『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(2024.3.26.TOHOシネマズ日比谷.完成披露試写会)
1976年、カリブ海の小国ジャマイカは独立後の混乱から政情が安定せず、2大政党が対立していた。国民的アーティストとなった30歳のボブ・マーリー(キングズリー・ベン=アディル)は、その人気を利用しようとする政争に巻き込まれ、暗殺未遂事件に遭う。マーリーはけがをおしてコンサートに出演した後、身の安全を図るためロンドンへ逃れる。
その後、名盤『エクソダス』の発表やヨーロッパツアーを経て、マーリーは世界的スターの座へと駆け上るが、ジャマイカの政情はさらに不安定となり、内戦の危機が迫っていた。
ジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波瀾万丈の生涯を映画化した音楽伝記ドラマ。『ドリームプラン』(21)のレイナルド・マーカス・グリーンが監督し、ラシャーナ・リンチがマーリーの妻リタを演じた。プロデューサーにはリタのほか、息子のジギー、娘のセデラが名を連ねた。
初めてボブ・マーリーの名を知ったのは、エリック・クラプトンがカバーした「アイ・ショット・ザ・シェリフ」(74)を聴いた時。友人が元はマーリーの曲だと教えてくれたのだ。
ただ、それ以来、特に熱心にマーリーの曲を聴いたわけではないので、彼についての知識はおおまかなものでしかない。従って音楽的には、正直なところ、同時代のフレディ・マーキュリーの『ボヘミアン・ラプソディ』(18)やエルトン・ジョンの『ロケットマン』(19)ほどには乗れなかった。
ただ、この映画はミュージシャンとしてのマーリーよりも、ジャマイカの政情に振り回される、あるいは宗教的、政治的なメッセージを発する人物として描いているので、音楽伝記ドラマとしては、個人的な悩みや葛藤を描いた定番のものとは少々毛色が違う。それ故、マーレーの人物像がいささかぼやけた印象を受けた。アディルも熱演を見せるが、マーリーのイメージとはちょっと違う気がした。
『エクソダス』のアイデアを『栄光への脱出』(60)(原題「エクソダス」)のレコードから得ていたことは初めて知った。
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