治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

人権を守るのはどちらか?

2017-09-27 08:26:27 | 日記
吉川徹センセも土曜日の夜の部来ればよかったのに。
このツイートを見てそう思いました。



お仕事上、司法とかかわりを持つことがゼロとはいかないだろうに、全然法律わかってないんだな。

この埼玉の事件の記事、FBでも回ってきましたのでコメントなしにリンクだけシェアしたら、土曜日の参加者の方が
「あのお話を聞くと警察がなぜこうしたかわかる」(大意)みたいなことを書いていらして
本当ですよね、と思いました。

むしろ警察は人権を守っていると思います。被害者加害者双方の。

まず吉川センセほどのインテリは当然ご存じでしょうが皆さんによーく覚えておいてほしいのは
逮捕=有罪ではないということ。
推定無罪の原則がありますからね。
とくに地位の高い人の場合など、逮捕された時点で社会的評価にはかなり悪影響があるのはたしかですが
逮捕は取り調べのために身柄を拘束するのであってその時点で有罪を宣告されたわけではありません。それはこれから検討するのです。
そしてこの案件は
先日「こういうときには逮捕する」とみんなで教えてもらったケースにあてはまりますね。

しかもこのケースは勾留していない。
障害特性に配慮したと言えるのではないでしょうか。
その後送検され、不起訴となった。
これはつまり、施設内の出来事で、被害者も同じ施設の利用者であり、処罰感情が峻別ではなかったということではないでしょうかね。
被害者に罰してほしい気持ちが強いかどうか、検察はかなり考慮に入れるという実感を自分のケースから持っています。

ここでコメントしている弁護士さんとしては、逮捕のときに立ち合いがいなかったというのがご不満なようですね。
本人に意味がわかっていたかどうか。
これは難しいところですね。
少なくともこの人には人をケガさせる能力があったのですから。
私はこういう場面でコミュニケーション障害を補うための人員の同行を許すような法律の制定には基本的に反対しませんが、誰が同行しようと逮捕が取り消しになることはないでしょうね。法は執行されるでしょうしされるべきです。ただそれを当人にわかりやすく伝える通訳が必要だということには反対しません。

私はニキさんの参考人聴取のとき、立ち会わせてもらいました。
本来なら一人一人事情聴取が行われるのが筋だと思います。実際夫と私は別でした。
ニキさんに関しては、やりとりはしっかりできますが、初対面の人と初めての場所、しかも窓に格子も入っている部屋(容疑者の取り調べもそこでやるからですね)で行われるということで、慣れない人にはまず雰囲気的にきつい。
それを心配して同行を申し出て、許可されました。
まあニキさんはあくまで被害者であり加害者ではなかったし。
ただし先日の会で、いざ加害側として取り調べを受けるとき親の同行が許されるかという質問がありましたが、まず難しいだろうということでした。

そしてこの埼玉の方は不起訴になりましたけど
事実上それまでいた施設からは締め出しを食っている状態ですね。
つまりこれが刑罰に代わる社会的制裁だということで
障害のある人の場合、その制裁は家族に降りかかってきますね。
別の家族にも介護を抱え、このお母さまは厳しい状態に置かれていますね。
それは施設側の運営上の判断であり、警察が何か悪さをしたわけではありません。
今後この人を引き受ける施設は限られてくるかもしれませんが
それも福祉ワールドの判断です。

障害者が事件を起こすとよく人権派の方々が出っ張ってきて、かき回します。
そこで繰り広げられる論調が「健常者に人権なし」で、そのたびに私などは腹を立てるわけですが、人権派の方々のいいところ、それはめったに裁判にお勝ちにならない勝負弱さですね(ブ)。

そして警察の論理を知ってみると、警察はある意味、人権派の人たちより人権を大事にしていると思います。
刑事をやめて発達支援の世界に入った榎本氏は、特別支援学校の校長先生などから「あたりが優しい」と言われるそうです。それほど警察=強面説 を教育福祉は共有しているのでしょう。
でも榎本氏曰く、警察の立場から見て、体罰はありえないそうです。
はっきりと暴行罪ですから。だから絶対体罰はしない。

一方で福祉施設では体罰横行してますよね。

医療福祉教育が人権を守り、警察が守らない。
そう思い込んでいる人がいるとしたら(吉川センセはどうなんでしょうね)それがもう一部の偏った人たちに洗脳されているということかもしれません。
人権派弁護士と警察、どっちが人権を守るか?
吉川センセがリンクしているこの記事を読む限り、私は警察に軍配を上げますわ。

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