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結び目を解く

2023年09月19日 | 人生

下記はNHK Eテレの「ニュー試」という番組で放送された、ニューヨーク大学映画映画部の入試で出題された問と、それに対する松丸亮吾さんの解答です。

私には何を問うているのかもわからないような問ですが、ともかく松丸さんの答えが素晴らしいので紹介させてもらいます。

 

問:世界の中に見える結び目を解きなさい。(Untangle a knot you see in the world)

 

≪松丸亮吾さんの解答≫

私は、現代人の「タイムパフォーマンス」という考え方に疑問をいだいている。

友人とある映画の話をしていた時のことだ。その映画はシナリオの伏線回収が非常に良く出来ており、映像美や沈黙の間の作り方など演出もすばらしかった。特に主人公の最後のセリフが作品全体を貫く感動的なものになっており、私は涙が止まらなかった。今でも一番好きな映画なのだが、友人らは違った。

一人は倍速をかけて部屋の掃除をしながら見ていたと言い、一人は見たことすらないが映画の内容を要約してくれる人気チャンネルであらすじだけ見たというのだ。私は衝撃を受けた。タイムパフォーマンスという得を求めるあまり映画を見る時間を圧縮したことで、本来得られるはずだった感動の機会を失い、結果的に大きく損をしていたからだ。

映画に限った話ではない。何でも検索して答えを出そうとすることや、口コミを調べて体験した気になること。様々な場面で、本来得られるはずだった経験値、感動を奪うタイムパフォーマンスの悪がこの世界にはびこっている。

だからこそ私は「謎解き」を通して、タイムパフォーマンスの悪にあがらいたい。謎解きは答えを聞いたら楽しめず、答えに至るまでのひらめき・プロセスを楽しむ稀有なエンタメだ。途中を楽しむという姿勢が、タイムパフォーマンスの悪にあらがう一つのなると私は思う。

 

解答した後の松丸さんは次のように話していました。

「結び目って見えてるけど見えてないものみたいなもの、なんかこう誰かが解かなきゃいけないんだけど、みんなが見過ごしていることとか、問題提起なのかなと思って、「解きなさい」と書いてあったんで、それを理解した上で、どうすればよくなっていくか、手段も一つ提示しろって意味なのかな・・・」とそんなことを思いつつ書きました」とのこと。

 

年配の方はこの松丸さんのエッセイ(解答)に「大いに同感」という方が多いのではないでしょうか。

読んでいただき、ありがとうございます。

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