治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

納税者とワクチン

2017-09-11 10:05:16 | 日記
技術移転の話が済んだところで、今度は23日の講演に向けて二次障害のまとめをしていて
それは「本当に二次障害ってあるの?」「もしかしてメイドインジャパンの概念では?」という疑いから発した割と新しい提案です。
詳しくはもちろん講演で話しますが
レジュメ程度はここにものっけようかと思い、準備をしています。

ですので今日はさらりと。

納税者にしたい、という人たちに反対する人たちと
(ワクチンで自閉症になるのなら)ワクチンを打ちたくない、という人たちに反対する人たちの問題を取り上げます。
この二つの話題、どっちも大好物ですよね。海老踊り軍団及び社会の理解ガー軍団の。そういえばこの二群はかなりかぶっていますね。そしてどっちも花風社がきらい。

じゃあきらわれている私がどういう立場を取るかというと
もちろんこれまで再三表明してきたように、納税者に育てたいなりたいという人を全面的に応援します。
「ぼくアス」の騒動からこっちずっと、内心「自分ちはむりだ」と思っている人からの「納税者に育てろなんて残酷」攻撃も続いているわけですが、もちろんなれないと思う人、なりたくない人は勝手にならない路線を目指してくれればいいと思っています。
「発達障害、治るが勝ち!」でもこんな風に書いています。

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 将来働ける大人になってほしいと願って子育てをするのか、完全に福祉の枠の中で生きていってほしいと子育てをするのか、それは個々の自由である。私としては働く人が増えてほしいから、前者を応援する本を出している。そして後者を選んだ人たちは、私の承認を必要としないので私に絡む必要はない。私がどう言おうと、将来働く大人に育てる気はないと決心しているのなら、「うちの子は絶対働かせないぞ」とその決心を貫けばいいのである。

 発達障害関連の団体はよく「多様性を認める社会の実現」を訴える。だが、私の目から見ると、社会はそれなりに多様性を受け入れていると思う。初等教育の場はまだまだ集団主義が強いかもしれないし改善点はあるかもしれないが、初等教育というのはこれからどの道に進んでもある程度つぶしが効くようにしておかなくてはいけないから限界はあるだろうとも思う。少なくとも一般社会は、それなりに多様性が許されている場所である。
 だからびっくりしてしまうのだ。多様性を誰より希求してやまないはずである発達障害の関係者たちが「一律の選択」を仲間に強要したがることに。
 そこから抜け出すヒントを提供したいからいくつか選択肢を示す。選択肢があること、仲間に同調する必要はないこと、他の人の顔色を伺う必要はないことを示す。そして、その第一の選択肢は「将来働ける大人になってほしいか別になってほしくないか」だと思っている。将来働いてほしい、と思うかどうか。それは皆さんがそれぞれに決めてくださいね。そして他人の選択には口を出さないことにしましょう。
 私は将来働いてほしい人とともに歩むことを決心した。そしてそのために見つけた情報は、誰にどう非難されようと発信してきたしこれからも発信していく。

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もし自分のうちの子がとうてい納税者にはなれない、あるいはなりたくないのに「納税者を目指す療育」を実践している人がいてそれが自分たちを責めているように感じるのなら、それは妄想ですから、そっちを治してください、というのが私の基本的なスタンスです。
目指す人がいて、それを見ていじけて他人の生き方にまで口を出す人がいる。そのときにいじける方の肩を持つ正当な理由が私には見つからないのです。ギョーカイ人には、そういう理由があるんだと思います。第一の理由は、彼らが支援しているつもりで実は接待しているに過ぎない、ってことだと思いますけどね。いい加減接待やめて支援しろよ、と思っているわけです。

さて、ではワクチンに関してはどうでしょうか。
私はワクチンは一通り打つべきだと思います。
この辺、海老踊り軍団と同じ意見です。

けれどもその理由は、「自閉症になるリスクはない」と断言する海老踊り軍団とは違うようです。
なぜワクチンを打つべきか。
それは人間は社会的存在であり、自分だけではなく社会全体を考えて行動するべきだと信じているからです。
私がギョーカイトラウマのさなかにこの世界にとどまることを選んだのもそれが理由です。

そして医療者の役目とは、自閉症に「なる」のを恐れてワクチンを打たない親を情弱扱いしてバカにすることではなく
自閉症であれなんであれ万が一ワクチンを接種した結果が悪いものであった場合
それを取り戻す方法を探ることだと思います。

うちの読者の中には、最初のお子さんが発達障害で、二番目のお子さんもその診断がくだった。でも怖くない、という人たちがいます。
なぜなら一番目のお子さんは治ったからです。

こういう安心できる状態を作ることが支援だと私は考えていましたので
支援者を名乗る人たちが「治すなんて差別」とかわけのわからないギョーカイにずっと腹が立ってきたわけなのです。
そして「治るが勝ち」と思うのは
治るのは自分だけではなく、みんなのためでもあるからです。

「発達障害、治るが勝ち!」から引用します。

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治るのは、自分のためだけではない。
 みんなのためなのだ。

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そして「納税者を目指す」人たちも「みんなのため」を思っているところだってあるので
「うちはむり」系の人は、「みんなのため」を思ってせめて黙っててほしいもんですね。


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「発達障害、治るが勝ち!」
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