Oceangreenの思索

主に、古神道、チベット仏教、心理学等に基づく日本精神文化の分析…だったはずなんだけど!

失われた文化英雄

2010-01-19 | 思索のかけら
文化英雄、という種類の神がいる。
いまだ未開、あるいは混乱の状態の人々の前に現れ、
文明や社会道徳をもたらす存在である。

日本では、古事記以前のスサノオの命がおそらくそれで、
記紀にもその片鱗が見える。
北海道の西南部におけるオキクルミは、その代表的な存在だと思う。

南米には、ビラコチャ、トゥヌーパ、パチャカマック、
などと呼ばれる文化英雄神が語り継がれている。

彼は大きく威厳ある男性で、
海の向こうから、或いはどこからともなくやって来て、また去っていく。

彼はかつて人々に、親切と知恵をもって語りかけ、
どのように生きるべきかを教えた。
思いやりを持つことを勧め、害しあうことを戒めた。

病を癒すのみならず、
さまざまな驚くべき不思議な力を持っていて、
人にも動物たちにも、生命の息吹きを与えた。

彼らはしばしば創造神と同一視され、
時に創造神の息子ともされる。

***

インドのブラフマーは、虚空そのものか、
あるいは虚空とそこにある風(ルン)だという。

それが人格化された存在が、ブラフマンである。

ブラフマーは、カーストを作ったバラモンの神と言われるが、
そもそもは、先住民から取り込んだ神格ではないかと思う。

インダスには、奴隷もなく、身分の差というものはなかったが、
力のある神だったが故に、権威付けに利用されたのでは、と。

おそらく、ブラフマーは仏教でいう法身にあたり、
その色身がブラフマンとなる。

法身は真理そのものの体であり、
色身は、ルン(気)の体である。

つまりブラフマンは、ブラフマーか、
あるいはそこから生じた息子とも言える。

出口なおさんに降りた国常立命は、最初、
国武彦と名乗った。

おそらく、国常立はブラフマーにあたり、
国武彦はブラフマンにあたるのだと思う。

国武彦は、失われた日本の文化英雄だと思う。
スサノオは、国常立の化身としての地球の魂である。

古神道において、人間の御魂が珠の形をしていると言われるのは、
それが、星々の魂の分身の相である場合だと思う。

人間は龍神から生まれたとする説は、
それが日本国土の魂の分身の相である場合だろう。

法身の場合には、形はない。

***

ブラフマンはもしかしたら、ムーではなく
レムリアの神かもしれないけど、

失われたムーにあたる聖域の神が、文化英雄として、
人類の黎明期に各地を流浪していた、と考えたら、おかしいだろうか?

伊勢の外宮は食物の神、豊かさの神だが、
そもそもは国常立の神の農業神としての相であり、
古くは太陽神と同一視されたのだと思う。

インカの太陽神や、ギリシャのアポロ、
インドのスーリア、エジプトのラーなどに相当すると思う。

内宮の神はウシャスであり、
外宮の神と一体だった巫女神だろう。

そもそもは等価だったが、大和朝廷が自らの権威付けのために、
内宮のみを太陽神として、外宮の神格を隠したのではないかと思う。

外宮を宇宙の最高神とする、度会神道という流派があるのだが、
まんざら間違ってはいないのかもしれない。

やがて、文化英雄はどこでも、
新しい文化の神に駆逐されていったのである。

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