放課後、生徒たちはガヤガヤと帰路についた。
その中にはチョルもいたが、担任に呼び出しをくらったミエのことが気掛かりのようだ。
「模試も終わったし、サッカーしない?」と、クラスメートは気楽なようだが。
そしてその頃、職員室では・・。
「避けるんじゃないぞ」
ブンッ!
ヒィィィ!
バシッ!!
学年主任が振り上げた物差しは、ソ・ジスの背中に向かって振り下ろされた。
「このバッカもんがぁ!去年は絵を描いて、それでも一学期はちゃんと試験を受けたから、
どうやら真面目にテストを受けないソ・ジスに、学年主任はおかんむりのようだった。
しかし当の本人はというと、
「あー・・はぁ・・まぁ・・うっかり・・」
・・と、まるで説教が響いていないようなので、学年主任の怒りはますますヒートアップする。
「なんだこの野郎!わしをおちょくっとるのか?!もっと叩かれたいようだな?!」
「主任、どうか落ち着いて下さい」「姿勢保てよ!怪我するぞ!」
目の前で繰り広げられるそんな光景を見て、ミエはオロオロするばかりだった。
そんなミエの気持ちを見透かすように、担任が声を掛けた。
「今他人の心配をしてる場合じゃないと思うけどね、ファン・ミエ」「はい?!」
「2科目空白が目立つ状態で提出したわね。しかもその内1つは私の受け持ち・・。
つまり、ミエはテスト半分白紙で提出してしまったのだ。
「え・・?」
「・・え?」「気を確かにね・・」
[どうりでなんか簡単だなと・・]
ミエは何度も「え??」を繰り返した。
受け入れるにはなかなか難しいミスである・・。
<九死に一生>
ようやく事態を把握したミエは、担任にすがって談判を始めた。
隣ではソ・ジスがまだ叩かれていたが、もうそっちを気にしている余裕はなかった。
「先生様〜!お願いですから一度だけ!一度だけ見逃して下さい〜!
(ミエの叫びに、遠くにいた美容院中の母は何かを感じ取っていた)
「何かしら?嫌な予感・・」
担任の温情措置に、ミエはホッと胸を撫で下ろした。
「あぁ助かったぁ・・本当にありがとうございます・・」
そんなミエに、担任が少し真面目なトーンで話を始める。
「よく聞きなさい、ファン・ミエ」
「あなたは明るくて友達ともよくやってるし、
担任はそう話すと、もう行っていいとミエに許可を出した。
ミエは職員室を後にする。
「失礼しましたー」「早く帰りなさい」
「・・・・」
見ないようにしてきた何かを、今目の前に突きつけられた気がした。
けれどそれを実感するには、まだ今のミエでは十分ではないのだった・・。
第七十六話①でした。
みなさま、明けましておめでとうございます!
2023年も無事に明けましたね
良いお正月を過ごされましたでしょうか。
今年もゆるくのんびりと追っかけていく所存です。お暇な時にでも覗きに来ていただけると嬉しいです!
コメントもお待ちしてますー
本年もよろしくお願いいたします
第七十六話②に続きます