記念誌のおかあさんの原稿
ジャネットを貸与してくれている盲導犬協会が設立50周年を迎えたそこで 協会の歩んだ歴史とユーザー238名から手記を寄せて貰い、記念誌を作った。
出した原稿はプロのライターが編集しなおして、本全体の口調を整えて出版した。
ここに出したものはおかあさんの元原稿だ。
プロのライターはさすが、美しくまとめている。流石。それは記念誌にお行儀欲収まっている。
最初、原稿をと言われるから、作文集くらいの気持ちで出稿したら、出来上がってみれば、2500冊印刷して、全国津々浦々の図書館にも贈呈して、全員の顔写真から年齢まで暴露してしまうことになった。。
え そんな 話は一言もなかったのに。
本を私達は読むことが出来ないので、どなたかに朗読して貰うことになるが、それをマルチデイジーというネットの図書館にも写真入でアップされる。
それは困る、嫌だ、個人情報の流出だという意見が出たが、最終的には、見えない聞えないという盲聾のユーザーがそれを点字訳して読めることが分かって、一件落着かな。
今 なぜ おかあさんがこの手記をここに掲載するかと言うと、盲導犬虐待動画からねじれた方向に向かったネットの多くのマイナス意見に 少しは一矢を報いることが出着るかなとの思いからである。
先日あるメールにこんな投稿があった。
その人Aさんが盲導犬とともに交差点の中で瞑想。そのうち、左右から多くの車が走り出した。Aさんは真っ青だ。
そこへ必死の雰囲気で一人の女性が車から降りて、無事に救出してくれた
Aさん その人は、勿論大いに感謝した。これで終わればめでたしの美談だった。
その語のお話。助けた女性はたまたまAさんの奥様とと同じ職場の人で、職場に着いてそのエピソードを語った
「もう 犬が可哀想で....。」
え じゃ 人はどうなの?どうなってもいいの?
おかあさんも言いたくなる。
折角の美談だけれど、あんた 何を見ているのよ。 と
多くの犬好きが辿る落とし穴。盲導犬は特に洋服も着て可愛いので、犬しか見ない。ユーザーが傍にいて初めて盲導犬と呼ばれることを知らないの?
そう言えば、かって毎年参加した一般人とのウオーク行事。おかあさんは一緒に歩いている15名ほどの参加者がニッキーしか見ていないことに気づいて、ちょっと時間を頂いて演説。
さきほどの盲導犬とはお母さん達が一緒でナイト つまり 人と犬とが一体でユニットを組んでいるのだから、ユーザーも注目して欲しい。
かかしが一緒に歩いているわけではないのよと話した。
すると全員が、目からうろこが落ちたと感想を述べた。
おかあさんは髪の毛を紫色に染めているから、ジャネットと共に目立つらしいが。その分、何か仕出かすとちょっとまずいのだけれど。だから気をつけて歩いている積もり...。
少なくともこれを読まれた皆様はどうぞ。よろしくお願い致します。
ものの見方をよろしくです。
ここから元原稿です。
喜び 何故 人ではなく犬なのですか?
ある小学生からの質問です。えっ これってまるで哲学じゃないの。
私はこの質問を聞いて 何だか嬉しくなった。だって、これぞ 盲導犬とは何ぞや
の根源なのだから。
私の答えはこう
まず 法律で目の不自由な人は白杖か盲導犬と歩くべしと書いてあるんだ。。そし
て、人は24時間 いつも傍にいては貰えない。その点 訓練された犬は素晴らしい
能力の持ち主なのさ。
そして、いつもそばにいてくれるんだ。
いつでも好きな時に、行きたいところに自分の意思で行くことが出来たら幸せだと
思わないかな。
これって人生の、大きな喜びだよね。
私は10年前に一頭めの「ニッキー」に出会いました。まだ、夫の裕康が健在でした
。裕康は光りも見えない全盲だったので、二人で一頭の盲導犬を貸与されました。
つまり、仲良く二人で使用するタンデム犬です。生まれて初めて犬と生活をすること
になり、初めての子育てみたいでしたね。
ニッキーの初対面の印象は、「おお 何とたおやかな盲導犬だこと。」でした。
ニッキーの美しさと優しさの魅力に惹かれて、多くの友人・知人が出来ました
どんな場所に行っても、物怖じ一つせず、多くの方に愛されました。
不幸にして、夫は5年前に急逝しましたが、その後も毎日遺影の前でおやすみを言
ってから寝たものです。それは、引退の日まで続きました
そして、2頭めのジャネットがやってきました。
黒真珠さながらの輝く黒ラブさんです。
とても甘え上手ですが、ちょっと恥ずかしがりやのところもあります。
チャーミングな目の表情に男性はコロリと参ってしまいます。
先日、1週間別居した時、私は、もう淋しくて、つい ホロリ。ジャネットがかけ
がえのない存在になっていることを痛感しました。
歩行技術も高度。素敵な盲導犬です。
再び、 何故、人でなくて犬なのですか?を考えてみよう。
犬を盲導犬として役立てようと歴史の中で人が動いた。
その根底に有る物は、多くの人の優しい心。私は、それを思うたびに感謝と喜びに
包まれる。
以上