私の使っていたパソコンが不調となり、昨日修理に出し、今は家内のものを借りてこれを書いています。
バックライト機能の不調と思いますが、画面がほとんど見えず、LEDライトを画面に近づけて、ほんのかすかに見える程度でマウス・ポインターを合わせてシャット・ダウンするのも一苦労です。
購入して4年半ですが、幸い、1年+4年の長期保証に入っていて、まだ保証期間内なので、その点は良かったのですが、修理に3週間みて下さいとのことでした。データーは1年前の分まではメモリーに保存済みでしたが、この1年間のものは失われることになるかも…。
そういうわけで、家内のパソコンは私には不慣れで、新規投稿はパソコンが戻るまで中断させて貰います。その代わりというわけではないですが、横浜で働いていたころに生長の家の掲示板に投稿した記事があったので、それを少し修正してアップさせてもらいますので、これも「横浜の思い出」の一つとして読んでいただければ嬉しいです。
『青春まっただ中の彼』
彼の年齢は23歳。身長はたぶん160センチに届かないぐらい。
下船中の彼は、両親と一緒でなく、彼の職場の近くのおばあちゃんの家に居候しています。
彼はいインド人のように顔が黒いので、真っ白な歯が引き立ち、ひときわ印象的です。
彼は水産高校出身で私が入社したすぐ後に、甲板部から機関部へ変わってきました。
機関部の方が面白そうだというので、自ら志願したそうです。
ところが、その機関部には軍隊でいう正真正銘優秀な鬼軍曹がいました。
その鬼軍曹に仕事がのろいのでよく怒られていました。
しかし、彼は嫌な顔一つ見せず、「はい、はい」と返事をし、素直に応じていました。
けっして右から左へと受け流しているのではなく、ただ足手まといになって申し訳ないと思っているようでした。
また、仕事以外で嫌みを言われたときも、黙って耐えている彼でした。
彼は才能という面からは技術者向きではありませんが、よく勉強し、よくメモを取ります。
また、彼の休憩時間の時でも、自分から進んで仕事を手伝ってくれたりもしました。
汚れ仕事も嫌がるどころか、下っ端の自分がやらなければという気持ちらしく、進んで一生懸命やってくれます。
だから、作業服はいつも汚れています。
近頃は鬼軍曹も言わなくなりましたが、はじめの頃は彼を「汚れ」と呼んでいたほどでした。
支給された作業服は彼には大きくて、足がだぶついているのですが、それを気にする様子もなく、新入学の1年生見たいで、なんとも微笑ましいのです。
また彼の頭はいつもヘンチクリンでおかしい。
「散髪に行ったのか?」と聞くと、「はい、ちゃんと行きました」という。
よく聞くと、友達が東京で理容師見習いをしているので、その友達に散髪してもらうとのこと。
「料金はいくらか?」と聞けば、当たり前の料金とのこと。
それで、わたしは「お前、馬鹿か」という顔をしながら、内心では友達を思う気持ちに感心させられています。
彼は人気者で、客室業務の女性からよく話しかけられているのですが、聞こえないぐらいのしどろもどろの返事をしています。それで私は歯がゆくなって、後から「せっかく話しかけられているのに、ちゃんと返事をしてやらんか。あんなぼそぼそでは何にも聞こえんぞ」と、怒ってやります。
そんなふうに、彼はとても優しくて女性にウブすぎるぐらい純情なので、ひとつ恋愛のコーチをしてやろうと思い、「今まで好きになった女がいるだろう?はっきりと好きだと言ったことがあるのか?」と聞きました。すると彼は、高校3年生の時の同級生だそうですが、こんな話をしてくれました。
偶然にコンビニで出会ったので、ドキドキして、思っていることと違ったことを言ってしまったんですが、「電話番号を教えてください」と言ったんです。そしたら、「あなたのことはまだよく知らないから」と断られました、とのこと。
それで、「それでおしまい?」と、聞くと、
卒業間際、もう一度「ダメならダメとはっきり言ってください。そうすれば僕もあきらめがつきますから」と言ったとのこと。
そんなことで、彼は失恋に終わったのですが、しかし、私はこの話を聞いたとき、一瞬、何とも言えない爽やかな気持ちに包まれました。多分、そのまっすぐさに感動したのでしょうが、よくわかりません。
また、彼はこんな話をしてくれたことがありました。
20歳の時、初めての国外旅行を一人でトルコへ行き、しかもツアーではなく、まったくフリーの旅をしたそうです。
そして、静かな夜の通りを1人で歩いているとき、3人組の強盗に襲われ、やむなく財布を渡したのですが、その強盗が財布を奪い、走って逃げ始めた時、全部持って行かれたんでは大変だというので、思わず「待てぇー」と追いかけたとのこと。
すると、その強盗たち、走りながらいくらかの金を投げてよこしたという話でした。
ちなみに彼は高校時代サッカー部で、全国大会に出るほどの強豪校。ただし、彼は身長が低いせいか二軍戦士。
しかし、練習の厳しさは一軍も二軍も変わらないはず。
彼の趣味はスキューバーダイビング。そして、スカイダイビングも今年の春に挑戦しました。
また、1人屋久島へ縄文杉にも逢いに行った素晴らしい勇者です。
極めつけは、彼はけっして食べ物を残して捨てたりしないこと。すべて、きれいに平らげます。
船内の食事で、一つも残さずに食べるというような人は見たことがありません。
家でも、おばあちゃんが時々腐りかけのものを出したりするそうで、嫌だなあと思いながらも、悪い気がして、捨てずに食べてしまうそうです。
彼はまた人の話にもとてもよく耳を傾けてくれます。
幕末から大戦までの歴史の話をした時には、興味深々で聴いてくれて、こちらの方が癒されるようでした。
「わたしがあなたのもとに贈るのは天使のみ(「神との対話」)」と神は言われる。
彼こそは、まさに私に贈られた天使。そんな気がしてなりません。
以上が12年ほど前の彼ですが、今は結婚し、2人の子供もいます。
「結婚しました」という年賀状の写真を見たとき、「おお、似合いの夫婦で、さすが!」と感心した事でした。
ただ、「お似合い」とは言っても、彼の黒い顔から言えば、とてもお似合いとはいえませんのでその点は誤解なきよう。
またまた長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。