yoosanよしなしごとを綴る

つれづれなるままにパソコンに向かいて旅日記・斜読・よしなしごとを綴る

フィールドに学べ、共通点・差異点を見つけ、俯瞰し+透視すると解決への道筋が見えてくる

2016年10月17日 | studywork

1992+2004 フィールドサーベイ覚え書き

 大学生のころ、文化人類学の川喜多二郎研究室に出入りして先輩からフィールドのおもしろさを教えてもらった。
 それが発展して、本業でも積極的にフィールドに出た。そして自己流のフィールドサーベイを身につけた。1992年ごろ自己流フィールドサーベイをまとめ、2004年に若干補足したのが、「フィールドサーベイ覚え書き」である。
 その一部を紹介する。フルページはホームページを。

 2 仮説→調査→分析→検証→応用
 様々な生活体験やデスクワーク、あるいは先生や先輩のアドバイスから、通常、なにがしかの疑問や課題が想起されてくる。
 この疑問や課題を組み立てたものが仮説となる。
 特に問題意識がない、仮説が浮かんでこない?場合はどうするか。そんな場合は「犬も歩けば棒に当たる」、歩かなければ何も起こらない、ともかく歩いてみる。むしろ問題意識の低い場合ほどフィールドに立てと言いたい。
 伊藤ゼミ七つ道具の一つ「足」はこのことを指す。躊躇せず歩き回れ、もう一段上に昇れ、もう一つ先の角をのぞけ。そして見つめよ。そこに仮説の糸口がある。
 
 仮説があいまいな状態で、あるいは問題意識が低い状態でフィールドに出ることを、まだ調査のレベルに達していないが、仮に予行調査とする。
 現地ではまず現象を、そのまま正しく見つめることから始まる。
 さんざん歩き回り、いろいろなものに見慣れてくると、まずこれまでの体験とは異なった現象、形態に気が付くはず。
 特異点とでも言えようか。例えば都会育ちで狭い敷地に肩を寄せあって建つ住宅に見慣れている人には、山間の茅葺大屋根は特異な形態として目に映るはず。
 この特異な形態や現象がチェックポイントになる。おっくうがらず見えたままを野帳に記録していく、一つが記録できれば次の記録のときには最初の記録との共通点や差異点に気づく、まずは見ることが見つけることへの糸口である。

 次の段階は、特異点の出現傾向に着目する。山間集落にどのくらい茅葺屋根が分布するか。同じ茅でも屋根形が違うもの、同じ屋根形でもトタン葺きの分布。
 あるいは散らばって建っているか、並んでいるか、平坦地に建つか、傾斜地か、などの傾向を見つける。
 この段階ではまだ数量的な把握まで進まなくてもよい。ともかく見えている現象の中のある傾向を見つけだすことがポイントである。
 伊藤ゼミ七つ道具ではこのことを「目」としてあげている。
 
 ここで一息。まだフィールドにいる段階で、この傾向は何が理由で生じるのかを考える
 思い付くままいろいろな理由をあげて、メモする。一種の宝探し
 発想が柔軟な人ほど宝探しはうまい。一人より二人、二人より三人の方が発想は豊になる。
 行き詰まったら視点を変えて現象を振り返ることも必要。木を見て森を見ず、井の中の蛙にならないよう、時には鳥になったつもりで俯瞰的に現象を見たり、あるいは現象を幾つも重ね透視的に見たりするとうまくいくことが多い。
 ある程度理由を出し合ったら、もっとも合致する理由をいくつか整理して、現象のもつ傾向の原因と仮定してみる。

・・・杉本尚次氏は、「フィールドワークは人間の普遍的なものを求める、一般化に向かう過程の一コマと指摘、より多くのフィールドにかかわることが人としての発想の一般化、そして導かれる計画論の一般化につながること、そして普遍化を特殊なフィールドに還元し得る最適な方法」であることを示唆している。同感である。

コメント
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