山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

世界で一番貧しい大統領ムヒカの言葉

2017-01-06 20:47:56 | 読書
 昨年来日したウルグアイ元大統領ホセ・ムヒカの側近が書いた『ホセ・ムヒカ、世界でいちばん貧しい大統領』(角川書店、2016.3,
大橋美帆訳)を読む。
 先日のキューバとアメリカを裏で仲介したのがムヒカだったのがわかった。
 軍事政権下で反体制活動家として4回も投獄されてきた体験をバネに、ラテンアメリカの内紛を越えて国どおしををつなげてきたのもムヒカだった。
 それだけに、混沌の様相を見せている今日の世界や人間に対する彼の言葉は、その深さとぶれない哲学の確かさを感じる。

                                
 「人生は未来だ、過去じゃない。未来があるからこそ人間は過去を忘れることができる。
 重要なのは過去を乗り越えることなんだよ。」
 
 「私は、獄中で孤立無援の状態を経験したからこそ、わずかなものしか持っていなくても幸せになれることを学んだ。」
 大統領としては「恨みやつらみや報復、思想的な教義から完全に自由な政府にするのだ」と与党内でも戦う。

     
 
 「現代人は仕事をし過ぎで、人生を謳歌していない。
 私たちは消費主義やうわべだけの人生との戦いに負けている。もし若い世代にどんな財産を残してやれるか選べるのなら、彼らが本物の人生にもっと多くの時間を費やせるようにしてやりたい。」

                                        
 現在の世界は「富の蓄積にばかり関心が向いていて、自分たちが対応できる範囲を超えた問題を生み出している」
 「人間の特徴のひとつは、生きていくために不可欠な空間を征服するということだ。
 資本主義は人間の内側にあるエゴイズムを助長し、人々は自分のことばかり考えるようになる。
 人類は、一つの種として、ひとつの集合体として行動しなければならない。」

      
 「死を受け入れられず、不幸なまま死んでいく人たちもいる。基本的に死というものは自然の法則だから、受け入れなければならない。
 重要なのは、自分の人生をとことん愛することだ。」

 そして有名な演説、「私たちは発展するためにこの世にやってきたわけではありません。
 この惑星に、幸せになろうとしてやってきたのです。」

 こうしたような内容を語れる政治家が日本にどれだけいるのだろうか。
 政治に目をつぶってきた膨大なツケがやはり人間を貶める。
 ことの壁がデカいから面倒だし、思考停止して金持ちのおじさんに投票するとか、バラエティやお笑いや芸能情報の刺激とか、につい目先の選択肢を選んでしまう。
 その結果、負の循環が世界を揺るがす。
 そんな渦中で、どこに心の潤いを獲得すればいいというののだろうか。
 ムヒカはその答えをさりげなく提示している。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする