治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

「やまゆり園事件の模倣犯ではなく」 理解されなかった動機 その1

2018-06-09 10:24:50 | 日記
さて、来週前半私はネットにつながりづらいところにいる予定です。
が、その前に、今後展開していきたい不定期連載の第一回目を書いていきます。
この話題を明るみに出すか、一ヶ月考えていました。そして出すことにしました。ご本人の許可もいただきました。
なぜかというと、この方は自分が起こしたことの「動機」を理解されないできたようですが
そしてなぜ理解されないのかそれが不思議だったようですが
花風社の本をご愛読の皆様には、あっさり理解できるだろうからです。

その方からは、先月初めて、メールをいただきました。
件名は

「発達障害、治るが勝ち」の感想その他自己紹介いたします。

でした。
『発達障害、治るが勝ち!』を読んでくださったという感想からメールは始まりました。
許可をいただいたので、現在お住まいの場所等がわからないようなかたちにして抜粋します。

そして自己紹介はこういう文章で始まりました。

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実は私ですが、「刑事事件を起こした自閉症の当事者」なのです。

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先に言っておきますが、その後不起訴になったから、いわゆる「前科者」にはなっていません。
そして事件を起こした地域からは遠く離れて、ある場所にお住まいです。

何が起きたか、詳しい説明がありました。

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(前略)
そんな怒りが大爆発するに至る出来事が、2016年の夏にありました。大ニュースにもなった津久井やまゆり園の事件です。(中略)ゆえに、私の中にいわゆるフラッシュバック爆発現象みたいなことが起きました。その日の夜は寝ている最中に、植松容疑者を暴行して「はい暴行犯で現行犯逮捕する」と言われた夢を見ました。そしてその翌日の夜は、前日に寝れなかったかった腹いせに「○○自閉症支援センターを破壊する」というメールを、私の名を知らせずに私の顔見知りのスタッフがいる作業所に送りました。そして、地元の警察を経由して自閉症支援センターのある地区の警察に行き渡りました。そして、逮捕の理由が、やまゆり園の事件の直後であったために警察も過敏になっていて、「津久井やまゆり園の模倣犯」と言う言い方で、NHKなどで ‘実名で報道されて’ しまいました。当時はネットなどにも炎上されていました。自宅の玄関を写真で撮られてネットで流されたりもしました。(これら
は後になってからいろいろ知りましたが)
私は○○自閉症支援センターの法人組織がある地域である○○区の警察署の留置場に3週間いました。その間、検察にも行き、検察官の紹介(検察官の判断)によりいわゆる鑑定医とも話しました。鑑定医が私に言ってました。発達障害の専門名乗る医師はいないとのこと。コミニュケーションが下手なのは微細脳障害の特性であることなど。「今後落としどころをどうつけたらえーと思う?」とか。あと、最も印象に残ったセリフと言えば、「自閉症支援センターには自閉症支援センターのシステムがあるんよ。それと折り合いをつけるのが難しいんやろうな」というセリフでした。浅見さんの本を読んで、“自閉症支援センターのシステム”というのがよくわかったような気がしました。

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私はこの事件を知らず、検索してみました。
そして事件の報道が実に偏ったものだということを知りました。
被疑者の実名が出ています。肩書きは「無職」です。年齢も出ています。それどころか自宅の玄関まで公共放送であるNHKが晒している。

それでいて一切報道されていないことがある。

それはこの人が、脅した組織の「利用者」であったこと。
そして一歳半の時点で、診断を受けていること。
つまり「自閉症支援の先進地域」で「早期診断」され、現役で「支援」されていた方だということです。
ヒマを持て余した無職の人が事件を起こしたのではなく
早期診断され支援を受けていた支援組織の利用者が支援組織を脅迫したのです。

そのことがひた隠しにされ「やまゆり園の模倣犯」だという紋切り型の報道がされた。
けれども植松が障害者を攻撃したかったのに対し
この方が攻撃対象と予告したのは、支援者なのです。

なぜ怒りの対象が支援者だったのか
『発達障害、治るが勝ち!』をお読みの皆さんには容易にわかるのではないでしょうか。
それより、本名や自宅まで報道しておいて「早期診断された当事者であり利用者だった」という報道が一切されないなんて、本当に不思議なことですね(棒)。



続く(不定期)


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