北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

「かわいそうの選挙」を乗り越える

2017-11-07 | 国政


今朝の北陸中日新聞から。
蓮野亜耶記者の先般の石川3区の選挙をふり返ってのコラムである。

確かに私も似たような声を聞き、またそんな雰囲気も感じた選挙だった。
蓮野記者は「能登の人たち特有の優しさなんだなあ」と締めくくっているが、この優しさがいいところばかりとは限らない。

私が「『かわいそう』の選挙」という見出しに反応したのには訳がある。
実は1996年の珠洲市長選挙で、まさにこの「『かわいそう』の選挙」の分厚い壁にぶつかり、痛い目にあったのだ。

この市長選挙は、1993年の珠洲市長選挙に不正があったとして私たちは選挙無効を訴え、最高裁で選挙無効が確定したことを受けてのやりなし選挙だった。
この93年市長選は原発推進の林幹人(はやし・みきんど)氏(現職)に対して、私たち原発反対派は樫田準一郎先生を擁立し、かつてない熾烈な選挙戦が展開された。結果は林氏が僅差で勝利となったが投票総数と開票総数が合わず、数え直す度に票数が二転三転。
名古屋高裁金沢支部は、不正の有無を判断するまでもなく選挙事務があまりに杜撰ということで選挙無効とし、県選管が上告した最高裁判決ではさらに踏み込んで不正の可能性にまで言及した。
現職の林市長はこの判決で失職した。

やり直し選挙では、林氏が健康を理由に引退を表明し、急きょ推進派は市総務課長だった貝蔵治(かいぞう・おさむ)氏を擁立。
「市職員の選挙事務のミスで市長を失職した林さん、なんてかわいそうな・・・」
「そのために課長職を投げ打って出馬を決断した貝蔵さん、なんてかわいそうな・・・」
「Wかわいそうな」で不正選挙批判は吹っ飛び、選挙の争点もかすむほどだった。

本当に「かわいそう」なのは「不正選挙の珠洲市」の汚名を着せられた珠洲市民である。
あえて林氏、貝蔵氏、そして樫田先生の3人で「かわいそう比べ」をするなら、一番かわいそうなのは不正選挙で当選を逃した樫田先生である。
もちろん私たちはそんな「かわいそう競争」ではなく、公正な珠洲市の実現、そして原発なしの地域振興策を具体的に訴える正攻法で樫田当選を目指したが、結果は無残にも返り討ちであった。

冒頭のコラムに戻ると、投票に「かわいそう」の感情が入るのは珠洲特有ではなく3区(能登)の住民特有の優しさとのことだが、96市長選の慰めにはならない。



こんな珠洲、こんな能登でいいのかなぁと思いつつ、紙面の上へ目をやると市内上戸町の坂本菜の花ちゃんの連載コラムが掲載されている。
18歳になり、菜の花ちゃん(そろそろ「菜の花さん」?)は初めての選挙にどう臨んだか。

「選挙は『誰にいれるか、どこに入れるか』の前にまず自分がどんな社会を望むのか?この問いから始まることが大切だと気付かされました」

菜の花ちゃんは珠洲原発が終わったときはまだ4歳だったが、しっかり「かわいそう」の選挙を乗り越える世代に育っていることにただただ感激


コメントを投稿