治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

劣等感は発達の邪魔

2012-07-10 07:55:00 | 日記
昨日は
劣等感=内なる差別
ってことについて考えていましたよ。

いや、これはわかるんだけどね。

私は以前から、不思議に思っていた。
私の率直な自閉っ子観を「差別的だ」と取る人と「フェアだ」と取る人がいる。
自分としては、自閉っ子を対等な人間と見て行動しているつもりなので
特性には配慮する。けれども迷惑かけられたら迷惑だとはっきり言う。
それだけの話。
いつでも本当のことしか言っていないので
どう取るかは相手側の問題でコントロールする気もなかったのだが
きっぱり分かれるのが面白いなあと思っていた。

今回気づいたことは
障害児を授かったことに劣等感(=内なる差別)を感じている人と、感じてない人・感じ方が薄い人がいて
それによって言葉の受け取り方が違うんだな、っていうこと。

そして劣等感を感じている人は、選民意識があり
自分たちの要求が一方的に通ると思っている。
自分たちの負の感情を振りまいて大声で叫ぶことを人として恥ずかしいとは思っていない。
集団になるとよけい恥の感覚がなくなる。

一方で
劣等感を感じていない人は、同じ障害児の親でも理不尽な要求はしない。

きっと多くのギョーカイ人が
この事実に気づいていて
劣等感を刺激しないように気をつけてきたのだろう。

私は大地君の本が持ち込まれたとき
本能的に「これは出す必要がある本だけど、うち以外は手を出さないかも」と思ったけど
それはそういうことなんだと思う。


うーんと。そしてギョーカイ(の一部)に渦巻く劣等感に対して、私が今後どう対応するかと言うと。

配慮しません。
一切配慮しない。
そう決めた。

どうして?

だって劣等感は捨てたほうがいいでしょ。
劣等感は発達の邪魔。
それがシンプルな結論。

それにさ
そんなものに配慮していたらさ
大地君の本は世に出なかったじゃない。
あの本を役に立ててくださってる方だって多いわけでね。

発達に邪魔な劣等感に配慮してはっきり物言わないっていうのはね
猿烏賊の攻撃から自分たちの身を守りたいギョーカイの死んだふりの一環に私には見えます。
でも劣等感とか持つなっていうのが本物の支援者じゃないの?
だってないほうがいいもん、そんな劣等感。
子どものためにならないでしょ。

おまけにそういう劣等感の押し付けを見過ごしていたら
前向きな人の迷惑になるでしょ。
ギョーカイはそこまで気づいているのか? 気づいているんだろうね。

猿烏賊の一部は、虚弱体質から立ち直って皆勤賞まで取った光君や大地君が
「修行の成果を上げたのだ」とは信じられないかもしれない。

だったら自分の子も、そうなるかもね。修行しなくてもね。
そう信じてたかったら信じていればいい。
結果は自分で引き受けるわけだから、修行しない道を選ぶ自由はある。

劣等感を持つのをやめて、余力を発達に回せば、チャンスは大きく広がるだろう。
修行の不在よりむしろ、誰にも頼まれていないのに勝手に抱いている劣等感のほうが発達を妨げてるんじゃないのかね。

とか考えていたら読者の方からメールいただきました。
長いメール。

=====

「自閉っ子のための道徳入門」をゆっくりじっくり読ませていただきました。
目の前の子どもに寄り添い、観察しては手立てを考えている、明るいお母様方のお話に、
励まされる思いです。



(中略)

修行、修行と言われると、「きつい」や「勘弁して」と、言葉のインパクトにビビッてしまいがちですが、
(そういう方たち、いらっしゃいますね。)
ずっと浅見さんのブログやツイッターを読ませていただいていると、
そんなに怖いことを仰ってるわけじゃないし、考えていた以上に共感することが多いです。
それに、このまま何も手を打たず、
世間から白い目で我が子が見られて、果ては隔離状態になるほうが絶望的。
私には、いたって良心的で愛情のある言葉だなと感じられました。

それと、浅見さんは版元であって、一般人ですよね。
ニーズがあるから、有益な情報を取材して提供してくださってるわけで、
支援者とは立場が違いますし、そういう意味でも、
客観的で常識的な目線からの出版物は、ギョーカイどっぷりの考え方と離反して、
社会で生きていくために、一番身近な情報だと私は認識しております。

個人的には少しでも早く「社会(みんな)の中で」を意識して育てられる方が、
後々、親も楽です。

(中略)

でも、子育ての現場のあちこちで、子どもを比較する親って普通にいるんです。
猿烏賊さんたちのことはどうだか、私は興味ないのでわかんないですが、
障害関係じゃなくても、お稽古、塾、学校でもどこでも。(壮絶なケースもあります。)

ただ、障害関係で比べられちゃ、親の思惑を知らない子どもは可哀そうですよ。
これもしかし、軽度・重度であります。言葉を話せて、知的に高いアスペさんを嫉妬したり、
知的にそこそこあるがゆえに、重度のお子さんのように福祉に関われないのに嫉妬したり、
ときどき耳にしてました。

(中略)

私にだって、普通に嫉妬も劣等感もあります。負の感情は。
だけど、それをみっともないとわかっているし、
こんな自分はいかんとストップをかけているもう一人の私がいます。
うじうじしてたって、何も前に進まないことはわかっているし、
私は前に進みたい。

(中略)

劣等感によって弾みがつく場合もあるんですよね。
逃げるのか、逃げないのか、これは案外大きいんじゃないかと。

逃げる場合、いい年した大人はそれを隠すために、理論武装しますよ。
あくまでも言い張ります。そのほうが楽だから。
で、他の人にはわからないだろうけどね~と、上から目線にたつことで、
選民的意識になるかもしれません。(これは推論)
自分の弱みと面と向かってないことに、もはや自分で気づかないほどに。

(中略)

重ねて申しますが、浅見さんの感覚で作っていただいている本の数々は、
常識的で、客観的。社会を意識して前向きな方向性をあちこちから示してくださってると感じます。
だから、ずっと読ませていただいてます。(全部じゃないですが)

ちゅん平さんが社会へどんどんはばたいていかれるのや、ニキさんのお笑い世渡りネタ(?)の本ができるとあって、私はまたまた楽しみが増えました。

今後とも、御社のご活躍とご発展をお祈りし、
キセのご活躍も合わせてお祈りしております。

=====

これは示唆に富んだメールでしたが
「劣等感によって弾みがつく場合がある」すなわち
「劣等感がバネになる」というのは本当だと思うのですね。

ただねえ

それは自分に対し自分が持っている劣等感の場合でしょ。

親がたとえ自分の子であれ、別の個体に勝手に抱いている劣等感は
はずみにも何もならないでしょ。
無駄に当人を貶めてるだけ。

いくら親っていったってね
子どもの代わりに劣等感感じるなんて不遜です。顔じゃないですよ。
どうしても感じるんだったら
隠せよ。人間なんだから。

ってわけで

そういう劣等感を持つこと自体に「やめなよ」っていうのが私の方針なので
「自分たちが傷つかないような発言をしろ!」という抗議には、今後も一切耳を貸しません。

傷つかないアナタになっておくれ。
そのほうがたぶん、お子さんにもいいはず。


☆☆

昨日のあの時間帯、椅子の上で正座し、ワンセグを握り締めていたのは私です。
落ち着いた勝ち方だった。
今日も合口の悪い相手だねえ。
でも去年の九州場所、師匠の急逝のあと、応援に駆けつけた私の前で倒した相手ですよ。
楽な相手は、一人もいません。
精一杯応援しましょう。それだけ。

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3 コメント

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素人心理学の (浅見淳子)
2012-07-11 07:26:45
えーと、素人心理学っぽい理論を振り回すコメントを一つ削除しましたよ。

私は人を見下してはいませんよ。
猿烏賊は嫌いだから、嫌いと言っているだけです。
前向きな人を邪魔するから、邪魔するなと言っているだけです。
見下されていると感じるのなら
自分に劣等感があるからでしょ。
あるいは私に嫌われたくないのか。
っていうことは、本当は口で言うほど私のことが嫌いではないということかな?

それと、某地方病院勤務の医者は、花風社の存在を害悪だと思っているから批判しているのだということですが
だったら実名が明らかになった今も、医師の務めとして堂々と批判なさったらどうでしょう。
本当に害悪だと思っているのならね。
同じ名古屋市内でも、大地君の本を勧めてくださる医師もいる。
それぞれ考えはあると思いますし、それを表明なさるのは自由でしょ?

ただし、選ぶのは花風社でも地方勤務の医師でもありません。
市場です。

以上。
至極まっとうだと思います (やす)
2012-07-11 19:52:05
 私は、「発達障害は治りますか」など花風社の本を何冊か読んでいますし、今も読んでいます。
 ネット検索してみると、浅見社長に対する、2ちゃんねるのようなバカげた書き込みが多くありました。そのうちの主要な一人が、名古屋市鶴舞にある大学病院の著名な勤務医であることがわかり、大変驚きました。
 実物をいくつも読んでいますので、それら意見は「あすぺ基地外。4ね逝ってよし」の類と考えています。うんこに構っている暇はありません。
 方向性や生き方の違いはあっても仕方がないのですが、猿かネアンデルタール人でもしないようなくだらない発言を医師免許を有するほどの知能指数のある人物等が匿名で集団で行う心理は、ただただ人類の劣化を表しているようで、残念です。その退化のレベルはカンブリア期をはるかに超え、ビッグバンにまでさかのぼらないと究明されることはないでしょう。
本当にねえ (浅見淳子)
2012-07-11 20:19:02
やすさん、ようこそ。
ブログリンクしていただいたのですね。タイトルがおされですね。
あとで読ませていただきます。

いやあ、とにかく引きこもり原理主義者とは方針が違うので、批判されても当然だと思うのですが、実名をこちらがつかんだとたんぱたりとおやめになるなんて、志が足りないんじゃないかしら。引きこもり原理主義を守るために闘う気概もないんですね。ヘタレはアンチ活動もちゃんとやれないんですよ。
それと、神田橋先生に文句があるのなら、私をいじめるような弱いものいじめをやめて、直接御大にアプローチなさったらいいのではないかと思います。
謎ですわ。
またお越しくださいませ。