ニッキ-通信 ~盲導犬ニッキ-のお母さんより~

盲導犬ニッキ-と私の日常。要援護者・障害者の防災について紹介します。

長期間お読みいただき感謝です。最終のブログです。

2020年05月20日 | 日記
皆様 お元気ですか。おかあさんもジャネットも元気です。

5月14日に 日本の39件で緊急事態宣言が解除となりました。おかあさんの住む
神奈川県は、まだまだで最近は東京都よりも多い感染者が出ています。年代を見ると
若い人がり患していますね。
 おかあさんは自分一人の事ではないので、自粛生活をしていますが、本当は コン
サートや各種レッスン 会議 会合などの全てが注視や延期となり、行くところが無
いのです。無いからと言って、繁華街に出向く気持ちはないので、ジャネットの散歩
も兼ねて、近所を歩いています。
 そこで 転居してきて21年目人して近くの地図が頭に入り、歩いて行けるホーム
センターを見つけました。区界にあるその店は出来る限りの感染予防の対策がしてあ
ることが見て取れました。
買うものは決めていたので、すだれと花鉢を買いました。ウエット ティッシュはア
ルコールを使用している物しかなく買えませんでした。

買った 「ミリオン ベル」 という黄色の花は、満開間近ですとの鉢カバーが付い
ていて、今玄関で生き生きと咲いています。日本はオーストラリアなどとは違って、
どこの国の花でも 美しければ何でも輸入するためか、珍しい花々を楽しめます。ミ
リオン ベルは名前の通り多くのつぼみと花をつけていますので、長く楽しめるかな
と思います。
 終わったら地植えにしてみようかしら。皆様も見つけたらおひとついかがですか。

 さて、おかあさんの盲導犬ライフは今の二頭目のジャネットで12年半となりまし
た。一頭目の時は夫との共同利用、これをタンデム歩行と呼んでいますが、ジャネッ
トの時より出かけた場所もずっと多かったです。
 2011年にはニッキーが最高に愛した夫が他界。その後ニッキーにとってのご主
人様であった夫がいなくなったので、夫に代わって我が家でのトップの場を確保した
とばかりおかあさんのコマンドをほぼ無視するようになり、外出しても歩行がしにく
く困り果てました。
 そこで おかあさんは貸与されている盲導犬協会の訓練士さんに相談。我が家に来
られた訓練士さんのコマンドも無視するニッキー。
 でも 流石は訓練士。超長いリードをカラーに付けてキューと引っ張ったところ、
頑固に座り込んでいたニッキーは「あれ 何なの?」とばかりに腰を上げてこちらに
やってきました。
 それだけで、すっかり 元の物分かりの良い盲導犬に立ち戻りました。
 不思議でしょう。おかあさんだって、何がどうだったのか 未だに分かりませんよ

 それ以来 おかあさんはニッキーの上位に立つことが出来てご主人さまの席に座れ
ました。やれやれでした。

 盲導犬全部とは言いませんが、ユーザーにも慣れ て、段々年を取ってくるにつれ
て、コマンドが効きにくくなってきます。
 ご飯や自分がトイレに行きたい時や、大好きな人が玄関に来られた時以外は、何度
 「カムと言っても腰を上げません。全く 動きません。
ノー、カム」(これは ノーと言って怒っているのではなく、カムでしょうと促す言
葉ですが、完全に無視されます。
 ペットを飼っていた友人によると、犬は自分に都合の良いときにしか名前を呼んで
もやってきません。とにべもなく言われました。それでも動かすのがユーザーなのか
もしれませんが、おかあさんは 今 苦労していますよ

 盲導犬としては22キロと小さい方のジャネットでも、頑として腰を上げなければ
、動かすことは不可能です。
 仕方が無いので、フーロを一粒見せて来させたり、カラーや鈴をつけるときは躊躇
せずにやってくる習性を利用してそれらを見せて動かしています。しかし これもい
つまで効果があるのか疑問です。
 スマート スピーカーの方が余程 こちらの言うことに素直ですよともんっくを言
っているおかあさんですが、後2か月で7歳になるジャネットですから、
年齢相応の態度ですかね。何だか 近頃は なまけもの にへんしんしたのではな
いかと疑っております。

 さて、ブログの中でも何度も書いたのですが盲導犬同伴時の入店 入館  病院な
どへの入室の拒否についての記事です。

ここで、皆様に質問です。
盲導犬を同伴してどこかに入ろうとした時を想定してください。
店舗への入店や入館が一般の人の場合と同じように問題なく
はいれていると思いますか?

犬好きな方はこう言います。。「拒否されるなんてありえないでしょうが。」
 そんなことはありません。新しい所に行くときやレストランへ行くときはちょっと
心がグレーになるのです。
 それは入店拒否や時には公的な場所への入館が拒否されるからです。おかあさん
は病院(皮膚科)で同伴を拒否されたことがあります。
 住んでいる所に皮膚科が一軒しか無かったらどうするのですかね。玄関前につない
でおくのですか。入り口に繋いでくださいと言う店側の願いも多いです。が連れ去ら
れたらどうしてくれるのですか。一頭育てるのに最低300万円はかかっているのに
です。
 さて 拒否の現状を覗いてみましょうか。施設連合会さん ちょっと失礼しますね


ここに挙げるのは盲導犬の受け入れ拒否の最新のデーターです。施設連合会からの抜
粋です。

ここから抜粋

そこで連合会では、盲導犬ユーザーへの聞き取りにより全国規模では初となる盲導犬
受け入れ状況の実態調査を行いました。

2020東京オリパラを目前に控えた「今」を契機とし、連合会事務局と加盟協会が
一丸となって取り組み、判明した実態調査の結果概要をご報告します。

調査では、連合会加盟の盲導犬協会ユーザー643名の回答を集めました。内訳は男性
294名、女性349名です。調査の内容は、2019年1月からの1年間で、盲導犬同伴で受け
入れを拒否されることがあったか、拒否されたならその場所はどこだったのか、など
について今年の1月1日から2月21日、協会職員による電話での聞き取りとメールで調
査しました。

①「盲導犬同伴で受け入れ拒否」に遭ったユーザーは52%

 回答のあった643人のうち、昨年1年間で拒否を経験した人は336人(52%)に及
び、未だ法律の浸透や視覚障害者への理解が進んでいないことがわかりました。

拒否に遭った回数を見ると「1回」が94人(28%)、「2,3回」が147人(44%)、
「4,5回」が54人(16%)、「6回以上」が40人(12%)で、70%以上が複数回拒否
を経験している事実が明らかになりました。

外出頻度の高い人に絞ると72%が拒否を経験、日常の生活圏以外には盲導犬と出か
けない人でも28%の人が受け入れ拒否を経験していました。

②拒否に遭った場所は飲食店、病院、交通機関の順で多い

 結果は飲食店が圧倒的で77%、病院が25%、電車・バス・タクシーなどの交通機関
21%、宿泊施設が20%、小売店が15%。他に娯楽施設が8%、図書館、公民館などの
公的施設が4%でした。
抜粋は ここまでです。

 おかあさんの印象ですが、拒否を受けなかったと言う人が48%いることが信じられ
ません。その方たちがどんな社会生活をしているのか分かりませんが、年々拒否は減
らないのが実情です。おかあさんは しょっちゅうです。かってはOKだったのに、
はっきりと拒否する店もありました。
 全体で52%の人が拒否されたとのことですが、電話で予約した時点で盲導犬の同伴
を告げると拒否される事例には事欠きません。

拒否の 経験の無いユーザーに聞いた所、知らない所には行かないと言っていました

それなら っ拒否されたことは無いでしょうから。
 2002年に補助犬法が国会議員の支援で法令化されて、18年になります。そこ
には、不特定多数の人を受け入れている場所では補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)
の入店、入館を拒否してはならないと書かれています。ただし、日本の法律では罰則
規定が無いのです。韓国ではこんな場合、罰金制度があります。
 AC ジャパンでも 何度も盲導犬の受け入れをコマーシャルしているのですが。
聞く方に聞くだけの広い寛容な気持ちと優しい叡智がなければ、聞こえていても心に
は届きません。

 ある方が、補助犬の受け入れ可のステッカーの代わりに入店不可のステッカーを張
ってもらった方が、そういう店には絶対に行かないのだから手間が省けると言ってい
ましたが、おかあさんも その方が良いと思います。苦笑いです。
 盲導犬はいつ 社会に出て行っても後ろ指をさされないように排せつはしっかりさ
せて出るとか、毎朝のブラッシンなどのグルーミング 、歯磨きは日に二回 耳掃除
は適宜と日々 清潔を保つように心がけています。
 はっきり言って ペットとは違って健康管理をしっかりとしています。
さて。
 おととい おかあさんのブログに実に不愉快なコメントが届きましたお目にされた
方もあるかも知れません。

内容は独りよがりの聞くに堪えないものでした。
 「めくらが健常な犬を使役ていてけしからん。」といったものでした。 この時代
に視覚障碍者に向かってめくらと名指しする人はまず見当たりませんね。それに健常
な犬を使役してとは、戦前でもあるまいに時代錯誤ですね。

現在、犬は使役ではなく、使用という言葉を使っています。
今は英語を使うので使用はユース、使用者はユーザー 、盲導犬はパートナーと呼ば
れています。

 盲導犬の育成ですが、昔は調教、かっては訓練。今では 先の伸びしろがある教育
という概念で育成がなされています。先ほども ノー カム のノーが起こるのでは
なく、そうじゃないでしょう。正しくはカムだよ と言っているので こちらの言葉
遣いも 当然尖っていませんよ。そして 上手に出来たら グッド グッド とほめ
ます。だから、出来るだけ、多くの方に盲導犬の訓練センターに足を向けて頂いて、
実情を見て頂きたいです。
 富士吉田には富士ハーネスという訓練センターがあり、富士山を背景にした素敵な
総合センターなので、運が良ければ、可愛いパピーを抱かせてくれるかもね。

おかあさんはSNSもフェイスブックもやらないので、他人からひどい言葉を掛けら
れることも無く生きてきました。世の中には自分が発信したことや行動で未知の人か
ら思いもかけないいやな言葉を吐きかけられるとの話は耳にタコが出来るくらい聞い
ています。
 こんな失礼なコメントに便乗する人が現れないうちに、コメントの受け入れはしな
いと決めて処置をしました。
 もう 誰もおかあさんにいやなことを言う事は出来ません。
ころな渦で暇を持て余した人が、ネットの中をさまよってたまたまおかあさんの拙い
ブログを目にしたのでしょう。何とも薄っぺらな人に出会ってうんざりしました。

 多くの盲導犬ユーザーが本当に幸せに生きていることを信じてくださいね。だって
、 盲導犬は私たちの目の代わりとしてだけでなく、家族の一員として大きな存在な
のですから。この制度が無くなっては大変。
 ペットとして癒しの為だけに飼うにはもったいない犬たちもいるんです。
 ジャネットと生きていると本当にすごいなあと思う事が度々あります。
 でも スーパー ドッグではないので 、あんた 盲導犬ではないのかな?という
事も度々あります。
 そこで お願いしたいのが皆様のご支援。困っていると見たら、犬ではなく、ユー
ザーに声を掛けてください。「何か お困りですか?

 お陰様で多くの方々に見守られながら生きています。
感謝ですね。
 

ブログを書き始めてからもう 11年。最近は筆も渋りがちです。そろそろ辞めよう
かなと思っていたところに、いやなコメントが入り、せっかくの純粋なパートナーま
で汚されるようなことになるのは避けなければと思います。

 今まで読んでいてくださった皆様に心からお礼を申し上げます。
 盲導犬と一人のユーザーの何と言いうことも無い生活を11年近く綴ってきました
。。多分 読み返せば そうそう こんなことも あんなこともあったねと懐かしく
思いだすことでしょう。
 おかあさんの夫は2011年8月30日にがんで帰らぬ人となりました。おかあさ
んは病が判明してから、ずっと夫の病状を毎日のように書いていたので、夫の友人や
知人やブログを読んで下さっていた方々は後半をかたずをのんで読んでいたことでし
ょう。
 そんなこともあり、お知らせをしなくても、葬儀には遠くからも友人が駆けつけて
くれました。
 おかげさまでおかあさんはその頃の様子を自分の原稿でまざまざとみる事が出来ま
す。
でも、毎夜、観察した夫の病状を克明に書いていたので、結構覚えています。忘れま
せんね。
夫は 入院せずに自宅で死の三日前まで過ごしました。その間、ニッキーは毎晩 ベ
ッドに寝ているおとうさんの枕元でおやすみなさいを言いました。
そんなニッキーでしたが、昏睡状態になった夫の枕元にはどうしても行きたがらな
かったです。あの様子は何だったのだろうか。今でも思い出します。
にその三日後の葬儀当日にパピー ウオーカーさんに預けていたニッキーが協会に着
いて礼拝堂に駆け込んできたと思ったら、初めての場所なのに、夫の棺の傍に行き、
棺に寄り添ってダウンして動こうとしません。大好きだったおとうさんのにおい。ど
んな思いで座っていたのでしょうか。思いだすたびに涙が出ます。
 おかあさんと二人きりになってから、ニッキーが夫 ニッキーにとってはおとうさ
んですが その遺影をじっとみつめています。。
 それが大好きだったおとうさんであること をニッキーは認識しているのだとが分
かったおかあさん。

それからは、ニッキーが引退するまで毎晩遺影の前でその日の報告とお休みを言って
寝させたたものです。
 おかあさんが忘れているとニッキーは催促をしてきましたよ。
 賢い子でした。
 ニッキーは引退後1年2か月で急逝骨髄性白血病で天国に旅立ちました。
 病床洗礼を受けて天国に逝ったおとうさんの元に飛んで行ったのだろうとおかあさ
んは信じています。
 ちなみにニッキーの守護星はおとめ座のスピカです。ジャネットは黒ラヴでまるで
 黒真珠みたいなチャーミングな目をした盲導犬。
 たおやかで超美人だったニッキーと可愛いジャネットに支えられながら、多くの周
りの人々をとりこにしてきた盲導犬との生活は何にも替えがたいものです。

 大きな幸せをありがとう。皆様 ありがとう。
 おかあさんに3頭目があるかどうか。いや まだまだ いける。これからも頑張り
ますわ。ではごきげんよう さようなら。