気の向くままに

山、花、人生を讃える

スター・デーリー(2)

2009年11月06日 | スター・デーリー

スター・デーリーは9歳の時から盗みをするようになり、盗みをしないと夜も寝られないぐらいで、寝つかれないときには起きて盗みに行くようになった。そして、少年院を卒業し、刑務所へ収監され、何度も出たり入ったりを繰り返し、合わせて14年間の刑務所生活を送ったとのこと。
そして、デーリーは刑務所について次のように語っています。

○刑務所が悪人を善導するものなら、私はとっくに善い人間になっていたはずだと思う。
刑務所の中では随分ひどい罰にあわされ、ひどい体刑にあわされたが、どんなひどい体刑にあわされても、私は善人になろうなどと、一回でも思ったことはなかった。

スター・デーリーにとっては全てが憎く、看守を恨み、神を恨み、自分の人生を恨んでいた。
アルコール中毒、アヘン中毒になり、裁判官からは、「この人は犯罪常習者で、気狂いである」と宣言され、また心理学者は「お前はもう望みのない人間だ」とサジを投げた。
そして、何よりもスター・デーリー自身がそれを認めていました。

○私は死ぬよりほかない人間であった。私は呼吸していた。しかし、死んでいた。心が死んでいた。心が死んだ時は、人間が死んだも同じである。精神の中枢が死んでいると、これを治す薬はない。いかなる人間もこれを治すことはできない。

と、語っている。
死ぬよりほかないと考えはじめたスター・デーリーも、刑務所では死にたくないと脱獄を企てます。
(脱獄はこの時がはじめてではないようで、大胆にも刑務所の金庫を破って脱獄した話もしています)
脱獄騒動を起こしたスター・デーリーは、いよいよ極悪人の入る地下の土牢に入れられます。それだけでなく、宙づりにされて改心することを迫られますが、そのような刑罰には屈せず、宙づりのまま最後は気絶します。

この時、スター・デーリーに、いよいよキリストが現れ、救われる時が来ました。
以下、徳久先生によってメモされたその感動的な場面。

○土牢で何日も何日もつるされて、私はとうとう気を失ってしまった。手をつるされた綱がほどかれて、殻の袋が下へ落ちると同じように、下へ落とされた。骨のなくなった肉の塊のようにコンクリートの上に落とされて、私はほとんど死んでいた。魂も、心も、良心も死んでいた。まるで死骸のように投げ出された。

○そのようにして死骸のように投げ出されていた時、私の頭部が自然に部屋の扉の方へ向いた。しかし、私は立ち上がれなかった。土牢の扉が開いて、一人誰かが入ってきた。それがだんだん明るく見えだした。そして近づいてきて、私を見おろしている。私の視線が上を向いて、彼の視線とあった。そこにキリストが立っていた。キリストをとおして神が現れたのだ。神の愛が、現れたのだ。神の愛が、キリストの目を通して、現れたのだ。キリストは、“愛のまなざし”で、私を見つめていた。罪人である私に、過去の多くの、数知れない罪を犯していることに一言も触れず、また、その罪を認めず、限りない愛を持って、私を、じっと愛深く見つめた。ただ、それだけのことであるが、その一瞬が私をすっかり変えてしまったのだ。今まで、私の心の中に巣食っていた、犯罪への欲望を、瞬間的に、すっかり取り去ってしまった。それ以来、私は罪を犯していないし、また、罪を犯したいという心が起こらなくなってしまった。小さい瓶一つでも他人のものを盗もうとは思わなくなってしまった。
それは神が、私の外も、内も、一瞬にして変えてくださったのだ。時計が、三つか四つ響く間に、今まで誰もなしえなかった、私を変えることが成就したのだ。それは1926年11月26日であり、結婚した妻の誕生日でもあった。それから、1930年3月30日、刑務所を出た。それ以来、私は刑務所へ入ったことは一度もない。

また、高知の刑務所では、その時のことを次のように語っている。

○キリストの愛深い“眼差し”が、私の視線を引きずり込んだ。キリストの“眼差し”の中に、神の愛が溢れていた。
「この人こそ、私が長いあいだ求めていた救い主だ!」
瞬間的に私は知った。
私は今まで、自分で自分をどうしても救いえなかったし、いかなる刑を受けても私の救いとはならなかったが、キリストを見た瞬間、“この人こそ、私の救い主だ!”と知った。
キリストの目に輝く愛で、私は完全に救われた。それは、一瞬の出来事であった。そのキリストが去った時に、その瞬間に、私は“神の子”として立ち上がったのだ。

○キリストの愛が、私の罪を犯す性格を全部消してしまった。酒を飲んで仕方のなかった性格、アヘンの中毒、バクチ打ちの習慣、そんな悪いものが、一瞬のうちに消え去ってしまった。その一瞬の間に、ぜんぜん新しい頭となり、魂は完全に新しく入れ替えられてしまった。キリストは、魂を一瞬のうちに復活させ、一瞬のうちに身体まで入れ替えてしまった。

いやあ、感動しました。
スター・デーリーの迫真の演説、耳に聞こえてくるようですね。
でも、彼の演説は、これからが本番になんですよ。

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