ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

昭和家庭史 ラジオドラマ編(3) JOAK、全国から懸賞作品募集

2006年02月09日 | 昭和家庭史
昭和6年秋、JOAK(NHK)はラヂオドラマ、ラヂオ風景脚本の懸賞募集を行った。昭和3年に続く第2回目のもので、この募集を知って光男も応募した。審査員は岡本綺堂、久米正雄、菊池寛ら。当時の懸賞募集要綱を記録しておく。このラヂオドラマに全国から応募した作品は576編に上った。

■■ 懸賞 ラヂオドラマ、ラジオ風景 脚本の懸賞募集(放送部・企画課) ■■

当局に於いては今回演芸放送の資料としてラヂオドラマ、ラヂオ風景の脚本を一般より懸賞募集したが其募集条件は左記の通りである。

懸賞募集条件
 一 賞金総額 八百円
 一等 金二百円         ラジオドラマ ラジオ風景 各 一篇
 二等 金  百円      同                                 各  二編
 外ニ佳作数編         放送ノ際相当ノ放送料ヲ呈ス

一、 応募戯曲ハ形式及内容共ニラヂオ放送ニ依テノミ其効果ヲ挙 
       ゲ得タルモノタルコト 但シ時代ヲ問ハズ

 一、 応募戯曲ハ創作タルベキコト、翻訳ハ採ラズ
 一、 ラヂオドラマハ四百字原稿用紙三十枚乃至五十枚ノモノヲラヂ 
       オ風景ハ其ノ枚数ニ制限ナキモ其ノ放送所要時間ハ約一時間
       三四十分タルベキコト
 一、 各応募戯曲ニハ必ズ四百字内外ノ梗概ヲ添付スルコト
 一、 当選作ノ版権ハ総テ当局ノ所有トス
 一、 応募原稿ハ変換セズ

一、 締切    昭和六年十月十五日
一、 当選発表  昭和六年十一月十五日

一、 選者  
ラヂオドラマ 
       岡本 綺堂 久米 正雄 山本 有三 
       菊池 寛    岸田 國士  久保田 万太郎  

ラヂオ風景  
       池邊 均 徳川 夢聲  土岐 善麿 
       小野 賢一郎 水島 爾保布 久保田 万太郎

一、 応募原稿ハ封皮ニ「懸賞ラヂオドラマ」又ハ「懸賞ラヂオ風景」ト       朱書ノコト
 一、 宛先 東京市麹町区有楽町東京中央放送局企画課懸賞係 宛
                                                                                  以上

 この記録は昭和6年9月5日 関東支部彙報(いほう) 第七号を転写したもの。
 同、10月12日の彙報には全国からラヂオドラマ576篇が集まり、まずAK側の文芸課で予選を行いふるいにかけたこと。
ラジオドラマの応募企画は昭和3年に続く2回目だったことがわかった。
 以下、同日の関東支部彙報から関連のところを転写する。

懸賞脚本の締切として 予て当局に於いて懸賞募集中のラヂオドラマ及ラヂオ風景の脚本は、10月15日を以って締め切ったが、締切日迄の応募作品数はラヂオドラマ576篇、ラジオ風景95篇、総計671篇の多きに達し、前回(昭和2年)募集の際に於ける応募数に比較して約2倍の応募数を得た訳で、締切間際の2、3日間は1日約100篇の応募原稿が到着するとういう有様であった。  
尚右応募作品は目下文芸課に於て予選中であるが、殆ど無価値のものはなく、良かれ悪しかれ一篇のドラマとしての体を為しているとのことで、今回の応募作品中には可成の優秀作品が得られるものと期待している。


 ■■ジッタン・メモ■■
彙報 とは「いほう」と読み、「さまざまな事柄を集めて分類した報告の意。雑報。」とのこと。
今で言えばNHK”社報”版にあたるものだろうか。
 光男の当選作「肖像画」を求めて昭和57年、愛宕山放送博物館を訪ねたときに、担当の方から資料として頂いた中に、この「彙報」があって当時の状況を知ることができた。


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