じじい日記

日々の雑感と戯言を綴っております

たくさん歩いてもサンポ?

2013-03-24 22:30:39 | 写真
たくさん歩いても三歩とはこれ如何に?
散歩して来たぞ、と



団地を降りていつもの田圃道をビッコのおっさんが行く


田圃は起こされ水門は水をとる準備もされていた


これ、なんて名前だっけ?・・・雑草だな


ふきのとうが出ていた


大國神社から山道へ入る所にこいつが居た 木のピオと名付けよう


カモシカがいた

山に入って少し登ったら腹に力が入ったからか、ウンピョが出そうになった。
人気の多い里山だが夕暮れの迫る雑木林、人目の心配は無いと、丸見えの林で好ましい場所を物色し座り込んだ。
この場合の好ましい場所とは、紙を持っていないので事後の始末を着け易い葉っぱのある場所、と言う事になる。
冬枯れと言うか早春の林では、野グソに理想的な若葉は望めず、次善の策として枯葉を用いる事になるのだが迂闊な物だと破れてしまって始末に悪い。
この山で求め得る最良の枯葉と言えば朴の木の葉以外に無いのだが、珍しい物でもないので直ぐに見つかった。

おもむろに腰を下ろし静かに瞑想などするが如く用を足していたときであった。
どーしても後に気配と言うか視線を感じるのであった。
一通りの作法を終えたところで「何奴じゃ」とスボンを引き上げながら振り返ると、そこにはおっさんを見つめる二つの目があった。
若いカモシカであった。



奴はおっさんの尻をどんな気持で眺めていたのだろうか?
その距離は10メートル足らずで、野生動物と人間が保つべき安全距離を逸脱していた。
しかし、おっさんはここへしゃがみ込む前に一通り周囲を見渡しているし、何よりも野生の奴が気づかないはずは無かった。

と、言う事は、奴はおっさんの尻を見に近寄って来た事になるが・・・と、なると牝か?
いや、若いが良く見れば立派な角を持っており牡に違いなかった。

それにしても我が家から歩いて30分の裏山でカモシカに遭遇するとは、まさしく、仙台市青葉区大字山奥字谷底崖下の地名の面目躍如と言う物だと感心した。

カモシカはひとしきりおっさんと見合って後、静かに谷を渡り急斜面を登って見えなくなった。


山の奥の掘建て小屋の屋根にこんなものが


遊歩道が整備されていて、四月になるとカタクリの群生が見られる


唯一見つけた花 ミツバオウレンか?


ウスタビガの繭(ヤママユガ科) 空です


下はアスファルトなのに芽を出しちまったドングリ

おっさんの谷底団地は風光明媚で自然が豊で、そして何よりも辺鄙なので人が少ない。
それでも35年前に住み着いた当時に比較すれば人口密度は格段に上がった。
そして、都会の人が見れば驚く程に豊かな自然も半減している。

35年前には団地の奥のグラウンドで熊を見掛けたものだったが、今時はカモシカが精一杯で、一番多いのが猪になっちまった。

それでも、家を出てからひと廻り、田圃道から山道へ入り一周七キロ程度を2時間と少し掛けて廻って来ると、そこにはまさかと思うような自然が色濃く残っていて楽しめる。

まあ、貧乏だったので山奥にしか居を構えられなかったと言うのが本当の所なのだが、今は山が好きだからここに居るのだと、聞かれもしないのに言っている。


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本当のような「じつわ・・・」

2013-03-24 11:35:34 | 日々の雑感
あれは2月の寒い夜、やっと十四になった頃・・・では無くて、今から20年と一寸前頃。
友人宅で昼間から酒など呑んでいた時にピンポーンと鳴って、二人して玄関のドアを開けて・・・ドラマはそこから始まった。

玄関を開けると、すらりとした少し背の低い女の子が一人でうずくまるようにして立っていた。

友人が、アレっ・・・ドーしたの?お腹でも痛いの?と女の子に聞くと「北海道の方から珍味を持って来ましたぁ」と、弱々しい声で元気に答えた。

ヘェ~・・・珍味かぁ・・・どれ、見せてみろやぁ、と俺が言うと、友人は、そこじゃ寒いからまず上がれ、なっ、俺ら悪者じゃないから、見てくれで判断しちゃダメだぞ、まず上がれ、と、半ば強引に引きずり込むように招き入れた。

こたつの前に座布団を一枚充てがい「まず座れっ」なっ「悪いようにはいないから」と友人は座布団をひっくり返してパンパンと叩いて女の子を座らせた。

おれはその間に湯のみ茶碗に菊正宗をなみなみと注いで女の子の前に突き出し「ツマミは無ぇから、乾き物が有ったらイカでもタコでも出してくんねぇ」と言って女の子が持っていた籐で編んだカゴ逆さにしてぶちまけた。

友人は「まず呑めぇ~寒かったベェ・・・温まっからさ、まず呑め」と酒を勧めながら「どこら来たの?」「北海道の方からって、歩いて来たの?」と、猫なで声で問いかけていた。

おれはぶちまけたカゴの中から「すきみたら」を見つけ「こまいは無ぇんだなぁ~」と言いながら袋をブチっと開けた。

石油ストーブの上にすきみたらを並べると香ばしい匂いが部屋中に充満し臭かった。

おれは軽く炙ったすきみたらをグチャグチャと齧りながら「ねぇちゃん、なんでこんな物売ってんの?」とスケベ心と興味の入り交じった目で女の子を舐め回しつつ尋ねた。

「ほらねえちゃん、遠慮してねぇで酒呑めぇ~」「北海道なら酒は嫌いじゃあんめぇ?」と湯呑み茶碗をぐいっと彼女の前に押し出した。

「ところで、ねぇちゃん、ナンボやっ?」と俺が言うと「1000円です」と、女の子はか細い声で力強く答えた。

「いや、そんなことじゃ無くてよぉ、ねぇちゃんの歳はナンボだと聞いたのよぉ」とおれが言うと、女の子は「21です」ときっぱりと蚊の鳴くような声で言った。

「ほぉ~21なぁ、若い身空でなぁ」「それにしてもおめっ、ふざけてんな~、これっぽっちの一袋が1000円だとぉ~」とおれは語気を強めた。

すると友人が「あいや、分ったわぁ~、おめ、宗教だべ」「ほれ、なんつったっけなぁ、あの、洗脳されるっつう宗教だべ」「あれなっ、珍味だの雑巾だの売って歩いてんだべっ」「壷売ってんのはまた違う系統ナンダベっ?」「んでねっけこんなメンコイねぇちゃんが昼日中に家庭訪問で珍味なんか売っかょ」と一気に捲し立てた。

おれは「んだよなぁ~バイトにしちゃ似合わねぇしなぁ、品があるもんょ、ねぇちゃんはよっ」と言った。

すると女の子は「わたし帰りますからお金払ってください」「それから、ホタテの貝柱を除いて干物はどれでも好きな物三袋で2000円になりますから、そちらがお得だと思います」とおれと友人を交互に見据えて消え入るような声で怒鳴った。

「おっ、おっかねぇな~信心深いって言うのは強いからな、気違いと一緒だからな・・・ンダベっ!!!」と友人も声を荒げた。

「そもそもオラぁ買うなんて言って無ぇんで」「おいねぇちゃん、菊正宗の茶碗一杯が1000円だぁ~」「おれが酒を出しておめがつまみを出して、これが持ちつ持たれつって言うもんだべ」「んだべっ?」「ねぇちゃんも損しねぇようにグイっと空けてけっ、なっ」とおれが半ば笑いながら言うと女子は突然立ち上がってセーターの下のブラウスの首に手をかけ力一杯引きちぎった。
その勢いでボタンが二つか三つ飛び胸元があらわになり、そして鎖骨が見えた。

おれはその鎖骨を美しいと思ってみとれた。

友人も唖然として立ちつくし女の子を見ていた。

女の子はどこからその声が出るのかと思うほどの大声で「助けてぇ~」と叫んだ。

すると間断なく玄関のドアが開いて若い男が3人土足のまま飛び込んで来ておれと友人に襲いかかった。
一人は女の子を抱え込むように抱きすくめ「大丈夫か?」と声を掛けていた。

どういう訳か女の子は力なく倒れ込むような格好になっていた。

おれと友人は咄嗟の事態が呑み込めず、羽交い締めにされたまま女の子の様子に見とれていた。

友人は事態の云々は別にして土足で踏み込まれた事に憤ったらしく「なんだおめぇら?」「てめぇら土足でひとんちに上がり込んで何を息巻いてんだこらぁ~」と言うなり後から羽交い締めにしていた男の顎を肘でかち上げ一発で倒し、続いて女の子を抱えて中腰になっていた男の顔面に蹴りを入れ、これも一発で沈めた。

おれは羽交い締めを解く事が出来ずにもがいていたが友人が拳を振り上げて残りの一人を殴る体制に出た時、そいつは頭を抱えて座り込み一瞬で事態は沈静化した。

友人の腕力の圧勝だった。

友人は男3人に「てめぇら、まず靴を脱げ、なっ、ひとんちなんだから靴は脱げよなっ」と言った。

二人が鼻血を出していたのでおれはティッシュボックスを投げてやって「垂らすなよぉ~鼻に詰めとけ」と言った。

女の子はこの事態に怯える様子も無く引き千切って飛んだボタンを探していた。

「おめぇら、まず座れ」「狭い所だけど、まず座れ」と男3人を睨みつけた。
そして、湯呑み茶碗に菊正宗をなみなみと注いで「まず呑め」と3人の前に突き出した。

3人は黙ったまま俯いていて、その姿からは既に戦意の欠片も伺えなかった。

「こらっ、おめぇら、人が親切に出してる酒を呑めねぇって言うのかこらぁ」とそこそこドスの聞いた声で言って自分も茶碗の酒を一気にあおって「呑めこらぁ」と言葉を続けた。

「おい、ねぇちゃん、糸と針なら引き出しに有んぞ」「隣の部屋に行って脱いで縫って来い」「心配すんなぁ覗かなぇから」と言って高笑いをした。

「ほれっ、すきみたら齧って酒呑めぇ」と友人が促した所で一人が湯呑み茶碗に手を出した。

続いて残りの二人も茶碗を手にしてそれぞれが菊正宗を口に含んだ。

その時、隣の部屋でボタン付けをしていた女の子がふすまを開けた。

3人の若い男の位置から部屋の奥がよく見え、そして唖然とした。
そこには神棚が祭られ、そして、壁には何やら厳めしい家紋を印した旗のような物が飾られていた。
それは映画やテレビドラマで見るヤクザの事務所や親分の家にあるそれそのままであった。

友人は言った「神棚の前でおれが注いだ杯を呑んだと言う事がどー言う事か、分るか?」「おれんちはなぁ神道なんだよ」「邪教は赦さねぇんだよ」と湯呑み茶碗を啜りながら静かに低い声で言った。

ああ、あ、開けちゃ行けない扉を開けちまいやがって、とおれは4人に同情した。

その後延々と友人の説教は続き、菊正宗の一升瓶が二本空いた。

彼と彼女が「おとしまえ」と言う名目で友人の神棚に玉串料を供えさせられて解放されたのは殆ど夜中だった。


これは、実際にあった話をおっさんが脚色しないで書いた作り話です。





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