「鬼平犯科帳」(10)池波正太郎
シリーズ10作目。
次の7編が収録されている。
「犬神の権三」
「蛙の長助」
「追跡」
「五月雨坊主」
「むかしなじみ」
「消えた男」
「お熊と茂平」
P33
当時の[しる粉屋]というものは、蕎麦屋同様に、男女のあいびきにもつかわれるし、種々の用談もできるとう、いわば現代の喫茶店とレストランを兼ねたようなもので、いずれも、しゃれた店がまえだし、中へ入ると風雅な小座敷もある。
P343
それというのも、江戸は火災が多い。
その災害に備えて、大切な金品を、しかるべき寺や神社へあずけるのである。
それをまた、寺や神社が、他の事業へ投資したりして、金を預けた人たちには利息を出す。
境内が広大な寺や神社なら、先ず、火がかかっても全焼になることは、めったにない。
だから財産を預けておき、しかも利息がもらえるという……(後略)
【ネット上の紹介】
絶大なる人気の時代小説のロング&ベストセラー「鬼平犯科帳シリーズ」全24巻を、より読みやすい【決定版】で毎月2巻ずつ順次刊行。人のこころの奥底には、おのれでさえわからぬ魔物が棲んでいるものだ。このところ様子がおかしい老密偵・相模の彦十から目が離せない「むかしなじみ」ほか、密偵に盗賊、同心たちの過去と現在を縦横に描き、心揺さぶるシリーズ第10巻。「犬神の権三」「蛙の長助」「追跡」「五月雨坊主」「むかしなじみ」「消えた男」「お熊と茂平」の7篇を収録。