和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

御所の二階の、額。

2018-12-27 | 短文紹介
「日本の米カレンダー」は、毎年注文しておりました。
親しい方(といっても3~4人)へ配っておりました(笑)。

さてっと、届いた2019年の米カレンダーには、
「創刊30周年(富山和子制作最終号)」とあります。
カレンダーについてくる説明書の最後には、

『永いあいだ、本当に有り難うございました。 富山和子』

とあります。少し上に、こんな言葉がありました。

「この三十年間 
この活動を一貫してご支援くださったのは皇后陛下でした。
2010年8月には日本の米カレンダー展(つくば食と農の科学館)に
天皇皇后両陛下おそろいで行幸啓遊ばされました。
皇后さまはこのカレンダーのために額を作らせ、
毎月ご自分で入れ替えられ切り取った分を改めて
和英つき合わせて一言一句お読み返しになり、
何かお気づきのことがあればわが家にお電話をくださいます。
その額は、御所の二階に飾られています。」

ここにも、皇后さまが登場しておりました。

私と言えば、とうとう毎月のカレンダーについた、
和英文を読まずに過ごしてきてしまいました(笑)。


これを機に、米カレンダーの購入も終了することとします。
平成31年。平成最後のカレンダーなんですね。

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英語ではアイドル・トークというそうである。

2018-12-27 | 本棚並べ
今年最後の、注文した古本が昨夜届く。

そのなかに、河盛好蔵著「文学空談」(文藝春秋新社)。
函入で昭和40年発行。

はしがきは、こうはじまります。

「『空談』、辞書を引くと、
『むだばなし。根拠のない話。実行のできぬ話』という釈義が出ている。
英語ではアイドル・トークというそうである。
・・・出たとこ勝負の『むだばなし』を書いてみたいと
以前から私は考えていた。・・」

 こんな箇所もありました。

「衆と共に文学を楽しみたいという情熱では
なんびとにも劣らないつもりである。
ひと口でいえば、永遠の文学ファンということになろうか。」


はい。はしがきを読んだら、
本の最後の方をひらきます(笑)。

パラリパラリとめくと、「古本屋あさり」とある。
さっそく引用。

「読書家と古本屋とは切っても切れぬ関係がある。
本の好きな人が古本屋をあさるのは、
酒好きが居酒屋に入りびたるのと同じである。

私が古本屋あさりの楽しみを覚えたのは京都・・・
あの頃、つまり大正の末から昭和にかけての時代は、
丸太町通りは軒並みに古本屋があって、丹念に見てまわると、
ずいぶんいろいろ珍らしい本があった。・・・
その頃私は詩にこっていたので、絶版ものの詩集を探すのを
楽しみにしていた。そして白秋の『思い出』『邪宗門』、
露風の『露風集』『白き手の猟人』、朔太郎の『月に吠える』や
犀星の『抒情小曲集』、大学の『月光とピエロ』、
荷風の『珊瑚集』、そのほか愛書家がきいたら
涎をたらしそうな詩集をたくさん集めていた。
あの頃の詩集にはなかなかこったものがあって、
作者の名は忘れてしまったが、薫香をたきこめた本などもあった。
またこれは新刊書で買ったのだが、西城八十の『砂金』の
革表紙の手ざわりも忘れることができない。

しかしこれらの詩集は、大学へ入ったときに
すっかり売り払ってしまった。
日本の詩人とは手を切るというつもりだったのである・・・」
(p309)


そういえばと、本棚に雑誌を探す。
『新潮』2000年1月号新年特別号に、
河盛好蔵の1ページの忘れ難い文があったのを思い出す。

特集に、アンケート「20世紀の一冊」があり。
河盛好蔵氏は『月下の一群』をとりあげておりました。
そのはじまりは、というと、

「堀口大学さんの訳詩集『月下の一群』に出会ったときの
驚きは、97歳の今も忘れない。
大正14年(1925)、第一書房から刊行された初版本を、
私は・・大学・・在学中に読んだ。」

この一頁の文の、忘れ難い最後も引用。


「時代が大きく変わるとき、
当然ながら文学も大きく変わらないではいない。
しかも、面白いことに、新時代を画するエポックメイキングな
文学者は、例外なく彗星のように突然出現する。

文学の底に流れているのは詩である。
これはごく当り前なことなのに、
わが国の近・現代文学は、いつの頃からか
詩と小説が分離してしまい、
その傾向は今に続いている。
私は大学さんのあの仕事にかえることが、
今もっとも大切なのではないかと思っている。」
(p275)


ついでなので、
谷沢永一著「紙つぶて 自作自注最終版」の
p113の河盛好蔵氏をとりあげた箇所も、
あらためてひらいてみました(笑)。




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