【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「ビヨンド・リスク 世界のクライマー17人が語る冒険の思想」ニコラス・オコネル

2018年09月27日 21時16分32秒 | 読書(山関係)
「ビヨンド・リスク 世界のクライマー17人が語る冒険の思想」ニコラス・オコネル/著 手塚勲/訳

日本語版が刊行されたのが1996年。(オリジナルは1993年)
そのときに読みのがし、図書館にも無く、22年が経過した。
この度、ヤマケイ文庫で復刻され、喜ばしいかぎりだ。

本書で取り上げられて、その後、亡くなった方は次のとおり。

ヴォルフガング・ギュリッヒ
ウォレン・ハーディング
ヒラリー卿
リカルド・カシン
ヴァルテル・ボナッティ
ロイヤル・ロビンズ

よくぞ当時、このインタビュー企画を考えられたものだ。

ロイヤル・ロビンズ
P170
明らかに大事なことは危険をしっかりととらえ、制御することです。といっても、クライミングには危険がなければなりません。これははっきり言っておきましょう。危険を冒すことを求められているのではなく、そこに危険があることが求められているのです。その危険を行動と思考力によってうまく回避するのです。

ロイヤル・ロビンズ
P172
クライミングは単なるスポーツではありません。ひとつの生き方です。

ロイヤル・ロビンズ
P194
怪我をしたり死ぬようなことがあれば、それは100%自分が悪い。責任は全部自分にあります。運が悪かったなんて言ってはいけない。決定的な瞬間に注意を払おうと払うまいと、自分の能力以上のことをやるかどうかは全部自分で選択することです。

ダグ・スコット
P284
質問:クライミングチームで理想的な大きさは何人ですか。
四人です。二人の場合はひとりが病気になると動きがとれません。三人の場合は、二人は気が合うが三人だと多すぎて仲間割れ、となります。

ヴォイテク・クルティカ
P326
質問:クライミングには浄化作用がありますか。
あります。(中略)日常生活の神経症的影響――ちっぽけでばかばかしいことに心を奪われたり、真実とかけ離れた不必要なことに心をわずらわせたりといった神経症的行動を払い清めるのです。登山で体験する強い心理的、肉体的緊張が無用のごみを洗い流してくれるのです。

ヴォルフガング・ギュリッヒ
P429
何かをやってみて、それがうまくいかないと、どなり散らして壁を蹴飛ばす若いクライマーをたくさん見かけます。彼らはすぐれたクライマーになりたいのですが、目標を達成できないとやめてしまうのです。
 私はクライミングにおける私の進歩をすべて贈り物だと受け止めています。ある点まで到達できるかどうか自信がありませんでしたが、到達できなくても腹は立てませんでした。

リン・ヒル
P484
結局のところ、私は最優秀クライマーになるには体が小さすぎると思います。人口壁なら小柄な人にはホールドを追加して平等にすることができますが、そのうちに埋め合わせするのが難しくなるときが来ると思います。(謙虚なコメントだが、リン・ヒル自身は、14を登り、誰もなし得なかったノーズのフリー化に成功した。以前、南仏の岩場でお会いしたとき少し言葉を交わしたが、静かな迫力と王者のオーラを感じた)

【ネット上の紹介】
刊行から四半世紀を過ぎてなお、一線のクライマーらに影響を与える山岳名著の文庫化。カシン、ボナッティ、メスナー、クルティカ、クロフト…20世紀を代表する登山界のレジェンド17人が自らの登山哲学、冒険の思想を語る。
ラインホルト・メスナー
リカルド・カシン
エドマンド・ヒラリー卿
クルト・ディームベルガー
ヴァルテル・ボナッティ
ロイヤル・ロビンズ
ウォレン・ハーディング
クリス・ボニントン
ダグ・スコット
ヴォイテク・クルティカ
ジャン=クロード・ドロワイエ
ジェフ・ロウ
ヴォルフガング・ギュリッヒ
カトリーヌ・デスティヴェル
リン・ヒル
ピーター・クロフト
トモ・チェセン