ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

老いぼれ二階氏にエールを

2024-03-27 11:41:35 | 日記
二階俊博自民党元幹事長が政界引退の記者会見をおこなった。自らが会長を努める派閥(志帥会)の政治資金問題で、 政治不信を招いた責任をとり、次の衆議院選挙には出馬しないという。
これだけなら、何の変哲もない記者会見で、ことさらあげつらうまでもないが、私の印象に残ったのは、二階氏が記者の質問に突如色をなし、怒りにまかせて「ばかやろう」とつぶやいた場面である。
この場面をメディアは次のように伝えている。

不出馬の理由が裏金問題か、それとも年齢なのかを尋ねた記者に(二階氏は)『年齢の制限があるか? おまえもその歳が来るんだよ』と答えた後、小声で『バカ野郎』と吐き捨てた。
(YAHOO!ニュース3月25日配信)

二階氏といえば、もはや御年85歳。権勢を誇った幹事長時代の迫力はすでになく、死期が近づいた「老いぼれジジイ」の印象が強かった。質問をした記者は、二階氏のそんな姿を見て、「引退の理由は年齢なのか?」と、素朴にそう思ったのだろう。
これに対して、二階氏はなぜ熱(いき)り立ったのか。
この記者の質問が図星だったからではないかーー。

私はまだ85歳にはなっていない。だからそのお年のご老人のおシモの事情がどうなのかはよく分からないが、察するに、お漏らし用のパンツとか、紙おむつが欠かせなくなっているのかもしれない。二階氏が現れたときのおぼつかない足取りを見て、私はそう直感した。
二階氏のシモの事情がどうどうなのかは分からないが、人前に出るときには、辛さ・しんどさをを覚え、それを乗り越える自身の努力とともに、介助者や車イスや精力剤など、あれこれのサポートを要する厄介な身体であることは間違いないと思う。
そんな二階氏からすれば、「引退の理由は年齢なのか?」という質問は、「アレが欠かせない身体になったから引退するのか?」という問いを突きつけられたに等しい。
だからついギクリとして、「このバカタレ、おまえだっていずれはジジイになって、アレが欠かせない身体になるんだよ」と言い返したい気持ちになったのだろう。

この老いぼれ二階氏の態度が私の印象に残ったのは、実をいうと、かく言う私も(想像上の)二階氏と同じ心境になることが少なくないからである。
例えば恋愛もののテレビドラマを見ているとき、私は、「ああ、若い奴らは羨ましいなあ。自分もあの若さに戻れたらなあ・・・」と思う。だが、それが叶わぬ望みだと悟って、私はすぐにこう思い直すのである。
「なあに、あの若い奴らだって、あと50年もすれば老いぼれのジジイやババアになるのだ。恋愛なんかに現(うつつ)を抜かせない、よぼよぼの年寄りになるのだ」

老いは程度の差はあれ、平等に我々を見舞う。だれもそれを逃れることはできない。私は同じ老いぼれとして、二階氏の失態にエールを送りたいと思うのである。

コメント
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