羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

探偵の探偵 1

2015-08-14 21:00:19 | 日記
「長谷部、先に車に戻っててくれ」「いや、でも」「頼む」長谷部は思うところはある様子でその場を離れて行った。「君が復讐の為だけに動いているとは思えない」「私の理解者にでもなったつもり?」窪塚は檜池の死に関し、警察が玲奈を疑っていることを改めて伝えた。「これ以上目立つ行動は控えろ、亡くなった人は帰って来ない。次に法を無視する行動を取れば、俺は君を逮捕する」窪塚は警告し、去った。玲奈は構わず、琴葉を連れて升瀬のダイヤル式ポストまで近付き、蓋を引っ張ったままダイヤルを2回転することで誤認識させ、鍵を開け、中から請求書を盗み出し、車に戻った。玲奈は電話で升瀬の妻に成り済まし請求書の再送の手配をし、升瀬に気付かれるリスクも回避した。玲奈は琴葉に升瀬がどこの口座を使っているか探るよう指示した。「お金を溜め込んでいるのに吐き出せないのは理由がある」探偵への報酬に違いなかった。玲奈は張り込みを続け、琴葉はスマ・リサーチへ戻った。
琴葉の姉、彩音が琴葉への謝罪等の対応を面倒がる夫に、夫の会社でヒステリーを起こす中、琴葉はボイスチェンジャーを使い銀行のコールセンターに升瀬本人を騙って電話を掛けて口座を探り当て、玲奈に知らせた。「私もすぐにそっちに戻ります」戻ろうとする琴葉に、玲奈は来る前に桐島にDVシェルターから逃げた11人について調べてもらうよう頼み、「ありがとう、琴葉」と礼を言った。「はい」琴葉は嬉しそうに返事をしたが、そこへ彩音がスマ・リサーチ社に乗り込んで来た!
「もしもし、私、東京興和銀行調布支店の大島と申します」玲奈は行員を装い、升瀬の携帯電話に電話を掛け、家賃滞納の為、残高の強制徴収を行うと伝えた。慌てる升瀬!「では、こちらから書面を送らせて頂きます」書面に署名すれば口座を存続できると持ち掛ける玲奈。升瀬は少し考え、
     2に続く

探偵の探偵 2

2015-08-14 21:00:11 | 日記
ホテル名を告げた。「何号室ですか?」「フロント留まりで」部屋番までは聞き出せなかった。
スマ・リサーチ社の応接室で彩音と対峙する琴葉。「琴葉」「何しに来たの?」夫とは別れると言い出す彩音。「勝手にすれば?」「謝罪して欲しかっただけなの」夫が主動したと主張する彩音。揉め出すと、「面白そう」と伊根達も応接室の近くに寄ってきた。「同調しちゃったことは認める、そこは反省してる。琴葉には心から申し訳ないって」「申し訳ないのはあたしにじゃない、玲奈さんにでしょ?! どうしてそういう言葉が出て来ないの? もう帰って」強引に彩音を掴んで追い出そうとする琴葉! 揉み合い、彩音を床に転がしてしまう琴葉。「痛い! どうしちゃったの琴葉? こんなのお姉ちゃんが知ってる琴葉じゃない!」すがり付いてくる彩音。「離してよっ!」振りほどく琴葉!「結局さぁ、通報されたくないだけでしょ? 通報されたら、社会人としての立場だって、妹思いの完璧な姉っていうイメージだって全部崩れるもんね!」「お姉ちゃん、ただ琴葉が心配っ」「止めてよ! 子供の頃からずっとそう、勝手に私の服や鞄使ってさぁ、そのクセ自分が貸す時はやたら偉そうで、ずる賢くて、都合が悪くなるとすぐ人のせいにして、可哀想なフリしてさぁ、そういうの! ずっと我慢してきたんだから」「どうしてそんなこと言うの」声を上げて泣く様子を見せる彩音。「嘘泣きなんか止めてよ。玲奈さんが、どれだけ傷付いたかわかる? お姉ちゃんも同じ目に会えばいいんだよ! もういいから帰って、2度と連絡もしてこないで!」「一緒に帰ろう!」「帰って!」琴葉はエレベーターの中に彩音を放った。「お姉ちゃんが守ってあげるからぁ!」「あたしにお姉ちゃんなんかいらない」エレベーターのドアは閉じた。
オフィスに戻ると、
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探偵の探偵 3

2015-08-14 21:00:02 | 日記
伊根達以外の野次馬はスッと席に戻ったが、伊根達は近付き過ぎて逃げ遅れ、出入り口辺りで顔を逸らした。やや離れた所
で伺っていた桐島が「大丈夫か?」と問うと、琴葉は頷き、玲奈からの依頼を伝え、桐島は引き受けた。
玲奈は恋人を装い、ホテルのフロントで升瀬の部屋番を簡単に聞き出したがフロントに升瀬を呼ばれそうになり、「待って下さい! 明日、彼の誕生日で、サプライズでお祝いしたいんです」と回避し、さらに隣室も偽名で取った。升瀬の部屋の階へゆくと、ちょうど清掃員が升瀬の部屋に入り、入れ違いに升瀬がカードキーを1枚部屋に残したまま部屋を出た。「お客様、カードキー!」「もう1枚あるんで」清掃員に指摘されたが、2枚目のカードキーを示して升瀬はだらしない格好でエレベーターに乗って行った。玲奈は清掃員が風呂場で作業している隙に、素早く自分のカードキーと升瀬のカードキーを差し替え、升瀬の部屋を出た。清掃員は一瞬電気が消えたことを不思議がったが、差されたカードキーのナンバーまでは確認しなかった。
隣室に残る1枚の自分のカードキーで入ると、玲奈は腕に付けるタイプのウェアラブル端末を身に付けた。その頃、窪塚と長谷部は裏掲示板にDV被害者を探す加害者達の書き込みらしいのを見付け、掲示板の運営会社へ、調査に向かうことを決めていた。間を置き、玲奈はノックして清掃員や升瀬がいないことを確認すると、升瀬のカードキーで中へ入り、差し替えてカードスイッチに戻した。室内を軽く漁り、升瀬のスマートフォンを見付けると、『お待たせしました。本日夕方お呼びだし申し上げます』と『野放図』からメールが着ているのを見た。「野放図」玲奈は呟き、アカウント登録して升瀬のスマートフォンと自分のウェアラブル端末を同期させた。玲奈が続けて部屋を調べ始めると、
     4に続く

探偵の探偵 4

2015-08-14 20:59:52 | 日記
升瀬がカードキーを使う音がした! 玲奈は高速かつ静かに手近なクローゼットに身を潜めた。何も気付かない升瀬は煙草を吸おうとしたがライターが点かない。替えの火を探し、クローゼットに近付くが、升瀬は気付くこと無く、部屋を出て行った。玲奈は部屋の調べを再開し、件の『死神』の調査報告書を発見! 写真に収め、升瀬の部屋を後にした。隣室に戻った玲奈は同期の際、作ったアカウント名等をメモしていたが、ふと手を止めた。
桐島から、入院していた時に玲奈が密かに見舞いに来ていたことを琴葉が知らされた後で、スマ・リサーチ社に板東が現れ、須磨と対峙した。「電話したら、顔を見たくなりましてねぇ」「所在確認だった訳か」二人が会うのは約8年ぶりだった。「紗崎玲奈はどこにいる?」板東の問いに、須磨ははぐらかした。須磨は警察が玲奈に関する証拠を何も掴んでいないことを見抜いていた。「紗崎玲奈に伝えてくれ、警察を舐めるな」所長室を出ても妙に粘る板東は須磨に今も暴力団と関わりがあるのかと絡んだが、須磨は否定した。「そりゃあよかった」板東はかつて須磨と関係があったらしい暴力団は最近は半グレを使っていると話し、「気が向いたらまた来ます」と去ろうとしたが、「待て! 忘れもんだ」須磨は監視カメラを板東に投げ返した。「5キロヘルツは止めておけ、容易に傍受できる」須磨は板東の顔の映った受信機を示して見せた。板東は笑い、カメラを琴葉に渡して去って行った。
琴葉は板東が来たことを知らせ、追加で頼まれたコンクリートマイクを持って玲奈と合流した。桐島の調べで加害者のデータは一通り揃ったが、報道後、加害者は一様に姿を眩ましていた。中には『池袋にいる』と伝言を残している者も何人かいた。加害者達は知り合いではなかった。玲奈は升瀬が『死神』と繋がっていることと、夕方、升瀬がその関連らしい
     5に続く

探偵の探偵 5

2015-08-14 20:59:31 | 日記
『野放図』という者に呼び出されていることを琴葉に話した。半グレと暴力団の話になると、疑ったのか? 玲奈は「これからの行動は社長にも桐島さんにも黙ってて」と琴葉に言い含めた。玲奈は琴葉にコンクリートマイクで隣室の升瀬の様子を探るよう頼み、自分は資料を見返し始めた。窪塚達が池袋の裏掲示板運営会社のオフィスに着くと藻抜けの殻だった。慌てて逃げたらしい、使っていたのは豊島区を拠点とする半グレ集団『野放図』で、振り込め詐欺等の犯罪を繰り返していたようだった。『野放図』には所轄の警官も殺されていた。
升瀬のスマホに着信が入り、同期した玲奈のウェアラブル端末にも升瀬へのメールが表示された。10分以内に来いと、『野放図』からだった。升瀬はすぐに出掛けた。升瀬の移動はやはり仕込んでいたGPSでまるわかり。玲奈は升瀬を一人で追うことを琴葉に告げた。「大丈夫、野放図の居所を確認したら今日はすぐに戻るから、居所を調べるだけなら一人の方が動き易い。心配しないで」コンクリートマイクを受け取り、玲奈は部屋を出てゆこうとした。「玲奈さん、絶対帰ってきて下さいね」玲奈は頷き、出て行った。社員寮に戻るよう言われたが、しばらくホテルにいた琴葉はネットで『野放図』の凶行を調べ、不安に駆られた。だが、須磨達には知らせるなと言われている。琴葉はスマホに登録はしていないが、メモしていたある人物の番号に電話を掛けた。
玲奈は『野放図』のアジトらしいガレージのある建物まで来た。玲奈は塀の隙間にメモを挟んで上でガレージへ潜入していった。ガレージの奥の部屋には脱走した女を探すDV加害者達が全員集められていた! コンクリートマイクでガレージから様子を伺う玲奈。加害者達は1度に集められたことが目立つと、概ね不満だったが、升瀬は「対応も早かったし、
     6に続く