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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ヨス・ヴァン・ビースト・トリオ/EVERYTHING FOR YOU

2006年01月23日 23時33分59秒 | JAZZ-Piano Trio
 ヨス・ヴァン・ビースト・トリオの2作目です。93年に作られた第1作を気に入った澤野工房が日本からオファーを出してされただけあって、ほぼ第1作のムードを踏襲した仕上がりといえますが、さすがに第1作から8年もたって制作されただけあって、歌い回しにコクが深まったこと、そして音質の良さのせいもあってか、より芳醇な印象が強まったといえるかもしれません。

 ヨス・ヴァン・ビーストの良さというのは、オーソドックスでリラックスした4ビート・ジャズをベースにヨーロッパ的な温度の低さ+洗練されたタッチでスタンダード作品を料理するところにあると思いますが、本作でも前奏とコーダをたっぶりといった「Misty」のムーディーさ(コーダで「テンダリー」を始めいくつかのスタンダードのフレーズが出てくるあたりもいい感じ)、ボクの大好きな「All the things you are」をボサ・ノヴァ調でアレンジするセンスといったところは、まずは期待を裏切らない仕上がりですし、2曲ほど収録されたオリジナル作品もこれまで書いてきた彼の資質がそのまま曲に反映したという感じのセンスの良い都会的ムードに彩られた好作品でした。

 また「Yesterdays」、「Out of the blues」、「But not for me」、あとジョビンのボサ・ノヴァ作品である「Triste」では、ビーストらしい趣味の良さを保ちつつもちょいとアーシーでブルージーな披露したりしているあたり、このアルバムに前作以上の厚みというかコクのようなものを与えているとも思いました。
 という訳で、本作も夜のリラックス・タイムに雑誌でもパラパラとめくりながら、グラス片手に聴いたりすると、めっぽう楽しめる作品です。実はこの後に出た奥方がヴォーカルをとっている作品というのも購入済みなのですが、この線だとやはり楽しめそうで期待できますね。
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ニューヨーク・トリオ/過ぎし夏の想い出

2006年01月23日 00時12分53秒 | JAZZ-Piano Trio
 アメリカ出身の主流派のジャズ・ピアニストで若手といったら、一番好きなのがこの人ってのはしばらく前に書いたけど、このビル・チャーラップのアルバムの未聴がたまりまくっている。ブルーノートのバーンスタイン集の封も切らないうちにガーシュウィン集が出てしまったし、ヴィーナスのニューヨーク・トリオの方も「星へのきざはし」を聴こう聴こうと思いつつ、コール・ポーター集が出てしまった。ほら、大昔いたでしょ、弁当のおかずで最後まで卵焼きとっておくようなヤツ、きっとボクもそうなんだろうな。楽しみは後でじっくりと....みたいに考えて、いつまでたってもCDの封を切らないんですよね。困ったもんです。

 まぁ、ここ半年くらいはその前の半年の反動なのか、ジャズのピアノ・トリオって、それほど渇望しなくなってしまって、ヨーロッパ物にしても、本場物にしてもそれほど聴いていないのだけど、例外的に聴いたのがこのビル・チャーラップ。ヴィーナスでのニューヨーク・トリオの最初の2枚を選曲して、一時間くらいのベストを作り、それをiPodに入れて、仕事帰りのリラックス・タイムとか、とにかくよく聴いてます。で、その1曲目がこのアルバムのやはり冒頭に入っている「いそしぎ」なんですよね。この曲、アストラッド・ジルベルトがボサ・ノヴァ調で歌ったヴァージョンも好きだけど、チャーラップの演奏はさしずめそれと双璧といっていいくらい好きなものですね。実はこの演奏、ニューヨーク・トリオといってもチャーラップのソロでして、このソロ・パフォーマンスが実に素晴らしい。メロディアスではあるんだけど、実は寡黙といってもいいくらいストイックなパフォーマンスで、この曲のそこはかとない優雅さと哀感のようなものを見事に表現しています。うーん、自宅の部屋で聴くのは久しぶりだけど、やっぱいいなぁ。

 ちなみにこのアルバム、キング・コールで有名な「モナリサ」もピアノ・ソロで収められてます。こっちもいいけど、原曲のきらびやかな雰囲気からするとちょいとイメージが違う感じがしないでもないです。トリオでの演奏は「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」のシャープなリズムが、ビル・スチュアートのタイトなリズム・キープと相まって爽快だし、まるでシューベルトの即興曲みたいに始まる「帰ってくれたらうれしいわ」のダイナミックさもグー。レギュラー・トリオの「ひとつの楽器」みたいな精緻なアンサンブルもいいですが、スチュアートがもたらしたであろうニューヨーク・トリオのちょっとズレた感じもいいですね。
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