見出し画像

岸本晃の住民プロデューサーNEWS

生活のプロ、「人生」のアーティストへ

住民ディレクターの終焉ということを昨年いいました。実際このことばは地域づくり、映像制作の手法としては不要になりました。身近なところで映像が作られ、編集も経験する環境が揃いユーチューブなど無料で投稿する場もいっぱいでき手法としての役割は終わったといっていいでしょう。押せば映るし、番組作りはオマケということも多くの投稿者には経験できていると感じます。わざわざ言う必要はなくなりました。

住民ディレクターを身体を使ってやっている時は表面的なことしか見えないのでその時々の内面の動きを表現するためにHPとは別にこのブログを作りました。つまりビデオカメラをもって切り取る世界、視点、切り取った視点をつなぎ直す編集という目に見えない世界を表現し伝えようと考えたからです。実際、全国を歩き一緒に活動してきた方々はいっぱいおられますが、目に見えない一番大事なところは実際に会ってじっくりと話さないと伝わりません。しかも人集めから会計処理までをするリーダーや一部の方だけにしか伝わらないその裏方、わたしの内面の変化のプロセスを知っていただこうと考えたのです。

で、そういうことなら不要ですという方もいらっしゃいます。カメラの撮り方、編集の仕方だけを教えてもらえばあとは何とかなるでしょうから・・・、と考えている方々です。13年前は十分それに役立ちました。今も役立たなくはないのですが、このブログタイトルでも書いてるように住民ディレクターという生き方をお伝えするために始めたものなのでコンテンツづくりの手法としての住民ディレクターを求めてる人にはここではなくて世間には山ほど場があると考えます。

生き方としての住民ディレクターは山江村など熊本県内98市町村を歩き出会った方々から学んだことも大きいですが、もうひとつテレビ局時代「24時間テレビ」で のアーティスト いだき しん 氏(アーティスト名:本名 斎藤忠光氏)との出会いが非常に大きかったのです。

このブログでも何度かご紹介していますが、いだきしん氏は昭和47年から8年間、東京都内で日本で初めての機能を持った特別養護老人ホームの建設に参画し、20歳頃から人間性の開放、真の健康、創造性などを探求してこられた方です。まさに人間の生き方を探求されてきて、社会福祉の現場のど真ん中を経験され30数年前から人はどう生きるかをすべての分野を視野に入れて(といっても過言ではありません)探求されてきました。

24時間テレビでの協力依頼に いだきしん氏は一も二もなくOKでした。一応(と言わざるを得ないテレビ局の姿勢はありますが)24時間テレビの主旨はご自分が8年間かけて創り上げてこられた介護の仕組み、入浴サービス、ショートスティ、デイケアなどを中心に取り上げているのですから、「これは逃げるわけにはいかない」とひとつ返事でした。わたしが最終的にお願いしたのは実質31時間ある番組の間、熊本城の特設野外ステージでピアノを演奏する31時関連即演奏でした。

いだきしん氏は生命現象としての健康、創造性など人間の根源的な問題を探求するプロセスでピアノの音に出会い、ピアノの一音一音が自らの生命と交流することを発見し、数年間ピアノの音を探求するうちに多くの人と同時に交流することを経験しいつしか即興で弾けるようになりました。30歳代後半のことでした。

もうひとついだきしん氏が探求してわかったことは、子どもの頃から自分が入退院を繰り返してきた理由です。書けば長くなりますが端的に説明しますと自分に原因があるのではなく周囲の人々が抱えている苦しみや痛みをそのまま受けてしまう体質だったということでした。子どもの頃から早く治りたい一心で医師が言うことは全て守ったということでしたが結局自分自身で治す以外に道はなかったということです。

しかし、いだきしん氏がやっておられることは病気を治すことではありません。ご本人がそうであったように「自分自身のこと」がわからなくて悩み、迷っている人々に経験を通して自分自身でわかり「自らの力で乗り越える」生き方を伝えることです。その経験の場となるのがピアノ演奏です。コンサートでは参加者一人一人の生命を感じとり、即興で表現します。いだきしん氏は生命現象を探求した結果、人間の本当の健康、創造性ということが生命でわかっておられます。一人一人の傷ついたり、痛んだ生命の状態を受容するだけではなく、本来の健康、創造性溢れる生命の状態をも同時に演奏されますので参加者は自分自身の生命感覚に気づき、同時に2時間の生命交流の音の経験で本当の健康、創造性の状態を経験します。

書くとこのようになりますが、実際は音です。ことばではなく音で経験するので瞬間瞬間の演奏で気づく経験です。

そして最も大事なことはこのような生命感覚がわかったところでどうなる?ということです。世の中にはいろんなことが見えたり、治したりする方が多いですが、大事なことは見えたりわかることにはありません。
で、自分はどうするか、です。で、具体的に暮らしの中でどうするか、自分自身がどう生きていくか、です。

いだきしん氏はまだご自分が病に苦しんでいた若い頃に福祉の道に行かれ、寝たきりや認知症のお年寄り、どこの病院も医師も投げ出した(丸太棒のようだと人はいっていた)意識もなくまったく動けない人も必ず心が通じると引き受けてきました。そして確かに必ずその人をお風呂に入れてあげるのです。しかも、その本人の意志を確認して。何故なら仮に一度でも事故が起きたら二度とその事業ができなくなるからです。失敗は許されない緊迫した入浴サービスでもあるのです。いだきしん氏はその丸太棒のようになってしまった人にもこのように言うのです。「風呂に入りたい?入りたいなら俺が責任もっていれてやる。だけど途中で死んだら困るんだ。あなたも困るだろうけどあなただけでなくあなたのような人達がまだまだたくさんいて、もしあなたが入浴中に何かあったらみんなに迷惑がかかるんだ、わかるだろ?だから入るなら一番調子のいいときに入れてあげるから教えてくれ。俺の言うことがわかったら一瞬でいいから目を開けてくれ。」そしてその方は一瞬目を開けられたそうです。勿論、ゆっくり風呂に入れてあげたそうです。それからとうとうその丸太棒といわれた方は座って食事をするまでになられました。

このような例には枚挙にいとまがないほど いだきしん氏は寝たきりや認知症の方々ととことん心で付き合われました。最初この話を伺った時は日だまりの縁側で茶でも飲みながら世間話をしている二人をイメージしてしまうほどでした。しかしよく考えてみると丸太棒のように動かない人間との会話だったのです。施設の身近な寮母さんや職員でさえ白い目で見ていた状況でした。自分が担当することになると大変だと考えたからです。
この話は介護の現場にいる方にはピンと来るようで来ないかもしれません。恐らく普通はあり得ないことと考えられているでしょうから。

福祉を中心に書きましたが、いだきしん氏は健康、創造性を探求するプロセスで断食にはじまり、滝に打たれる行、宗教における様々な修行、護摩炊き、過酷なサーキットトレーニング、武道、特に日本古来の武術、一日中逆立ちする健康法など、健康を取り戻すためにあらゆることを経験されてきました。しかも一流の師について。しかしどこにいっても答えはありませんでした。

また社会学をはじめ文学、法律、歴史、科学、家政学、音楽、書道、哲学、宗教学、心理学、カウンセリング、経済学、経営学とあらゆるジャンルから「人間が生きること」を研究されました。実際の営業経験も豊富でアントレプレナー講座も開催されています。文学では世界中の古書古伝からありとあらゆる書物を読まれています。書けば書くほどその深くて広い世界はきりがありません。

しかしわたしがこの偉大な方の最大の魅力をご紹介したいのは、常にご自分が行動の最前線に立たれていることです。ど真ん中に行かれることです。これまでにエチオピア、レバノン、イラン、アルメニアをはじめアフリカ、中東、ヨーロッパ、アメリカ、アジアと世界中で平和コンサートをやってきました。いだきしん氏の演奏と社会活動は人間の本質的な健康、創造性を表現することと海外の多くのトップや芸術家などの人々に認められてきました。

エチオピアでは政府の依頼で始まった農民に利益を還元するコーヒービジネスをスタート。今でも手摘みする森のコーヒーを直輸入し農民だけではなくその利益でゴデの浄水事業の支援を継続的に行っています。イスラエル軍の爆撃を受けたレバノンへの支援としてチャリティーコンサートを開催、復興支援としてレバノン・ティール市長の要請でビジネスカレッジを設立するための機器や書籍を寄付するなど多くの国とNPO活動として連携しています。NPO活動は代表の高麗恵子さんと共に動かれていますが、高麗さんのことは別途書かせていただきます。

いだきしん氏は人間の生き方をあらゆる切り口、テーマから探求され、同時に実践されてきたので、出会った19年前のわたしはギリシア時代のポリスに集まった人々、それは一人一人の人間が哲学者であり、医師、化学者、文学者、建築家、音楽家、・・・、そして何よりも「生活のプロ」であるという非常に魅力的な人間の姿をこの現代社会の中に垣間みました。あまりにも幅広く奥深い人間性に驚くばかりです。

人間は一人一人全く違う存在なので一人一人が「自分自身となり」自由に生きられる「真の自分」を見いだすことが世界平和に通じると考えておられます。戦争がないことだけでは「平和」ではなく、一人一人が「真の自分」で生きられる社会が平和な社会とおっしゃいます。資質を生かせる仕事を創り社会に貢献する人をアントレプレナーとしています。

これまでに何度かいだきしん氏のことをご紹介しましたが、わたしの表現ではどうしても部分的になってしまいがちでした。が、住民ディレクターという発想はいだきしん氏との出会いと、ご一緒させていただいたボランティア活動から生まれたものでもあります。部分的だから、うまく表現できないからといって話さないと「生き方である住民ディレクター」の本質を欠いたまま表層だけのコピーが一人歩きする危機感もいだいていました。

特に一昨年88歳の母が体調を壊してから、いだきしん氏が培ってこられた介護、生活サポート、病院の見分け方、そして何よりも人間としてきちっと生き、きちっと死ぬことを実践できましたことに感謝しています。わたし自身が母ときちっと交流できたことが何よりもうれしかったし、まるで施設の介護スタッフのように姉兄弟(きょうだい)のチームワークも成り、安心できる自宅で母は89歳で大往生したのです。
普通の人々の日々の暮らしからイキイキしたNewsと生き方を伝える「住民ディレクターNews」はわたし自身の生き方を伝えることでもありました。

他人事のように人身事故や事件を映し出し、ニュースにしてきたテレビ局の「記者」時代、毎日が悶々とする日々でした。不幸な出来事や悲しい事故、事件を伝える「記者」より、イキイキと生きる人々を発掘し紹介する「ディレクター」のほうが性に合っていました。地域に入って出会う人々はわたしたちが作ったニュースを見て心から悲しんだり心から助けたい気持ちをもつ人が多かったから居心地もよかったのです。
阪神淡路大震災を知ると大きな釜とだご汁の材料をもって反射的に走っていった人たちが仲間だったのです。

いだきしん氏は阪神淡路大震災の渦中におられましたが、行動は早くすぐに救援態勢を組み、チャリティーコンサートを全国で21回開催して支援を続けました。そしてあの被害を繰り返さないための復興の地域社会モデル構想も描き、ボランティア活動の核として取り組んでおられました。
今振り返ればあの当時からやっておられる活動のスタイルはまさにNPO活動のモデルでした。特定非営利活動法人という日本人には親しみがなかったボランティア活動の真髄は現在の活動母体 NPO KOMAによって引き継がれました。

長い文章を書きました。今回はなんとか「いだきしん」氏というスケールの大きい人物の全体像を「わたし」という住民ディレクターの視点でお伝えしたかったのです。

この文章はコンサートのPRのために書いたものではありませんが、いだきしん氏のコンサートが上記のようなはたらきを持っていることをもっと理解したいと考える方にはぜひ参加いただきたいと考えます。住民ディレクターがやってみないとわからない経験だった以上にこのコンサートは参加してみるのと話を聞くのとでは格段の差があるからです。

京都以外にも今後東京や日本各地、海外でもありますが歴史、風土、参加する一人一人の生命を表現されますので毎回1回きりの音です。京都で出される音は日本の都だったという歴史的な背景も全部音になっていきます。そういう意味でも歴史的な経験となりますので「京都」には大きな意味があると感じています。

当日は佐用町での講演後に向かいますが、必ず参ります。最近の福岡、鹿児島、東京とすべて満席でした。京都も残りが少なくなっているようですので(S席はすでに満席)、もしご希望される方がおられましたら下記にご一報ください。わたしもスタッフですので対応いたします。
長くなりました。超編という編集ソフトがありますが、きょうは長篇ブログです。本音を表すのが住民ディレクターでもあります。心からの本音です、少しでも私の気持ちが伝わればうれしいです。最後までお付き合いいただきありがとうございます。

いだきしんコンサート
京都コンサートホール大ホール
2009年 4/26(日) 14:30開場 15:00開演
全席指定 S6000円(完売) A5000円
主催 特定非営利活動法人 高麗 (NPO KOMA)

いだきしんコンサート案内 http://www.idaki.co.jp/idakishinConcert/index.html

いだきしんプロフィール http://www.idaki.co.jp/aboutus/profile.html

いだきしん平和コンサートの歩み http://www.idaki.co.jp/worldConcert/others/index.html

◎お問い合わせは
岸本 晃メルアド prism.k@nifty.com まで
*現在 prismの ホームページは新たに制作中です。時間がかかりますので初めての方は上記メルアドにお願いします。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Weblog」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
人気記事