花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

昔代返、今同時再生

2022-02-17 19:35:00 | Weblog
 早稲田大学の商学部でオンライン授業の不正視聴があったと、朝日新聞デジタルが報じていました。記事によると、「ビジネス法入門」では動画授業をすべて見ることが義務付けられていたものの、一部の学生はパソコンの画面を複数開いて複数回の授業を同時再生させていたそうです。該当する学生は100人もいて、単位がもらえなかったとのこと。

 ある学生は次のように述べています。「視聴期限の前日の時点で未視聴の授業動画が30本以上残っていて、短時間で再生を完了させたかった。初回は動画をきちんと視聴したが、自分で教材を読んで勉強した方が効率がいいと考えた。自分も含めて同学年の学生たちは公然とやっていたが、今は僕たちが完全に悪かったと考えており、反省している」。

 大学入学共通テストでスマホを使って世界史の問題を流出させた行為がひとしきり話題になっていたこともあり、今の世ならではの不正と眉をひそめる人が多いかもしれません。けれども、私は「初回は動画をきちんと視聴したが、自分で教材を読んで勉強した方が効率がいいと考えた」の言葉が気に掛かりました。学生の反省は当然としても、「自分で教材を読んで勉強した方が効率がいい」のなら、学校側も動画の内容がどうだったか、振り返ってみる必要はないでしょうか。

 自分が学生の頃(大昔のことで恐縮ですが)、魅力的な授業は学生が多く詰めかけ熱気にあふれ、真剣にノートを取った一方、退屈な授業では内職、居眠り、代返が多々見られました(授業をしてくださった先生、どうも済みません)。やり口こそ違え、(大)昔の学生も不正視聴をした学生と五十歩百歩です。

 法学者の末弘厳太郎先生は「嘘の効用」と題するエッセイで、「法」がひとたび社会の要求に適合しなくなると、必ずやそこに「嘘」が効用を発揮しはじめる、とおっしゃってます。ざっくり言えば、守る意味が見いだせないルールを強要されると、人は抜け道を探すようになる、そんなところでしょう。不正を一方的に指弾するだけではなく、動画授業の内容やあり方を今一度見直してみるのもアリかと思います。

早大生100人、オンライン不正受講で「不可」 複数授業を同時再生:朝日新聞デジタル

 早稲田大学は、商学部の一部の授業で学生による不正行為があったとして、関わった学生の同授業の成績を「不可」とすることを決めた。オンラインで視...

朝日新聞デジタル

 

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