AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

STU48『無謀な夢は醒めることがない』とカップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2020-02-23 13:38:57 | ときめき研究家
STU48は着実にシングルを出している。喜ばしいことだ。今回も、カップリングも含めて、特徴がありわかりやすい曲が揃っている。

『無謀な夢は醒めることがない』。
シングルタイトル曲らしい曲だ。グループの仲間たちと力を合わせて、他人からは無謀と思われる夢を追い続けて行くという決意を歌っている。例えるなら『転がる石になれ』『RIVER』『最終ベルが鳴る』『初日』『手をついなぎながら』といった、グループのテーマソングになりうるような歌だ。
曲調はドラマティックだ。歌詞も勇ましいフレーズが連続する。なかでも「まだ流れていない涙に怯えるな」というフレーズには心が動いた。無難な人生を志向する風潮だが、若者には冒険が必要だ。
1か所だけ違和感があるのは「楽をするなという説教は聞きたくない」というフレーズだ。彼らは初めから楽などする気はなく、どんな苦労も厭わない覚悟だろう。そんな彼らに説教するとすれば「無茶をするな」ではないか。

『奇跡という名のストーリー』。
シングルタイトル曲と対になるような楽曲だ。どちらがタイトル曲になってもいいくらい、出来もいいし、同じようなメッセージを歌っている。
「ストーリー」「ヒストリー」「デスティニー」「ファイナリー」と韻も踏んでいるし、シンプルな言葉でポジティブな心情を畳みかけている。タイトル曲と比べると、外部環境の困難さにはあまり触れておらず、その分ドラティックさには欠けるかもしれない。しかし、若々しいパワーはこちらの方が直接感じられ、むしろ私はこちらの方が好きだ。

『僕らの春夏秋冬』。
カップリング曲の中で一番気に入った。ノスタルジックな気分でいっぱいになる。
昔付き合っていた恋人と何度も歩いた桜並木で、彼女のことを思い出しているという歌だ。でもそれだけではない。
AKBグループにとって桜は特別な花だ。『桜の花びらたち』『10年桜』『桜の木になろう』など、何度も卒業ソングとして歌われて来たが、一方で、時が流れても変わらない永遠の象徴でもあった。毎年花が咲いて散るように、メンバーが入れ替わっても、ずっと続いて行く存在としてAKBグループを位置付けていたように思う。AKBグループの末子であるSTU48がこの歌を歌うことは、グループの未来を託されているという意味を感じる。
そういう深読みを抜きにしても、穏やかな曲調の中に、静かな勇気がにじみ出てくるような、素敵な楽曲だ。もう昔には戻れないけれど、忘れることのない思い出が今の自分の一部であることは間違いない。

『瀬戸内の妹』。
のんびりした曲調からは、昭和の名曲『瀬戸の花嫁』(小柳ルミ子)を思い出す。その歌は、結婚する姉から弟に向けて「私がいなくなっても父さん母さんを大事にしてね」と呼びかけていた。それを意識しているのかどうか、『瀬戸内の妹』は、兄から結婚する妹へのメッセージソングだ。
しかし、この歌の妹は本当の妹ではない。幼馴染の妹のような存在のようだ。彼に、本当に恋愛感情がなかったのかははっきりしない。『鈴懸なんちゃら』のように、今は妹だけどいつかは恋人になる予感のようなものを感じていたのかもしれない。だとすれば彼女の結婚を純粋に祝福するだけでなく、一抹の寂しさも感じているのだろう。でもその気持ちは絶対に言葉には出さないはずだ。

『一瞬のスリル』。
偶然の出会いのスリルとときめきを歌っている。『BINGO』『隕石の確率』といった曲と同テーマだ。
待っていたロマンスではなく、不意打ちの出会いにこそ運命がある。街角でぶつかったというのは月並みではあるが、本人が運命と思ったのだからそうなのだろう。
曲調はちょっと大げさすぎる気もする。

STU48過去のシングル曲の感想はこちら。
『風を待つ』。
『大好きな人』。

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ドラマ『伝説のお母さん』で前田敦子がはまり役。大島優子も。(ときめき研究家)

2020-02-15 20:44:56 | ときめき研究家
NHKの深夜ドラマ『伝説のお母さん』が面白い。第2回まで見たところだが、全8回なのでまだまだ楽しめる。

魔王を退治に行くミッションを与えられたチームのメンバーである魔法使いのメグ(前田敦子)には生後8か月の娘がいる。保育園には空きがなく、夫は全くあてにならないダメ男なので、やむなく子連れで魔王退治の旅に出る。当たり前だが、子連れでの魔王退治は困難を極める。といった筋書きだ。

ロールプレイングゲームのような映像が挟み込まれ、このドラマ自体がゲームの中の話という体になっている。しかし、魔王退治を普通の会社の仕事に置き換えても充分当てはまる。一億総活躍、女性の活躍促進などともてはやしながら、受け入れる側のインフラや意識がまだ整っていない実態を鋭く批判している。
それを直接的に描いたのでは、よくある社会派ドラマで面白くない。ゲームの世界の話として描くことで、デフォルメされて、より多くの人に考えさせる仕掛けになっている。

メグの夫モブは、本当にダメ男だ。安請け負いするくせに家事は何もできない。すぐに投げ出してゲームに夢中。うんちのオムツ替えは「無理」と放棄する。そのくせ、メグの苦労を理解するどころか、能天気に心無い言葉を発したりする。保育所の職員が、確実に保育所に入れる方法として、「夫を殺してひとり親になる」ことを勧めるが、冗談ではなく死んでくれた方がマシという気もする。
それと対照的なのが、魔王退治のパーティーのリーダーであるマサムネだ。彼は理想的なイクメンで、妻と完全に役割分担して育児に参加している。彼の妻は厳しく、魔王退治という特別なミッションに出かけていても全く斟酌せず、5時に保育所に迎えに行かなかったことを詰問するのだ。「仕事も育児も完璧にこなす自分」に陶酔しつつも、徐々に疲弊しているようだ。

その他の登場人物も、それぞれ一癖あり、メグの事態を改善してくれる人は誰もいない。

前田敦子のメグははまり役だ。前田敦子自身が最近出産したばかりだ。現実世界でどのように仕事と育児を両立させているかは知らないが、ドラマのテーマやディテールへの理解度は深いだろう。
それでいて、ゲームのキャラクターのようにわかりやすく怒り、困惑し、慌て、悩み、笑う演技は、前田敦子は得意だ。微妙な表情は必要ない。

前田敦子の出演ドラマ・映画の感想はこちら
『もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
『苦役列車』
『クロユリ団地』
『もらとりあむタマ子』
『さよなら歌舞伎町』
『イニシエーションラブ』
『ど根性ガエル』
『毒島ゆり子のせきらら日記』
『旅の終わり、世界のはじまり』


大島優子は、NHKあさドラ『スカーレット』に出ている。ヒロイン戸田恵梨香の友人役だ。高校時代から演じはじめ、現在は50歳前後になっているはずだ。録画してまでは見ないので、見るのは土曜日か祭日。久しぶりに大島優子を見たが、すっかり関西のおばちゃん化していた。一瞬、濱田マリかと思ったほどだ。戸田恵梨香があまり老けていないので際立っていた。なかなか良い新境地を得たと思う。
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松井珠理奈の思い出。センチメンタルトレインを降りる時。(ときめき研究家)

2020-02-11 21:03:22 | ときめき研究家
松井珠理奈がSKE48からの卒業を発表した。
SKE48の絶対的なエースだったことは間違いない。アンチも多かったようだが、それだけ個性が際立っていたということだろう。
私は松井の性格や言動には関心がないので、主に楽曲を通して彼女の業績を振り返ってみたい。

『大声ダイアモンド』。(2008年)
11歳にして、AKB48のシングル曲で、前田敦子とのダブルセンターに抜擢された曲。好きなら好きと大声で叫べという、初期AKBグループのテーゼをストレートに歌った名曲だ。
ミュージックビデオは、女子高の文化祭でAKB48をやるという内容だった。前田敦子がなかなか舞台に上がらないハラハラ感が強く印象に残っている。松井は案外目立っていなかった。久しぶりに見てみたら、後年のミュージックビデオと比べてもシンプルな作りで、だからこそ各メンバーが輝いていた。

『Glory days』。(2009年)
『手をつなぎながら』公演での松井珠理奈、桑原みずき、中西優香のユニット曲。青春の焦りと苛立ちを鮮やかに描いている名曲だ。松井の歌い出しから楽曲の世界に引き込まれるが、他の2人の声とのコンビネーションも絶妙だった。松井は、ベストアルバムの1人1曲ミュージックビデオでも、この曲を選んでいた。

『鈴懸なんちゃら』。(2013年)
松井珠理奈がじゃんけん大会で優勝してセンターを張った曲。長すぎるタイトルが話題になったが、内容はなかなか爽やかな佳曲だった。幼馴染に恋心を抱くが、告白するにはまだ早いという、なんとももどかしい内容だ。「恋愛モラトリアム」とでも言うべきか。

『不器用太陽』。(2014年)
『寡黙な月』で自信満々だと歌われていた太陽も、実は不器用だったという曲。
紅白歌合戦での演出はひどかった。松井以外のメンバーは全員床に寝転がらされ、かつ歌詞はバラバラに切り刻まれ、せっかく良い曲なのにそれが全く伝わらなかった。

『赤いピンヒールとプロフェッサー』。(2015年)
リクエストアワーで1位を獲得したソロ曲。組織票だとか何だとかで批判もあったが、いい楽曲だと思う。『Dear my teacher』の大学生版で、荻野目洋子『ダンシングヒーロー』を彷彿とさせる。

『花占い』。(2017年)
自作詞によるソロ曲。彼女の日頃のイメージとは違うミディアムテンポの曲。不器用な感じが案外似合っていた。

『センチメンタルトレイン』。(2018年)
念願の選抜総選挙1位を獲得したものの、直後に体調を崩し、センターとして参加できなかった悲運の楽曲。松井をイメージして作られた佳曲だったのに。
「センチメンタルトレイン」とは、メンバーが乗り降りして移り変わっても、走り続けるAKBグループのことだと解釈した。松井もついにこの列車を降りる時が来たのだ。

好きなメンバーというわけではなかったが、いくつもの思い出を作ってくれた松井珠理奈に感謝。
コメント (1)
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欅坂46のシングル曲を再鑑賞。彼女は何に抵抗していたのか?(ときめき研究家)

2020-02-02 13:22:11 | ときめき研究家
平手友梨奈が欅坂46からの脱退を発表してから1週間、欅坂46のシングル曲8曲を何度も聴き直した。
その全てでセンターを担った平手は、もうグループを去ったと思うと複雑だ。

過去の記事はこちら。
『サイレントマジョリティー』。
『世界には愛しかない』。
『二人セゾン』。
『不協和音』。
『風に吹かれても』。
『ガラスを割れ』。
『アンビバレント』。
『黒い羊』。

純粋なプロテストソングと言えるのは『サイレントマジョリティー』『不協和音』『ガラスを割れ』『黒い羊』の4曲だろう。しかし、何に対するプロテストなのかが微妙に違う。

『サイレントマジョリティー』は、大人・権力・体制への抵抗が主眼だ。どこかの国の大統領に象徴される理不尽さに抵抗せずに沈黙する大衆に対しては鼓舞、叱責して共に戦おうと呼び掛けるスタンスである。
『不協和音』では、プロテストの対象は、周囲の人々に移っている。主張を曲げて権力に従おうとする大衆に対して、「僕を倒してから行け」と命がけで説得する構えだ。
『ガラスを割れ』は、抑圧された大衆を鼓舞するスタンスに戻る。飼い慣らされた犬に対し、ガラスの檻を割って自由になれと呼びかける。
そして『黒い羊』では、ついに大衆を見放したかのようなスタンスになる。白い羊に成り下がり、周囲に同調して生きて行く大衆を冷たい目で見、そうなれない自分は黒い羊のまま悪目立ちし続けるという覚悟を歌っている。
大衆と共に戦う可能性を模索して来たが、ついにそれは無理だと悟った、そこにあるのは救いのない虚無だ。メロディーは美しいが、こんなに寂しい曲はない。

もちろんこれは楽曲の話であって、それを平手友梨奈と欅坂46メンバーとの関係に当てはめて考えるのは邪推というものだろう。ただ、楽曲として考えても、周囲と共に戦うことを諦めてしまった楽曲の後で、どのような楽曲を歌えばいいのかは難しい。
『世界には愛しかない』のような希望のある歌や、『二人セゾン』のようなシックなラブソング(とも言い切れないが)など、何を歌ってもいいのだが、私達ファンの期待はやはり力強いメッセージを伴うプロテストソングだったのだろう。約1年シングル曲が出ないブランクは、作り手の苦悩を示している。
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