ニッキ-通信 ~盲導犬ニッキ-のお母さんより~

盲導犬ニッキ-と私の日常。要援護者・障害者の防災について紹介します。

盲導犬ユーザー死亡事故の私なりの検証

2016年08月23日 | 日記

漸く見えてきた盲導犬ユーザーの落下事故の検証

 盲導犬ユーザーの事故死からあっと言う魔に9日が経過。
 今まで、腑に落ちなかった落下の状況が見えてきた。
 今までマスコミや障害者団体から出された記事を読んでいても分らなかったこと。それは、検証する立場の違いや、健常者サイドでの検証だったからピントが合わなかったのだ。
隔靴掻痒って感じだった。

 昨日 盲導犬ユーザーの会の役員スカイプ会議が開かれた。そこで、情報通の役員から聞かされた事実。
 もう、驚いたの何の、そんな盲導犬歩行はあり得なアアアアあい。

 まず、今まで知らなかった青山一丁目の駅のホームの形状。おかあさんは、落下事故があったのだから、舟形ホームだとばかり思っていた。
 ところが、片側が壁に鳴っている壁型ホームだった。片側が壁なら、壁に寄って歩けば落ちることはない。この場合は、例え、おかあさんが一人でホームを歩くとしてもどきどきしないで住む形状だ。

 次に、ハーネスを右手で持つか、それとも、左手で持つかだ。
 それは、盲導犬の協会の考え方で訓練方法が異なることを知った。
 一般的には左手でハーネスのハンドルを持つスタイル。しかし、全国に11の盲導犬協会があるが、北海道や中部では、最初から左右両手でハーネスのハンドルを持つスタイルを取り入れているそうだ。
 ちなみに、ジャネットと右手ハンドルで歩こうとしたが、まず、おかあさんの右手が動かず、ジャネットも歩き出そうとはしなかった。
 場所によっては右手にハーネスのハンドルを持ったほうが便利らしいが、今の所、おかあさんの生活範囲では左手の一般的な持ち方で困ることはない。

 今回は、このホームの経常とハーネスのハンドルの持ち方が問題を引き起こしていたようだ。

 更に、最も大切な事の、左右どちら側を歩くか。
 原則は左手ハンドルなら左側通行、右手ハンドルなら右側通行だ。
  この、どちら側を歩くかが安全であるか危険かに大きくかかわってくる。

 今回、落下死亡事故を起こしたSさんは、
 壁型ホームを壁に沿ってではなく、逆の線路側のホームを歩いていた、しかも、右手ハンドルだから、人が線路側を歩いていた、発表された動画を見ると、本人はホームの白癬、犬は点字ブロックの線路側のぎりぎりのブロック上を歩いていたらしい。
 しかも、リードだけでハンドルは持っていなかったとの事。
 この歩き方は雪の上を歩く場合、リードだけで、犬を前に歩かせて後ろをユーザーが
ついてゆく場合などに使う歩き方。
 だが、今回のような一歩間違えば死に直面するケースではあり得ない歩呼応スタイルだ。しっかりとハンドルを持たなければならない。
 要するに、ペットを散歩させるのと同じスタイルで歩いていた。
 犬と人が共に安全に歩くことから、180度逆のことをしていた。

今回の問題点をまとめてみると、
1.壁型ホームを原則の反対側の線路側を歩いていたこと。
Sさんの向かっていた方向なら壁側の右手を歩くところを反対側の線路側、それもホームの先端部(白癬上かもっと外側)を歩いていたこと。
 これはおかあさんの推測だが、ラッシュ時のホームには他の乗客が多く、歩きづらいので先端部を歩いていたことも想像出来る。やむを得なかったのかも知れないのだが。

2.ハーネスの持ち方。原則のリードを手首に絡めてからハンドルを持つことをしていなかったこと。リード歩行でまるでペットとの散歩スタイルみたいだ。3..Sさんの歩いていた方向の場合、左手ハンドルで、犬をホームの先端側、本人は壁側を歩くべきだった。
この際、右手ハンドルは考えられない。

5.最後に出てくるのがホーム柵のあるなしだ。
 Sさんの住んでいた北海道。まず、地下鉄のホームには全部ホーム柵が設置されていた。長らくそんなホームを利用していると、ホームの先端がどんなに危険であるかを考えられなくなっていたのではないだろうか。
 これもおかあさんの推測だが、人間の長い間の週間は、今までとは異なる環境下に移り住んでも。つい うっかり という事が起こりうる。

 東京に転居して半年間らしいが、
 青山一丁目駅は日々 通勤に使っていたのだから、勘違いでは済まされないのではないかと考える。

 こうして おかあさんが盲導犬の一ユーザーとして検証してみると、起こるべくして
起こった事故だったと思うのである。

 しかも、Sさんは、以前、線路に転落して、脚を骨折した経験があると聞いた。。

 人はどんな土地で生きていたかが 、結局は死亡事故にまでつながってしまった例ではないだろうか。
 発生して欲しくない盲導犬ユーザーの死亡事故。このところ、毎年、発生している。
その度に、社会を揺るがして、しかし、何らかの改善にはつながっているのだが。
 Sさんのいたましい事故を再び聞かなくても住むような社会が必要だ。
そして、 視覚障害者サイドは、もっと、危機意識や危険を感ずる感覚を身に付けなければならないと思うこのごろだ。

 クリスチャンであったSさんが、天国で残された私達を見守っていて暮れますように。