで一度も見たことがないような炎と怒りと、はっきり言えば、軍事力経験させられることになるだろう”、このような振る舞いを続けるならば」

  トランプ大統領のこの発言は、広島に原爆を投下したあとの当時のトルーマン大統領の演説によく似ているのである。

   If they do not now accept our terms they may expect a rain of ruin from the air, the like of which has never been seen on this earth.

   もし、我々の条件を今すぐ受け入れないなら、彼らは(=日本の指導者たちは)今までこの地上で一度も見られたことのないような空からの破滅の雨を経験するかもしれない。

  トランプ大統領は、国連演説でもトルーマン大統領に二度言及しており、トルーマンの過去の言動を意識していることは確かである。彼がトルーマンの影響をうけているとしたら、北朝鮮に対してトルーマンと同じ行動をとる可能性がある。北朝鮮側は本当に憂慮しなければならない。“犬の遠吠え (この表現は日本や米国が北朝鮮に対して使うべきもの) ”で日本や韓国をビビらすことはできても、米国には無理であろう。

  米国に対して、たとえ核の小型化に成功し、何発かの大陸間弾道ミサイルを持ったとしても北朝鮮の地政学的状況や制空権も、制海権もほとんど無い環境で米国と張り合うことはできない。インドもパキスタンも核を保有しているが米国を威嚇するような無謀なまねはしていない。核兵器の数もミサイルの性能も米国の比ではない。米国に次ぐ核大国のロシアや中国も米国を威嚇するようなことはしていない。それは彼らが北朝鮮よりはもう少しまともな国であることもあるが、それよりも米国の恐ろしさを知っているからである。もし、米国が核で脅すようなことがあれば、共倒れを覚悟なら反撃する能力をロシアと中国は恐らく備えている。が、そのような状況を米国とロシアと中国はつくり出すようなことはしないし、できないだろう。

  北朝鮮の威嚇行動は日本や韓国 (の軍事戦略的思考の欠如したマスコミや評論家) には効くかもしれないが、米国の指導層には効き目はない。

  トランプ大統領の一連の言動を見て私が思い出すことがある。1962年(昭和37年)の10月(何日だったかは覚えていない)、突然、ラジオからニュースが流れ、アナウンサーが緊張した声で「沖縄の米軍が臨戦態勢に入りました」と伝えたのである。当時、高校1年生の私はキューバ危機のことは頭に入っており、背筋に冷たいものが流れたことをよく覚えている。当時の米ソ対決の時とは大きく様相は異なるが、今は危機的状況にあることは確かである。しかし、ピンチはチャンスでもある。

  朝鮮半島が北朝鮮の崩壊によって韓国主導で統一されることを怖れているのは中国だけではなく、ロシアもまたそうであろう。実現すれば、米国軍の駐留する統一政権と直に対峙することになる。これは評論家たちが言うとおりであろう。が、朝鮮半島の統一には日本も十分な注意を払わなければならない。朝鮮半島全体に反日政権ができることは好ましいことではないからだ。全体が親日政権で統一されるなら、それに越したことはないが、現在の韓国と北朝鮮を見ればわかるように、 (全ての朝鮮人ではないことはよく承知しているが、反日の声が渦巻き、多くの穏健な人たちが声をひそめている状況にある韓国に象徴されるように) 朝鮮人は日本式の控えめな態度、譲歩、誠意、約束が通じる相手ではない(この点、長い間、朝鮮半島を属国として支配していたことのある中国は朝鮮人の扱い方をよく知っているようである)※注1。統一政権ができたら、“甘ちゃん”の日本はより強力な反日政権に悩まされる可能性が高い。

  朝鮮半島は古代には百済、新羅、高句麗というように三国に分裂していた。分裂して安定する地理的条件を持った領域があり、朝鮮半島は地政学的に南北からの力の影響をうけやすく、分裂して安定する傾向が強いのである (ついでに言えば、中国も三国時代や南北朝の時代のように二分裂、三分裂して安定していた時代もある)。日本の朝鮮半島への関与も地政学的によく考えて行なっていく必要がある。

  北朝鮮問題解決の最善のシナリオは北朝鮮の指導層が交代(排除も含む)し、核と中・長距離ミサイルを放棄し、日米韓に対する敵視政策をとらない政権が誕生することである。そのために日本は米国と連携し、韓国とも連携しなければならない。米国が軍事的選択をせずに、この状況をつくり出すためにはヤクザ的恫喝国家・北朝鮮に対してもっと脅しをかける必要がある。トランプ大統領が発言しているように、米国が軍事的選択をすることは、北朝鮮全土(ミサイルの発射される可能性のある場所のすべて)を壊滅させることを意味することを、北朝鮮側に明確に伝えることである。

  トランプ大統領は国の最高指導者であるから、あまり本人が直接的なことを言うのはどうかと私は思う。私が大統領なら、ナンバー3、かナンバー4くらいの高官に「今のように米国を威嚇するなら、北朝鮮の人民に甚大な被害が出る」と言わせる。そして、大統領はその発言を否定しなければよいのである。ただ、現在、米国は日本が望む、最善ではないかもしれないが最善に近い道をとってくれているように思われる。

  日本のマスコミや評論家なども、ヤクザに脅される一般市民のごとく怯えるのではなく、はっきりと「北朝鮮人民が危険だ」と言わなければならない。日本には北朝鮮のシンパや工作員も多数まぎれ込んでいるとされている。北朝鮮指導部と通じている連中もいるだろう。その連中に「北朝鮮人民が壊滅の危機にある」ことを認識させれば、彼らは北朝鮮人民のように一方的な情報の世界にはいないのだから何らかの体制変革の行動を起こす可能性が出てくる。彼らから北朝鮮の一定の層に「北朝鮮人民が危機にある」ことが伝われば大きな変化が起こるかもしれない。日本のマスコミは日本人を怯えさせるのではなく、北朝鮮関係者を脅す(にアドバイスする)のである。これが米国を軍事行動に走らせず、北朝鮮指導層の交代を起こさせる、日本にとっても、北朝鮮にとっても、米国にとっても最善の道である。

  すべてとは言わないが、日本のマスコミの大多数は、戦前、「満州は日本の生命線」などと軍部の尻をたたき、日中戦争から太平洋戦争に日本人を駆りたてたではないか(その結果、日本は大きな破局を迎えた)。現在、日本のマスコミは日本の政府や日本の組織を批判する勇気は持っているようであるが(大切な勇気である)、米国や中国やソ連などの大国や、北朝鮮のようなヤクザ国家の横暴をたたく勇気はないように見える。(よく言えば日本人の控えめな態度であり、悪く言えば内弁慶の性格のあらわれである)今こそ声を大にして「北朝鮮人民が危機にある」ことを言うべきだ。それが北朝鮮人民と北朝鮮という国を破滅から救う道である。

  「ソウルを火の海にする」「東京を火の海にする」というような暴言を国家機関として吐く“ヤクザ”国家がどうして国連の一員にとどまっているのか(北朝鮮国民がヤクザだと言っているのではない、誤解のないように、念のため)。 米国の学校では教師に対して“I'll kill you. (殺すぞ)”と言うような言葉を生徒が吐けば、即、退学となると私は同僚であった米国人AETのBill Griffinさんから聞いたことがある(日本の学校はこの点では生徒に甘い)。国家として暴言を吐くような国は、即、除名処分にし、その他の制裁も即刻、課すことができる機関に国連を改革する必要がある。 

  

  ※北朝鮮の経済制裁に関連して太平洋戦争前の日本と比較する人がいるが、今の北朝鮮と当時の日本では、対米比率の軍事力に大きな差がある。1939年当時では、保有航空機数は日本のほうが米国より倍以上も多かったとされているし、海軍力においても、英米が日本の拡大をおそれ、ワシントン海軍軍縮条約(1921年)、ロンドン海軍軍縮条約(1930年)により、日本の海軍力の膨張を抑制 (英米日の戦艦の総排水トン数比・ 英5: 米5: 日3) しようとしたほど、米英と大差ない海軍力も有していた。有能な軍事指導部と参謀(軍師)がいれば、米国とも有利な条件で講和できた、つまり、勝利した可能性はかなりあったと私は考えている。(※日本が負けたほうが良かったとは決して思わないが、もし、太平洋戦争で勝利を収めていたら、その後、軍人が威張ってのさばる世の中になっていたのかもしれないと考えると、その後の思考が停止してしまう。)

  ※日露戦争において日本が“勝利”した、とされている。日本は日本近海においてロシアのバルチック艦隊を撃破し、旅順のおいても陸戦を制した。しかし、広大なロシア全土を制圧したわけではなく、“部分的勝利”に過ぎなかったが、講和に持ち込み、日本に有利な条件で決着したのである。太平洋戦争でも、このような有利な段階で決着する方法があったはずである。        

 

※注1) 私は「朝鮮人」という用語を使っている。以前に在日コリアンの人権活動家から、「韓国の方」「韓国の人」や「朝鮮の方」というような言い方は止めて欲しい、「朝鮮人」という言葉を使って欲しいと言われたからである。日本の永住権を持つ朝鮮人に関して、現在、韓国籍の朝鮮人と“朝鮮籍”の朝鮮人を含めて「在日コリアン」と呼ぶことが多い。

 1945年に日本が太平洋戦争に敗れ、朝鮮半島は北部をソ連軍が統治し、南部は米軍が統治する状況となっていたが、それぞれ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と大韓民国(韓国)として独立し、1952年のサンフランシスコ講和条約の発効により、朝鮮系日本人は日本国籍を失った。日本在住の日本国籍を失った“元”朝鮮系日本人は、はじめはすべて「朝鮮籍」を持つ外国人とされていたが、1966年の日韓条約の批准後、多数の人が朝鮮籍から韓国籍に切り替えた(2016年12月現在:韓国籍 約48万5千人 朝鮮籍 約3万2千人)。が、切り替えなかった人たちは「朝鮮籍」のままである。この「朝鮮籍」の在日コリアンは北朝鮮籍ではないが、大多数の日本人は「朝鮮籍=北朝鮮籍」と思っている。日本に北朝鮮籍の在日韓国・朝鮮人はいない。この点において、マスコミも誤解している場合が多く見受けられる。現在、日本に“北朝鮮籍”の人間は密入国者かスパイでもないかぎり存在しない。「朝鮮籍」を持っている在日コリアンは、国際法上は“無国籍”になる。朝鮮籍の在日コリアンは、韓国籍を取ろうとすれば取れるのにそうしないのであるから、北朝鮮を支持する人が多いと思われるが、そうでない人もいる。北朝鮮は自分たちのシンパを増やすために「朝鮮籍=北朝鮮籍」のように見なしていると思われる。在日コリアンの中には二人の子どものうち一人には韓国籍をとらせ、もう一人は朝鮮籍のままとし、自分も朝鮮籍のままという人もいる。これは私の知り合いの在日コリアンの例である。 (2017年9月29日記 9月30日修正追記)

 


北朝鮮問題

2017-09-15 18:55:49 | 時事問題

米国の恐ろしさと北朝鮮

  

  ソ連の崩壊後(1992年ころだったと記憶している)に私はある大新聞の記者をしている(7歳年上の)友人と米国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)のことに話が及んだとき、私は、

米国のミサイルの大半はソ連や中国に照準を合わせているでしょうが、その一部は日本に向けていたはずだし、今も向けているでしょう。

と発言すると、その友人は、

  同盟国の日本にアメリカがミサイルの照準を合わせているはずがない。

と言下に否定した。

 ソ連や中国が日本にミサイルの照準を合わせているのと同様に米国も日本に照準を合わせているはずです。なぜなら、もし、日本がソ連や中国の手に落ちて、その優れた技術力を米国を滅ぼすのに利用されてはかなわないから、普通の頭のある大統領や軍部なら日本にミサイルの照準を合わせておくのではないですか。

と私が言っても、その友人は、

アメリカが日本にミサイルを向けるはずがない。

と主張するばかりであった。

  が、数年後、米国の核ミサイルの中には日本に照準を合わせているものがあったことを機密文書が公開されて判明した。これは、一時、日本のメディアでも取り上げたが、ほとんど問題になることもなく、すぐに、忘れ去られた(というより、米国が日本に圧力をかけて、マスコミにも圧力がかかり問題にすることができなくなったのかもしれない。これは、なぜか、ネット検索にかからない)。

  私の「日本がソ連や中国の手に落ちたときに備えて米国が日本に核ミサイルの照準を合わせている」という考えすら甘いのかもしれない。米国は太平洋戦争において、米軍の被害を最小限にとどめ戦争を早く終結させるという理由をつけて、広島と長崎に原爆を投下し多数の市民を“虐殺”することも躊躇しなかった国である。戦後は荒廃した日本を強力に援助し、私なども母乳の出ない母は米軍の提供する脱脂粉乳で私を育てたのであるから、米国にはその点で深く感謝しなければならないのだが、米国の深層には「日本など滅んだ方がよい」という意識が存在するのかもしれない。

  冷戦時代、米国の核ミサイルが日本にも照準を合わせていると考えた日本人が果たして何人いるのだろうか。軍事戦略論的に考えれば、米国は私が考えるのと同様に日本に核ミサイルの照準を合わせておかなければならないが、軍事戦略的思考の欠如した日本の政治家、評論家、ジャーナリストたちには、想像も及ばない思考回路であろう(自衛隊の幹部の中には私と同様に考えた人たちもいたと考えたい。もし、考えていたなら日本は少しは安泰である)

  付言すれば、米国が日本のように“甘ちゃん”でない真の軍事戦略論に基づく国家なら、全ての核保有国(英国やイスラエルも含めて)に核ミサイルの照準を合わせていなければならない(もちろん、核ミサイル搭載の原子力潜水艦の機動的運用を勘案すると、実際の形態は異なるかもしれないが、全ての核保有国と日本に核ミサイルの照準を合わせておくのが米国としての筋の通った軍事戦略であり、本心でなければならない。人間的には容認しがたい行為であると思う人もいるだろうが、自国を守ることを本分とする軍事戦略論の立場は冷徹である)。

  日本は自衛隊を有するが、憲法の制約から専守防衛の国家である。が、国家を安全に存立させ、国民に安全を保障するためには軍事戦略論にもとづく行動が不可欠である。行動とは策略、策謀、謀略なども含んでいる。

  日本の外交は戦後の日本が基本的にとってきた、全ての国に対する“善隣友好外交”である。これは非常に大切である。が、もう一つの重要な(裏の)外交政策も必要である。それは、軍事戦略論に由来する行動を加味した外交である。

  私の言う“軍事戦略論”とは全ての国を“敵”と見て、その国を“滅ぼす”方法を常に考えておくことである。“滅ぼす”というと驚く人が多いと思われるが、相手(=敵)の弱点をさぐり敵を窮地に追い込む方法を見いだしておくことである(必要なとき最終的に使うためである)。もちろん、対象は全ての国であるから、米国も含まれる。相手の弱点を熟知してこそ“善隣友好外交”もより有効となる。

  国家の指導者は、国家と国民の安全を確保するために冷徹に“軍事戦略論的思考”も加味して、あらゆる可能性を考慮に入れて外交を考えていく必要がある。国民の安全のために必要とあらば、戦国大名のように策略、計略、策謀も用い、“敵に寝返る”こともしてもらわねばならない場合もある(これは、そのような覚悟をしておく必要があるということである)。現在、世界最強の軍事大国は米国である。当面は米国とともに脅威に対応するのが最善であろう。

  しかし、日本の指導者に欠けている感覚は、“世に常なるものは何もない”、つまり、「世の中は“不常”である」ということであろう。どこかの国が核兵器など問題にならない“新兵器”を開発したらどうするか、国民の安全を第一に考えて、あらゆる変化に対応することを考えておかなければならない。

  「平和」「平和」と口で唱えるだけで平和が来ないことは確かである。残念ながら、他国の脅しや侵略にそなえて、軍事力を持つことは必要であるが、軍事力とは戦闘機や戦艦やミサイル等の物理的な軍事力だけを意味するのではない。軍事戦略論 (「軍事的教養」と呼んでもよい) にもとづく “精神的(頭脳的)軍事力”も重要である。物理的軍事力よりも重要な場合があると私は考えている。

  精神的軍事力=軍事戦略論は、「平和戦略論」と言いかえてもよい。平和を構築するための軍事的知識とその実践方法を教えるのが「平和戦略論」である。「平和戦略論」は国の為政者・指導者たらんとするものが持つべき必須の「知識・教養」であるが、残念なことに、日本の指導者的地位にある人たちでこの知識・教養を持つ人は絶無に近い状態である。その大きな原因は、太平洋戦争で敗北したあと、「戦争学」を研究する場と人材がほぼ皆無となり、教える人も教えを受ける人も消滅したからである(戦前に私の言う「平和戦略論」を研究し、指導層に教える場があったかどうかは分からないが、今よりは軍事戦略論を熟知する人たちがいたであろう)

  日本政府は2017年、各大学に“軍事研究”を促すべく多額の予算を計上した。大学関係者や科学者たちの中では軍事研究に反対する向きが強い。これは「人殺しの兵器」の開発などしたくない、という気持ちからであり、理解できるが、私は“核兵器を無力にする研究”などを日本の優秀な科学者にぜひやって欲しい。荒唐無稽な要望かもしれないが、放射能も含めて核爆発の作用を(一瞬で)無力化することができれば福島原発の廃炉問題など一挙に解決できる。世界のいくつかの国が核保有していることも意味を失う。

  が、軍事研究は、軍事科学の研究よりも軍事戦略論(=平和戦略論)の研究のほうがむしろ大切であると私は考えている。軍事戦略論は軍事戦略学、平和戦略論は平和戦略学と言い換えられる。私の言う「軍事戦略学=平和戦略学」は戦争をするための“学”ではない。戦争を防ぐためには戦争の起こし方(戦争はなぜ起こるのか)を知らなければならない。クーデターやテロも同様である。その発生の仕組み(メカニズム)、経過(プロセス)がわからなければ、防ぎ方も分からない、ということになる。

  米国は『HOW TO MAKE WAR(戦争のやり方)』(James F. Dunninggan著)という本が出版され市販されている国である。戦争のやり方は現在の日本より熟知していることはまちがいない。というより、世界で一番よく知っているだろう。が、クーデターはどうだろうか。クーデターのやり方をしらなければ、その防ぎ方も分からない。クーデター攻防論については、エドワード・ルトワックが『THE COUP D’ETAT(クーデター入門)』等の戦略に関する本を書いており、米国の陸海空軍で顧問を務め講義をしてきた人物でもあり、その防ぎ方を米国はよく知っていると思われる。

  が、テロに関しては、米国をはじめ、どの国もどのように対処するのかはよく分かっていない、暗中模索の状態である、と言ってよいだろう日本人自身は気づいていないし、現在の日本人が築いたものではなく長い歴史の中で形成されてきたものであるが、テロを防止するために先進国の中で一番ととのった(文化的、宗教的)背景・ 体制を持っているのは日本であろう。この要因は、日本が遠い昔(6世紀)に宗教戦争を終え、神仏を習合しえたことと、戦国時代の覇者・豊臣秀吉が農民から武器を取り上げ“武”と“農”を分離し、徳川幕府も明治政府もそれを踏襲したことであろう。明治以降の移民政策、国籍取得政策にも関係がある。世界の多数の国が日本の移民政策を非難しているが、内心は日本の対処法を羨んでいるかもしれない)

  とにかく、今こそ日本は軍事戦略論(=平和戦略論)を研究し、いかに他国の脅威を排除するかを追求しなければならない。三流国の三流の指導者の“ヤクザ”外交(“総会屋”外交)に振り回されるようなみっともないことをしてはならない(日本のヤクザは金づるからいかにして金をしぼりとるか、イヤガラセ“戦略”[=脅し]に長けている。三流国のイヤガラセ戦略に対抗するためにヤクザから教えをうけたほうがよいとようなミットモナイ組織になってはならない)

  金正恩はマレーシア空港での兄の金正男の暗殺を指示したとされている。叔父の張成沢(チャンソンテク)をはじめ、この4年間で100名以上の側近(軍人を含めて)を処刑した、とされている。父親の金正日は1987年の大韓航空機爆破事件(乗客と乗員115名全員死亡、実行犯の1人、金賢姫は逮捕)の首謀者とされおり、1983年のラングーン事件では全斗煥大統領暗殺を企て、大統領側近を含め21名を爆殺した。また、国家として麻薬の販売、偽ドル札の印刷をし世界にばらまいたとされている。政権に反抗する者、従順でないと見なした北朝鮮人民を強制収容所に入れ、処刑を継続している。

  北朝鮮指導層は過去も現在も北朝鮮人民に“恐怖政治”を行なう“犯罪者集団”である。この指導層をどう“滅ぼす”か、日本の指導層は軍事戦略論にしたがって冷徹に取り組まなければならない。 

 

※軍事戦略論とは無縁の日本のマスコミ、NHKや民放の北朝鮮関係の報道で、なぜ、このような愚かな報道をするのかと思うことがある。それは、北朝鮮の出す映像情報をその言い分とともに無制限に垂れ流していることである。これはいわば、殺人犯などの犯罪者の言い分(見せたいこと)をそのまま流していることになる。日本国内で、殺人犯や強盗の言い分(彼らにもなぜそのようなことをしたのかに対する言い分はあるだろう)をそのまま放映するだろうか。私は、「表現の自由」や「報道の自由」を限りなく尊重するが、それは弱者(小)から強者(大)に「報道の自由」が向かう場合である。マスコミ(中組織=大) が 国民(=小) を結果として脅してどうするつもりか。批判、非難は日本のマスコミ(中組織) から北朝鮮(大組織) に向かうべきだ。これは恐ろしくてできないか。(2017年9月15日記)

※報道機関が軍事戦略的発想で行動しないのは当然であるが、視聴率を上げるためだけの発想で行動するのは止めたほうがよい。特定の層に有利なように報道をもっていくのも長い目でみれば自己の立場を危うくする。「国民」は思想・信条等で結集しないかぎり、数がいくら多かろうが個々人の集合にすぎず、小組織にもならない。(9月16日追記、17日修正)

 


北朝鮮問題に米国はどう反応するか

2017-09-04 22:40:37 | 時事問題

北朝鮮の軍事的脅威にどう対処するか

  朝鮮人と日本人は米国の恐ろしさがわかっていないようである。日本人は忘れてしまったという方が正確かもしれない。私は、父が太平洋戦争でインパール作戦に参加し終戦後、イギリス軍の捕虜となったが、無事、日本に帰国したあと生まれたので空襲や爆撃の恐ろしさは体験として存在しない。

  太平洋戦争において米国は日本人がどれほど死んでもかまわないという覚悟で主要大都市を空襲し、焼夷弾をまき散らし、最後には広島と長崎に原爆を投下し、戦闘員ではない一般市民を、女性、子どもを含めて何十万と虐殺したのである。東京や大阪の中心地は無数の焼夷弾と爆弾で焦土と化した。

  米国は、日本がほとんど手を上げかかっていたのに、日本本土の上陸作戦を敢行すると50万人以上の米国将兵の戦死者が出るとして、広島と長崎に原爆を投下したのである。アメリカの将兵を守るためには日本人にいくら死者が出ようとかまわない、というのが当時の米国の為政者のとった方針であった。

  金正恩大陸間弾道ミサイルの開発、改良をすすめ、米国を射程の範囲に入れようとしている。核兵器の開発もすすめ、その小型化もすすめ、ミサイルに搭載可能な段階に到達しようとしている、と言われている。そして、ミサイルも発射場所をいろいろと変更し、多様な場所から打てることを示そうとしている。つまり、発射場所を特定しにくいようにして敵からの攻撃を避け、米国や日本に向けていつでもミサイルを撃ち込めることを誇示したいようだ。潜水艦の開発もその一環である。そして、この状況に対して日本のマスコミや評論家は恐れおののくばかりに見える。

  北朝鮮から流れてくる映像情報をマスコミは垂れ流して、一般日本人に恐怖心を植え付けているようにしか見えない。私が怖れていることは、北朝鮮が核弾頭を搭載したミサイルの発射基地を多様化することが米国に対する脅しになり日本や韓国に対する脅しになると単細胞的に考えてしかいないように見えることである。

  が、この考えは危険きわまりないものである。米国は太平洋戦争において日本全域に焦土作戦敢行した国である。どこからミサイルが飛んでくるのか分からなければ、可能性のある場所はすべて攻撃するというのが米国の立場であろう。北朝鮮は面積的にも日本と同様にひじょうに小さな国である。戦術核を使えば5、6発でほぼ国土の全域が使用不能におちいる。米国が日本に対して太平洋戦争で行なったように、北朝鮮に焦土作戦(かならずしも焼夷弾やナパーム弾を用いることを意味しない)を展開することはあり得ることである。その場合、北朝鮮人民の被害は甚大なものとなる。

  金正恩のやり方は、日本と韓国を脅して(人質にとって)、米国と渡り合おうということであろうが、無数の北朝鮮人民の命を危険にさらしていることになる。自国は世界の反対を無視して核開発、ミサイル開発を続け、周辺国の善意は利用し、信用できるものと思いこんでいるようである。しかし、米国は北朝鮮が期待しているほど甘い国ではない。

  北朝鮮が一発でもミサイルを撃ち込めば、北朝鮮のありとあらゆる場所にミサイルの雨が降るだろう。なぜなら、米国の大統領なら、トランプ大統領でなくても、自国(同盟国の日本と韓国も含んでいると考えておきたい。両国の米軍基地には米国の軍人だけではなくその家族もいる)にミサイルを撃ち込んでくる国に容赦はしない。米国は自国民を守るためには北朝鮮の一般国民に多大の犠牲が出てもかまわないと考えるだろう。それが米国のやり方である。

 日本のマスコミや評論家に今もっとも必要なことは、北朝鮮から入ってくる情報を垂れ流すのではなく、北朝鮮国民の命が危険にさらされているということを声を大にして言うことである。一般の日本人を脅すのではなく、北朝鮮国民とその関係者(シンパも含めて)に“忠告する(脅す)のである。

 米国にとっても北朝鮮に対して軍事戦略論的にも戦争をしないで勝つことが最良である。日本国内には北朝鮮シンパが多数いるとされている。マスコミの中にもシンパがまぎれ込んでいる可能性がある。彼らは無意識的にかもしれないが日本や米国の善意によりかかり、その恐ろしい最終決断を考えることを避けているようにみえる。日本は甘いかもしれないが米国はあまくはない。

 NHKが太平洋戦争中の米国の空爆に関して『なぜ日本は焼き尽くされたのか』という番組を今夏放映した。太平洋戦争において米国将兵の被害を最小限におさえ、戦争をできるかぎり早く終わらせるために、また、米国空軍の地位を確立するために一般市民の甚大な被害は無視するという形で、米国空軍は容赦なく主要都市を含む60以上の日本の都市に焼夷弾を投下し続けた。そして、米国内で焼夷弾攻撃の非人道性が問題となりはじめたとき、原爆を広島と長崎に投下し日本の降伏に至らせた、という形で米国の空爆、焼夷弾攻撃を総括し、米国の当時の空爆の非人道性と戦争の悲惨さを伝えていた。

  NHKのこの番組の製作意図は、表面的には簡単に理解できるが、北朝鮮が核開発とミサイル開発に突き進むなかで、なにか隠された意図があるのだろうか、とも考えた。勘ぐれば、北朝鮮情勢が緊迫度を増すなか一般日本国民に対する脅し、米国への非難である(もし、これが正しければ北朝鮮側を利する行為であり、制作者は非難されなければならない)。が、さらに、勘ぐれば、北朝鮮(人民)とそのシンパに対する脅しである(これは私の勘ぐり過ぎであろう。が、もし、そうなら私は制作者に拍手を送りたい。今、日本の政府やマスコミにいちばん欠けている姿勢である。ただし、政府が自ら行なう場合には言い方がある)。この番組の制作者のバックグラウンドには興味はあるが、それはともかく、この番組を見て北朝鮮側は恐怖しなければならない。

  戦争ができない日本がとれる最良の軍事戦略は北朝鮮側がみずからその体制を変えるようにもって行くことである。あまり、露骨に書くことは控えるがそのヒントはこのNHK番組の中にある。

※今までに何回か北朝鮮の方向を変える機会は軍事力を使えない日本にもあったはずである。しかし、その機会を活かすことはできなかった。それには、最高権力者の勇気と竹中半兵衛や黒田官兵衛のような軍師が必要である。 (9月4日追記)

米国には(形はともかく)勝ってもらわなければならない。安易に妥協して(それを唱道する評論家もいるが排除すべきだ)北朝鮮のような三流国が核を持った状態で居すわることは日本の安全にとって危険な状態が継続するということである。三流国には三流の指導者しかいない。愚かな銀行の経営者が総会屋の脅しに震えあがって金を巻き上げられるような状況を作り出すべきではない。(9月8日追記)