今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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手遅れ気味のPEN-FTの巻

2017年02月01日 20時45分14秒 | ブログ

昨日は季節外れの暖かさだったですね。ウォーキングで汗をかいてしまいました。しかし、油断は禁物、2月が一番寒いのですからね。で、最近PEN-F系が続いていますが、来ない時には全然来ないのに不思議ですね。この個体#3140XXはほぼ改良が終わった良い頃の個体ですが、とにかく保管が悪くてボディーに腐食が出てしまっていますね。点検すると、基本的には消耗をしていない良い個体だったはずですが、こうやって捨て去られていった個体が殆どなのでしょう。その意味では運の良い個体かも知れませんね。

腐食はトップカバーやタイマーにも及んでいます。

 

 

内部はややカビっぽい感じです。

 

 

人気の40mmですが、もったいないですね。かなりカビか発生していて、経験的に落ちないカビ痕が残るカビです。

 

一見、未分解のようですが、過去に修理歴があるようです。どこに手を入れたのでしょう?

 

 

トップカバーのカウンター窓の右横が盛り上がっている個体を見ますね。これは駒数板を留めるネジが駒数ガラスを突き上げているからです。これも設計の組図上ではクリアランスは確保されているはずですが、実際は、駒数ガラスの接着剤厚みやカバーの留めネジが巻上げレバー左に1本のため、下がってしまうのですね。Fでは、ネジ位置が右側面にありましたので、カバーが下がることは無かったのです。これも巻き上げを1回に改良した弊害ということです。

すべて分解をして洗浄を終えたところ。前期型と後期型の相違点は、ピンセット先のセルフタイマー固定の仕方。初期からいろいろな方法でセルフタイマーを固定していましたが、これが一番簡単な方法ということで最後に採用されたのでしょう。

 

前期型ではアルミ製のキャップであったボトムキャップですが、後期型ではPPのような軟質ビニールになっています。これにより本体の金型形状も変更されています。フィルム室から確認出来ますので、ご自分の愛機を確認してみてください。ついでに、アルミ製のキャップですと、接着剤が剥離して脱落している個体も多いですから、それも点検してください。

 

カメラに戻ります。シャッターユニットは特に問題はなく完成しました。本体に搭載します。

 

分解歴がありましたので、どこを修理したのかと思いましたら、プリズムを拭いてコーティングが傷になっていますね。これは仕方のないことです。外観からして保存状態が最悪でしたので、コーティングは劣化をして、拭き上げると無くなってしまいます。

 

しかし、このシャッターダイヤルは気に入りませんね。ちよっと探してこ・・

 

 

ご常連さんなのでサービスで交換をしておきました。

 

 

ハーフミラーは交換しました。本体は完成。トップカバーの腐食を磨いてあります。

 

 

40mmは現存数が少なくなっていますので、出来るだけ救済したいのです。絞り羽根の前後と前玉にカビがあります。これは残るカビですね。

 

ズイコーレンズは接着が強いので、溶剤を滴下してしばらく軟化を待ってから開けます。

 

 

レンズの清掃が終わって作業完了と思いましたら、オーナーさんから、「純正のレンズキャップが緩くて留まらないので貼り直してほしい」とのご要望があったのを思い出しました。ここは小学生の工作程度で出来ますので、みなさんでやって頂きたいのですけどね。まず、花文字部分がへこんでいて、これもテレンプ部分を緩くする要因ですので修正をしておきました。テレンプの寸法は幅3.5mm X 長さ150mmですので切り出して貼っていきます。

 

これですべて完了しました。手遅れ気味の個体でしたが、どうして中々ベッピンさんになりましたね。

 

 

もう一つ忘れていました。過去に消耗したH-D電池を利用した電池アダプター製作の記事をUPしたことがありましたが、それを覚えていらしてご希望になっていらっしゃいました。一応はお断わりをしていたのですが・・電極の金属はステンレスのため、硬くて加工に時間が掛かってしまい、工賃が見合わないのですが、覚えていたくださったので作って見ました。SR(LR)44電池の外径は一定ではなく、+側で11.50mm程度で-側では11.35mm程度です。出来るだけ挿入ガタを無くすために11.53mmで仕上げてありますがこれが難しいです。

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